■MODEL YEAR:1964年




せっかく世に登場させた350GTVをショー会場から引き上げたフェルッチオは、すぐさま気に入らなかったボディデザインの修正を、より格上のカロッツェリアに依頼したのである。彼が選んだのは、アルファ・ロメオ、マセラティ、ランチア、そしてフェラーリなどのボディを手がけたトリノの名門、ツーリングだった。

依頼を受けたツーリングは、350GTVの基本的なフォルムを生かしながら、フロントフードのモールを撤去するとともに、エンブレムを中央に移動。ヘッドライトをリトラクタブル式から楕円形の露出式へと変え、三角窓を廃するとともにリアクォーター・ウィンドウを拡大するなどのモディファイを実施したのである。

ボディサイズに変更はなかったが、完全2シーターだった350GTVから、リアに1名分の座席を設けた3人乗りとするために、ホイールベースは100mm延長され(ただしプロダクションモデルでは2シーターも存在していた)、ルーフラインも350GTVよりフラットな造形を採用している。

メカニズムでは、扱いやすさを考慮して3464ccと同じ排気量ながら、最高出力は270psへとかなり低めに設定された。また、6基のウェーバーはダウンドラフトからサイドドラフトの40DCOEへと変更され、潤滑系もドライサンプからウェットサンプになった。

こうして完成した改良モデルは、フェルッチオにとっても満足のいくものだったようで、350GTと名づけて市販に移すことを決定。1964年3月のジュネーブショーで発表されたのち、2ヶ月後には生産が開始されたのである。


SPECIFICATIONS
●全長×全幅×全高:4500×1630×1220mm
●ホイールベース:2550mm
●トレッド:F1380/R1380mm
●車輌重量:1050kg
●エンジン形式:水冷60度V型12気筒DOHC24バルブ
●ボア×ストローク:77.0×62.0 mm
●総排気量:3464cc
●燃料供給:ウエーバー40DCOE×6
●最高出力:270ps/6500r.p.m.
●最大トルク:33.0kg-m/4000r.p.m.
●トランスミッション:5速M/T
●サスペンション(F/R):ダブルウイッシュボーン
●ブレーキ(F/R):ディスク
●タイヤ:F205HS15 R205HS15
●ホイール:F6.5×15 R6.5×15