固定式の屋根を持たないスポーツ・ロードスターとして、'55年に登場したフォード・サンダーバードは、'53年にシボレーから発表されたスポーツカー、コルベットのライバル車として発表された。2シーター・オープンカーとして3年間生産したのち、'58年式には速くも新型ボディへとフルモデルチェンジ。2+2シートを持つ大型シャシーのクーペ&コンバーチブルへと生まれ変わった。そしてさらに2年後、'61年には都合3世代めにあたるモデルへと生まれ変わった。
ここで紹介する'62年式は、ボディを一新し、直線を基調としたフォルムとなった'61年式にマイナーチェンジを加えて誕生したモデル。外観上での最大の特徴は、なんといってもジェットエンジンの排気口をイメージしたという丸形のテールランプだろう。ファルコン、フェアレーン、ギャラクシーなど'60年代前半のフォード車に共通するデザインだが、このサンダーバードは小ぶりながらも存在感をアピールするテールフィンとのマッチングも美しく、「ロケット・サンダーバード」の愛称を産むきっかけとなった。
'62年式のラインナップは全車2ドアボディで、クーペ、ランドートップ・クーペ、コンバーチブル、スポーツ・ロードスターの4種類。なかでも注目なのはスポーツ・ロードスターで、リアシートに脱着式のファイバーグラス製パネルを被せ、2シーター風に仕立てるという稀少なモデルだ。 |
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■INTERIOR
'55年の初代モデルでは2名の乗車定員であったサンダーバードも、'58年式以降は4シーター・クーペへと基本設計が変更されている。フロントシートはセパレート式で、全車にフロア式ATを採用する。内装はレザーとクロームパーツを多用したインテリアで高級感も満点。ホーンリングが付いた大きなステアリングは、ドライバーの乗降性を高めるため、ポストごと左右に移動する |
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■ENGINE '62年式サンダーバードに標準搭載されたのは304馬力の390cu.in.。オプションではホーリーの2バレルキャブを3連装するサンダーバード390(340馬力)やサンダーバード406(385馬力)、サンダーバード・スペシャル406(405馬力)などが用意された。しかしながら、ラグジュアリー・クーペとして販売されたサンダーバードだけにそれほど装着率は高くなかったようだ。 |
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■REARVIEW 長大なオーバーハングが特徴的なスタイリング。'60年代のフォード車によく見られる、丸型のテールランプはサンダーバードにも用いられ、「ロケット」の愛称で呼ばれるきっかけとなった |