三菱i MiEVはEVの可能性を実感させる驚きの完成度
DATA
三菱i MiEV
実証走行試験車
価格:未定
種別:背高系軽自動車
モーター:永久磁石式同期型(64ps)
変速機:―
駆動方式:後輪駆動
文:戸田治宏
写真:編集部
どんなクルマ?

i MiEV(アイ・ミーブ)は、三菱が2010年までの市場投入を目指し、電力会社と共同研究中の新世代EV(電気自動車)だ。軽自動車のi(アイ)をベースに、リアのエンジンをモーターに換装。畳1枚分の大きさのリチウムイオン電池を床下に搭載する。充電は100Vまたは200Vの家庭用電源と、開発中の急速充電器を使った3ウェイが可能。2006年11月からの先行試験に続き、第2段階の実証走行試験がスタートした。
良いところ

大柄な男性の3名乗車で走りはじめたが、発進加速は驚くほど力強い。モーターは最高出力こそ軽ターボ並みだが、トルクは1.8リッター・ガソリンと同等以上なのだ。しかも、エンジンと違って振動・ノイズはほとんど皆無。車輌重量はベースのアイから130kg増えたが、重心が75mm下がったため、操縦安定性や乗り心地まで確実に向上している。パッケージも素晴らしく、室内空間はいっさい犠牲になっていない。
気になるところ

現在の実証走行試験車は、10・15モードでの航続距離が従来の130kmから160kmに拡大。ただし、エアコンの冷暖房(電気により稼動)を使うと、まだ100kmがやっとだ。フル充電にかかる時間にしても、ガソリンスタンドやコンビニなどへの設置が期待される急速充電器でも30分(80%)、家庭用200Vだと7時間かかる。車輌価格も課題のひとつで、現在の補助金制度では個人負担額が250万円以上になるという。
ライバルは?

i MiEVの走行1kmあたりの電気代は、昼間料金で3円、深夜では1円とか。例えばトヨタ・プリウスが実燃費で20km/リッター走っても、レギュラー・ガソリンがリッター140円としても7円。走行コストはハイブリッド車さえ圧倒する安さだ。しかも、排ガスはゼロ。スバルもR1ベースのEVを実験中で、2010年の市販化を目指している。一方、プリウスはその気になれば、満タン(45リッター)で1000km近く走ることが可能。
総合評価
SPEC
三菱i MiEV
全長:3395mm
全幅:1475mm
全高:1600mm
ホイールベース:2550mm
車輌重量:1080kg
モーター:永久磁石式同期型
最高出力:64ps
最大トルク:18.3kg-m
最高回転数:8500r.p.m.
電池:リチウムイオン
総電圧:330V
総電力量:16kWh
一充電走行距離(10・15モード):160km
最小回転半径:4.5m
三菱は、環境対応技術は究極的には電動車輌にいくのではないかという考えのもと、EVの研究・開発を積極的に行っている。インフラの整備や1充電での航続距離、車両価格など課題は残っているが、i MiEVはその可能性を十分実感させる完成度だ。乗り味はベースのアイよりはるかに上質。高速についても、軽のリミッター(130km/h)が必要なほどの性能を秘めている。温暖化対策待ったなしの今、一層の行政支援にも期待したい。
ズバリ結論! クルマの完成度はほぼ量産レベル