アストン再興の立役者とも言うべきDr.ベッツは、かつてポルシェで敏腕を振るい、空冷エンジン最後の911(993)を産み出した人物である。アストンに請われてCEOとして移籍してからの目覚ましい活躍はご存知の通り。ヴァンキッシュを皮切りに、DB9、V8ヴァンテージと、ラインナップの拡充を強力に推し進め、風前のともしびだった老舗アストンをかつてない規模に押し上げた。
そんな彼に投げかけた問いはひとつ。世間でライバル視されている“911とV8ヴァンテージで決定的に違うのは何か”という質問だ。911の神髄を知り尽くしている人物が、911と真っ向からぶつかるライバルを手がけたのだから、これを訊かないわけにはいかない。 「V8ヴァンテージは911に比べると、よりエクスクルーシブなGTであり、エンジニアリングのメソッドも、製品の仕立て方も、ポルシェとは全く違います。ポルシェに比べると、圧倒的に規模が小さいからこそできることというのがあるのです。それこそがアストン・マーティンのアストン・マーティンたるところであり、よって今後もモデルバリエーションや生産規模をいたずらに拡大しようとは思っていません」 ポルシェがぶち上げたような4ドア・サルーンを“ラゴンダ”の名を復活させて作るつもりはないのかという質問に対しても、「いまはまったくの白紙です」との解答が返ってきた。
「もちろんDB9とV8が共用するオール・アルミのVHプラットフォームにはあらゆる可能性があります。前後、左右、上下、いかなる方向にも拡大/縮小ができますからね。ただ、向こうしばらくは、ようやく出そろった3つのモデルを確実に広めていくことの方が先決でしょう」 ベッツ氏はそう語ると、次にリリースされる新型がV8ヴァンテージのオープンモデルであることを示唆し、こっそりと打ち明けてくれた。 「V8のオープン・モデルには“ヴォランテ”という名は使いません。幅広い購買層を視野に入れた、よりコンベンショナルなネーミングにするつもりです」 |