■MODEL YEAR:1963年




数ある自動車メーカーのなかで、ランボルギーニほど会社設立の理由がよく知られているところもないだろう。言うまでもなく、フェラーリに対する自分の苦情が全く相手にされなかったために、自らフェラーリを超えるスポーツカーを造りだしてしまったというものである。

そのランボルギーニが、本業のトラクター販売で得た利益をつぎ込んで開発した最初の乗用車が350GTVだ。

創業者であるフェルッチオ・ランボルギーニは、フェラーリに対抗するためエンジンをV12とすることに固執し、設計を元フェラーリのエンジニア、ジオット・ビッザリーニに依頼。それを受けたビッザリーニは、60度のバンク角とチェーン駆動の4本のカムを持つV型12気筒を完成させる。ランボルギーニ初の乗用車用エンジンの誕生である。

77.0mmのボアと62.0mmのストロークから排気量は3463ccとなり、9.5:1の圧縮比と6基のウェーバー36IDLツインチョーク・ダウンドラフト・キャブレターとの組み合わせによって、ライバルであるフェラーリ250GT SWBの280psはおろか、4リッターの330GT2+2の300psさえも上回る、360ps/8000r.p.m.の最高出力と33.0kg-m/6000r.p.m.の最大トルクを当初から発揮していたという。

サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン、トランスミッションにはZF製の5段M/Tが奢られ、ここでもライバルであるフェラーリに差をつけていた。

ボディはフランコ・スカリオーネにデザインが任された。アルミ製の2シーター、2ドアクーペは、比較的抑揚の少ないスムースなラインを基調に、戦闘機のキャノピーのようなキャビン回りと、リトラクタブル・ヘッドランプを採用することで、前衛的フォルムに仕立てられた。

こうしてランボルギーニの記念すべき第1号車となる350GTVは、1963年10月に開催されたトリノショーに出品された。ところが、ショーが終わらぬうちにクルマは会場から姿を消してしまう。理由は、フェルッチオがフロント回りのデザインを気に入らなかったためだった。しかし、フェルッチオは350GTVを完全にお蔵入りにしようとしたわけではなく、すぐに改良をすべく動き出したのである。


SPECIFICATIONS
●全長×全幅×全高:4500×1630×1220mm
●ホイールベース:2450mm
●トレッド:F1380/R1380mm
●車輌重量:980kg
●エンジン形式:水冷60度V型12気筒DOHC24バルブ
●ボア×ストローク:77.0×62.0mm
●総排気量:3464cc
●燃料供給:ウエーバー36IDL3×6
●最高出力:360ps/8000r.p.m.
●最大トルク:33.0kg-m/6000r.p.m.
●トランスミッション:5速M/T
●サスペンション(F/R):ダブルウイッシュボーン
●ブレーキ(F/R):ディスク
●タイヤ:F205HS15 R205HS15
●ホイール:F6.5×15 R6.5×15