【デトロイト08】キャデラックの燃料電池クロスオーバー

▲プロボークは燃料電池クロスオーバー・ビークルのコンセプト。フロントフェンダー・ベントには充電ポートが備わる。

▲ドアミラーやドアハンドルをはじめ、エクステリアは空力に配慮したデザインを採用。ルーフには太陽電池を搭載する。

▲クロームトリムは毒性の少ない原料から製造されたものを装着。メーターパネルには燃料電池とバッテリーの出力計が備わる。

▲シートやドアトリム、インパネ下部には有害科学物質を使用していないレザーを採用するなど環境負荷低減に配慮している。
 ゼネラルモーターズは、1月7日に米国ラスベガスで開幕した世界最大の家電見本市、CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で、水素燃料電池を搭載したクロスオーバー・ビークルのコンセプトカー、キャデラック・プロボーク(Provoq)コンセプトを発表。1月13日に開幕する北米国際自動車ショー(デトロイトショー)にも引き続き出展する。

 このコンセプトカーは、GMの次世代駆動システムであるE-flexシステムを採用した最新モデルで、第5世代の水素燃料電池システムを搭載。全長4580mm、全幅1850mm、全高1703mmのボディサイズは同じGMグループのSUVであるオペル・アンタラ/サターン・ビュー/GMCトレイルの3兄弟に酷似。ただし、2906mmのホイールベースはこの3台より200mm程長くなっている。

 燃料電池システムは、通常エンジンが納まるボンネットフードの下に搭載。水素タンクはラゲッジフロア下に備わり、700バールの圧力で合計6kgの水素が充填可能となっている。水素はここからボンネット下の燃料電池スタックへ供給され、連続最大88kWの電力を発生。リチウムイオン・バッテリーは車輌中央部に搭載され、最大9kWhの電力を蓄電可能。燃料電池をアシストするために最大60kWの電力を供給する。バッテリーの充電は、左右のフロントフェンダー・ベントに備わる充電ポートを使用して家庭用電源からも行える。

 航続距離は、1回の水素燃料補給とバッテリー充電で300マイル(約483km)。このうち280マイル(約450km)は水素燃料で、残りの20マイル(約32km)はバッテリーの電力で走行する。

 電気モーターは、フロントが70kWの同軸モーター1基、リアは各40kWの左右独立ハブモーターを搭載し、駆動方式は4WDとなっている。0〜100km/h加速は8.5秒を実現し、前世代の燃料電池車と比較して30%以上向上。実際にはトルクの立ち上がりが大幅に素早くなったため、体感的にはもっと速く感じるという。最高速度は160km/hだ。

 エクステリアは、新型CTSから採用された新世代キャデラック・デザインを用い、大胆かつラグジュアリーなイメージでまとめられた。同時に燃料電池車としてのエネルギー効率向上にも配慮。高速域では空力特性向上のために閉じ、定速域では燃料電池スタックの冷却性向上のために開くフロントグリル・ルーバーや、ボディ下面全体を覆うカバー、ドアに埋め込まれたプッシュ式ドアハンドル、風洞実験により形状を最適化したウインカー一体ドアミラー、スポーク間を透明なカバーで覆った21インチ・アルミホイールなどを採用。さらに、タイヤにはミシュランが専用開発した低転がり抵抗タイヤを、ルーフには室内照明やオーディオ・システム、HDDナビゲーション・システムなどの消費電力をサポートする太陽電池を搭載した。

 インテリアには、完全リサイクル可能な大豆由来材料によるルーフライナーや、有害化学物質を一切使用していないレザー、毒性の少ない材料で製造されたクロームトリムなどを使用し、環境負荷低減にも配慮。また、シフト・バイ・ワイヤの採用により、センターコンソールの収納スペース拡大を実現している。

 このプロボーク・コンセプトは、今回はあくまで燃料電池車コンセプトとしての出展だが、内外装の仕上がり具合はすでにほぼ市販レベルにある。それほど遠くないタイミングでデビュー(ただし燃料電池車としてではなく)するはずだ。

●キャデラック
http://www.cadillac.com/