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2005年06月22日

モーテルといえば……思い出すのはあの夜

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photo by K.AKIMOTO(C) ◎撮影地:ネバダ州イーレイ

一、給料日前にフト財布の中身を覗くと、チャリンと音がする。
一、幼稚園に通う息子が来年から公立小学校に通うことになり、ホッとしている。
一、ガソリンスタンドで、ついつい「20リッターだけ」といってしまうことがある。
一、部下と飲みに行くと、いつもお勘定の額を想像しながら飲んでいる。
一、子供の貯金を借りたことがある(しかもまだ返していない)。
一、子供たちには「お寿司は回転するものだ」と教えている。
一、最近、ユニクロにしか行っていない。
一、結婚披露宴には極力用事を作って出席しない。

 以上の要件に対して、5つ以上当てはまったら、アナタは間違いなく「貧乏な中年」である。残念なことに、ワタクシは全部に丸がついた。

 とにかくワタクシの財布にはいつも「金(札)」がない。子供が3人いて、しかもマイホーム・ローンを抱えた中年男性のごくごく自然な姿である(と思う)。そして、貧乏な人生を40年も過ごしていると、これがまた絶妙な「貧乏性」へと発展していくことがよくわかる。

 仕事がらアメリカ出張には何度も行ったが、一度行ったらページを稼ごうと、無理なスケジュールを企てる。これまで上司だった編集長は、誰も「1回の海外出張でカラー50ページ」などというノルマは課さなかったが、ワタクシが編集長になって以来、いつのまにかデイトナ編集部ではカラー50ページが海外出張の基本ノルマになってしまった。

 これでは誰も海外出張など行かなくなる。しかも、「カメラは自分で」とか、1回の食事代は10ドル以下など、どんどんレギュレーションが厳しくなっていった。結果、自らも、より一層節約するハメになる。

 一度、海外出張の際に、大変な目にあったことがある。サンフランシスコで取材を終えた夜、目の前には、一泊25ドルのローカル・モーテルと、一泊85ドルの「ホリディイン」が隣合わせて2軒建っていた。選択の余地はない。当然ながら、チョイスしたのは25ドルのモーテルだった。

 韓国系オーナーのローカル・モーテルは、一見すると「マトモ」な感じだったが、残念なことに照明が数箇所点かない上、TVとトイレが故障していた。振り返ってみれば、この時点でやめておけばよかったものを、「まぁいいだろう」と思って寝入ってしまったのが運のつき。

 昼間のダイエットコーク(XLサイズ)が効いたのか、夜中に尿意をもよおして、ついつい故障中のトイレを使用してしまい、そのまま勢いあまって水を流してしまったのだ。すると……止まらないのである……水が……。

 アメリカのトイレはとにかくよく故障する。「詰まる」のは日常茶飯事だが、水が止まらない経験は初めてだった。よく考えてみれば、だからこそ「故障中」だったのだが。

 さて、夜中のサンフランシスコである。水はあふれてくる。このまま行けば、間違いなく床上浸水である。困った挙句、フロントをたたき起こし、例の韓国系のオーナーを連れてくるべく、急いで部屋を出たのはいうまでもない。

 ところが、この時ワタクシは、おおいなる失敗を犯してしまったのだ。場所が場所だけに、部屋のロックだけは至極まともにオートロックだったのだ。こっちはパンツ一丁である。我に返っても、戻るに戻れない。しかも、モーテルの部屋は、ドアを開ければ屋外のため、どうみてもワタクシの姿は、パンツ一丁で夜中のサンフランシスコをうろついているホームレスであった。

 ちなみに、時間はうる覚えだが、夜中の2時、3時であったと思う。むろん、この時間ではフロントはなかなか起きない。やっとのことで起きてきた韓国系オーナーは、マトモな英語が出来ない。もちろん、コッチもまともな英語ではない。さらにこちらは、くどいようだがパンツ一丁である。

 5分ほどのヤリトリの後、なんとか事情を理解してくれて、部屋の鍵を開け、韓国系オーナーは水を止めてくれたのだが、作業完了まで、およそ15分はかかっただろうか? 結果的に部屋はトイレの水に浸ってしまった。

 翌朝、宿泊代にはきっちりクリーニング代150ドルが上乗せされていたのは当然といえば当然だろう。かくして「貧乏性」が、さらに「貧乏」を増進させることをワタクシは知ったのであった。

 あぁ、思い出の「サンフランシッコ……」。

*本文と写真はなんの関係もありません。また、文体が変わっていることはご容赦ください。気まぐれです。