まっすぐ走るだけの最高速度記録会。ボーっと見てたってけっして面白いもんじゃぁありません。余興は一切ないから、観客もわずか。
主役はオイラとワタシ。誰もがレコードスピードを破るためだけにやってくる、年に一度の「ボンネビル・スピードウィーク」。
半世紀以上もの間、途切れることなく続けられてきたこのイベントこそが、じつはアメリカのホットロッド・カルチャーを、当時のままの形で今に伝える、唯一のモータースポーツなのです。
本日からは、そんな「ボンネビル・スピードウィーク」について、数回に分けてご紹介していきましょう。
なお、写真は2000年に撮影したものですので、その点をご了承願います。
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ユタ州はボンネビル・ソルトフラッツ。塩湖が干上がった結果、表層面に塩が堆積したこの大地は、全長22.5キロ、全幅11.2キロ。東京ドームが数十万個すっぽり入るだだっ広い大地。
約190万トンの塩で覆われているというその地表には、むろん生物もほとんど存在しないし、建築物を建てることも無理。つまるところ利用価値のまったくない不毛の大地で、19世紀初頭に発見されてから現在まで、人の手に触れることなく残されてきました。
「ボンネビル・スピードウイーク」は、このソルトフラッツを利用して開催される年に一度の最高速度記録会。昨年で57回めを迎えたホットロッダーたちの祭典です。
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ちなみにその競技方法はいたって簡単。5マイル(約8キロ)、もしくは7マイル(約11キロ)のコースを全開で走りきり、その平均速度を競うというもの。
1/4マイルを競うドラッグレース、楕円のコースを使って競い合うストックカーレースと並んで、じつにシンプルな競争です。
もっともドラッグレースやストックカーレースには観客を楽しませるというエンターテイメント性があったためにアメリカを代表する花形イベントに発展しましたが、こちらは観客を楽しませるという点で大きなハンディキャップがありました。
だって、いくら見晴らしがいいっていっても、数マイルもの直線を1台1台がただただひたすら走る記録会ってぇのは、あんまりにも退屈じゃない?
しかも「スピードウィーク」っていうぐらいだから、記録会は1週間もあるんですよ。その上、参加者はコンディションのいい日を選んで好きな時にスタートするっていうシステムだから、週末にフォースとペドリゴンが一騎打ちをするっていうエキサイティングな仕掛けもできません。
むろんジェフ・ゴードンとアーンハートがぶつけ合って、なじりあって、抜きつ抜かれるの末、マーク・マーティンがスーッとゴールしちゃう! なんていう波瀾万丈のレース展開もありません。
そんなワケで、観客は少ない。いや、その前に観客席がなかった……。観客はソルトフラッツの入り口で5ドルを払って、コースサイドにクルマを停める、もしくはテントを広げてビールでもグビグビ飲みながら、日がな一日、日焼けに勤しむのがルールなんです……。
そんなノンビリムードの観客たちに負けじと、参加者たちもじつにほのぼのと、このイベントを楽しんでいます。
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ごらんのポルシェ356クーペは、まさにそんなプライベート&ノンビリ一派。お金がなくてエントリーできなかった年もあったという完璧プライベーターですが、1年ぶりにフロリダからやってきて挑戦!! 超高速仕様のマシンを「イチ・ニーのサン!」と、押し掛けスタート。ヨロヨロしながら記録に挑戦。記録は……144・417マイル(約231km/h)。
残念ながらレコードブレイクはできなかったけれど、クルーもドライバーも満面の笑顔で、「まぁ来年もあるサ……」と仲良く肩を組む、平均年齢55歳の3.人組でした。
ボンネビルはこんな風に目尻を下げて楽しむイベントなんですよ(昨年の記録などは、イベントを主催するBNIのホームページでチェックしてね)。
ということで、ちょっと長くなっちゃいましたが、明日はもうちょっと気合の入った車両をご紹介しましょう。
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▲ボンネビルの競技車両は超高速型のギア比となるため、自力スタートができません。そのためプライベーターの場合はクルーたちが押しがけをするか、プッシュカーによって競技車両後部を押しながら加速させるというのが一般的なスタート方法となります。
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