本日ご紹介するのは、平均時速340キロをマークし、2003年度の「ボンネビル・スピード・ウィーク」で見事世界記録を樹立したサターン・イオンです。
この車両は、ベリータンクⅡと同じく、「ソーキャル・スピード・ショップ」と「GM」が共同で制作した1台。
エンジンは基本的に市販ブロックですが、ショートストローク化に加え、ヘッドやカムなど、ほとんどの部品が「GMパフォーマンスパーツ」の市販用部品で組み替えられています。
この結果、最大出力はなんと700馬力を発揮するというモンスターマシンに仕上がっています。
サターン製の2リッター直4ユニット「エコテック・エンジン」のデモンストレーションとして製作されたのが「ベリータンクⅡ」だとしたら、エコテック・エンジンの限界性能追求を目的に製作されたのが御覧の「サターン・イオン・レッドライン・ボンネビルレーサー」です。
製作は「ベリータンクⅡ」同様、「ソーキャル・スピードショップ」が担当し、これを「GMパフォーマンス」がサポートする形で行われました。
当初から目標とされていたのは、ボンネビル・スピードウィークにおけるクラス最高速度記録の達成で、具体的には2001年に記録されたホンダ・シビックの時速183.086マイル(約293キロ)を超えることだったといいます。
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この約300キロという最高速度を記録するために、サターン・イオンには相当なモディファイが行われた……と皆さん思うかもしれませんが、実際は直4・DOHCエンジンを横置きしたFF方式をはじめ、シャシーやボディ外板などの基本構成は市販車のまま。
レギュレーションに準じた様々な安全装備を加え、サスペンションをレーシングスペックにアップグレードした程度であるというから驚きです。
最大のモディファイはもちろんエンジンとトランスミッションですが、じつはこれらの部分も特別なパーツは使っていません。
エンジンは市販ブロックを使いボアを0.01インチ拡大、ストロークを0.04インチ縮めて排気量をほとんど変えずにショートストローク化。
さらに市販モデルに搭載されているスーパーチャージャーから、最大22psiの加給を誇るターボチャージャーに変更。これに「GM」でモディファイされた4T65E型ATを組み合わせているのです。
こうして完成されたイオンは「GM」のエンジニアによってドライブされ、なんと見事に平均時速212.684マイル(時速約340キロ)を達成。大幅な記録更新を達成したと同時に、サターン・イオンの高いパフォーマンスを証明してみせたのでした。
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▲左上:ドライバーを務めた「GM」のエンジニア、ジム・ミネーカー氏を囲み、新記録達成に喜ぶ「GMパフォーマンス&ソーキャル・スピードショップ」のクルーたち。レース当日はソーキャルの創始者アレックス・ゼディアス氏などの姿も見られたようです。ちなみに瞬間最高時速は213.507マイル。参加クラスはG/Blown Fuel Altered。▲右上:クルー用のシボレー・トラックとサターン・イオン。基本的にオリジナルを保ちますが、カーボン製フードやウイング、エアダムなどは加えられています。ホイールはバドニック特注品、タイヤはグッドイヤーのフロントランナー。
【2003 Saturn ION Red Line Bonneville Racer】
・エンジン:2.0リッター・直列4気筒
・過給器:インタークーラー付きターボチャージャー
・排気量:1998cc
・ボア×ストローク:86×85mm
・最大出力:700hp+α@8700rpm
・最大トルク:79.52kg-m@6000rpm
・エンジンブロック素材:キャストアルミ+鋳鉄シリンダーライナー
・バルブ素材:チタン
・燃料供給装置:シーケンシャル・フュエル・インジェクション
・圧縮比:10.4:1
・燃料:メタノール
【ボンネビル・スピード・ウィークの過去記事一覧】
●第1回「塩湖のスピードレース」
●第2回「掟破りのフェラーリ288GTO」
●第3回「世界最速の日産・シーマ」
●第4回「ボンネビルのルール」
●第5回「復活したベリータンクⅡ」
【ボンネビル・スピード・ウィークの開催場所】
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