足軽が恋するお姫様?
「クライスラー・ファイアーパワー」

クルマを買う時、ワタクシは必ず「そのクルマに乗った自分」を想像する。シャツやパンツを選ぶのと同様、「自分自身に似合うクルマなのかどうか?」が最大のポイントになるのだ。そして、この時絶対に避けるべきクルマは俗に「カッコいい」クルマとなる。
例えばコルベット、マスタング、バイパー。これは絶対に買わない。どうみても、自分自身が乗ることで「クルマ本来のカッコ良さ」を低下させてしまうからだ。じつはデイトナの長期レポートでバイパーに乗っていた期間があるのだが、当時いつも感じていたのは「なんて似合わないクルマ(というより人間)なんだ」だった。
同様に、若い頃ポルシェ911を買って乗り回していた時期があったのだが、今振り返ってみると、どう考えてもポルシェの品位を落としめていた。自分のお金で買うのだから、多くの人は「どうでもいいこと」だと思うかもしれないが、ワタクシは「クルマと自分」が常に等記号でないと気がすまないのである。
そんなことを考え始めたら、いつしか「自分にぴったり似合うクルマはピックアップトラックだ」ということに気がついた。実際に乗ってみると(自分で言うのもなんだが)、これがまた良く似合う。背伸びしていないから、なにより自然。気張らず、カッコ付けずに乗り回せる。それは自分とクルマがまさに“=”になった証だった。
ところが、このクルマにだけはやられてしまった。身分を忘れて惚れてしまったのだ。まるで「姫に恋した足軽」である。こんなクルマに手を出すことは、たとえ手元にお金があっても、世間が許さない。まさに禁断の恋(片思い)と言えるだろう。
今年の1月、デトロイトショーでデビューした「クライスラー・ファイアーパワー(コンセプト)」。バイパーのシャシーに、グラマラスなボディを架装し、スーパーチャージャー付き6.1Lヘミエンジンをフロントミドマウントした1台だ。カーボンファイバー&アルミをアクセントに使ったエクステリア。レザーをふんだんに使ったインテリア。あぁ、参った。完璧に刺さった。まさしくこれは「恋」である。
似合わないのは良くわかる。……でも欲しい。理屈ではない。「いつの日か、こんなクルマを乗り回してみたい」と言う思いが日増しに強くなる。もっとも、そんな時に限ってふと下を見ると、日増しに成長する太鼓腹が「やめたほうがいい」と忠告してくれるのだが。
それにしても最近のクライスラーは、なにかと楽しませてくれる。ニューモデルからコンセプトカーまで、登場するクルマはどれも魅力がいっぱいだ。
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●クライスラー・ファイアーパワー・グランドツーリングコンセプト
車重:1533 kg
ホイールベース:2510 mm
全長:4383 mm
全幅:1859 mm
全高:1211 mm
トレッド:1565(前)/1539(後) mm
最低地上高:130 mm
エンジン:6.1L HEMI -V8
トランスミッション: 5速AT
前後サスペンション:SLA(Dodge Viper Suspension)
タイヤ(前): 275/35R19
タイヤ(後):335/30R20
ホイール(前): 19x12 inches
ホイール(後): 20x12 inches

