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時速400km/hという前人未踏の最高速度を実現したヴェイロンの市販開始をここ東京ショーで正式に発表したブガッティ。VAG前会長のピエヒ博士の在任最後の大玉花火として華々しく打ち上げられるはずだったヴェイロンはしかし、開発の遅延で‘狼少年’の話に例えられる不本意な状況に陥って、一部向きからは、このまま発売されることなく終わってしまうのではないかとまで言われていた。けれど、今度こそ本当に市販されるのだ。

発表リリースによれば限定生産台数は300台。日本への割り当て台数はその5%。およそ15台が売られることになる。すでにその半数近くが成約済みという。価格は1億6300万円。正規輸入販売元はニコル、これがあらましだ。

ブガッティを率いる社長、トーマス・ブシェー博士は“走る銀行家”としてその筋では名を知られた人物だ。鈴鹿1000kmレースなどでも上位入賞の経験がある。今も銀行家として仕事は続けながら、請われてブガッティを率いるブシェー博士は自らステアリングを握ってヴェイロンをテストするのはもちろん、その開発の全過程を自らの眼と身体で確認してきた。

その彼に不躾ながらも、これだけは訊かなければならない質問をぶつけてみた。なぜここまで遅れたのか、と。公式リリースでは“オンタイム”という答を繰り返してきたがブガッティだが、それは表向きの答だというのは業界関係者の間では知れ渡ったことだからだ。

ブシェー博士は、ざっくばらんに答えてくれた。

「確かに。ヴェイロンは当初の目算では2003年には市販化の予定でした。2年の遅れがでたわけです。理由は純粋に技術的なことです。16気筒の4ターボエンジン4WDのパワートレーンを抱えるクルマとしてはヴェイロンがきわめてコンパクトだということはおわかりいただけるでしょう。そしてそれがいかに困難なことかということも。それを完璧に仕上げるのに時間がかかったんです。パッケージング、とくに熱処理の問題を解決するのに手間取りました。でも、そのおかげで素晴らしいクルマに仕上がった。街中でじゅうぶん日常的に使えます。そして、400km/h出る。トランスミッションはDSGの2ペダルで、きわめてスムーズに仕上がってますから、その気があれば、あなたの奥さんにだって問題なく運転できますよ」

タイヤに問題は? との問いにもきっぱりと、

「ミシュランには開発初期から問題はひとつも発生しませんでした。何ひとつです。素晴らしい。ヴェイロンという未曾有のロードカーのそのパッケージングを、妥協なく完璧なものにするために時間がかかった。ただそれだけのことなのです」

ブシェー博士は、そういってニコリと笑った。

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