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世界転戦記☆連載:記事一覧

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2010.11.02

●世界転戦記☆第157話~スピンを止められる自信

156話~何てスピンしたの?←前回のストーリー


 フェラーリF355チャレンジを少しものにできたと思った矢先にビッグスピン。
確かに、デビュー前に走ったもてぎサーキット、デビューレースの筑波、短期留学で行ったイギリスのシルバーストーンサーキットは、すべて平らな路面。
今回の岡山サーキットで初めて路面のアップダウンを経験した。そこで地形を加味しないドライビングをして大スピン。
フリー走行での失敗から得た大きな気づきだった。


フリー走行でクルマの荷重移動やピッチを考えながら運転することを学んだものの、サーキット一周数十個あるコーナーをまだこの頃は、すぐに攻略することはできなかった。


20分間の短い予選では、イギリスのレーシングスクール短期留学で学んだばかりのテクニックを最大限に駆使して攻めた。そして路面に傾斜があるコーナーでは地形とクルマの荷重移動を考えてトライ!


もしまたスピンしちゃってもツーフィートインでクラッチとブレーキを思いっきり踏めばフェラーリは必ず路面上にとどまって止まるはず!
早く習得して予選順位を上げなければ!


私はフリー走行でスピンしたコーナーも思いっきり攻めた。
今までは、

フェラーリでもしクラッシュしてしまえば高い修理代になる・・・
その後レースに出られなくなってしまうかもしれない・・・

と思い、思いっきりコーナーを攻めることができなかった。しかし、イギリスのレース短期留学で学んだテクニックのおかげで、広いコーナーではもしスピンしてもクルマを路面上ですぐに止める自信ができた。


自分の今できる限りのドライビングをして終えた予選は、4位だった。
デビューレースの予選より3つポジションを上げた順位。しかし、私は落胆した。


イギリスではレーシングスクールを1位で卒業してきたのに・・・
それでもフェラーリはまだ乗りこなせない・・・・


to be continued・・・・


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2010.9.14

●世界転戦記☆156話~何てスピンしたの?

第155話~フェラーリ大スピン!←前回のストーリー

逆ハンドルをあてても全く追いつかないほど勢いよくスピン。英国のレーシングスクールで学んできたばかりのTwo feet in! をした。スピンしたりクラッシュしそうになったら、すぐにスピードを落として速やかに止まるためにクラッチとブレーキを思いっきり同時に踏む!


止まった!はぁ。


私が運転するフェラーリは1回転スピンしてなんとかサーキットの路面上に止まった。
フリー走行中なので、後続車にぶつかられないように急いでエンジンボタンを押し、走行ラインをはずしてよろよろとフェラーリを走らせ始めた。


ぶつかるかと思った。。。よかった。とりあえずスピンしちゃったし、落ち着くために一回ピットに帰ろ


ほっとしてヘルメットの中でつぶやいた。私はピットガレージに戻る間になんで今のトライは上手くいかなかったのか?考え始めた。ピットに戻ると、メカニックにスピンした旨を告げて一度フェラーリを降りた。ガレージに置いてあった水を飲んで落ち着くと、大スピンした原因はすぐにわかった。


そうか!コーナーの入り口がかなり下っていたからだ。


コーナーの入り口はかなりの下り坂だった。そこへ平らなコーナーと同じような感覚で突っ込んでしまっては、つんのめった形になってしまう。ブレーキで荷重がマシンのフロントに乗り過ぎてしまい、後輪の荷重は軽くなってしまう。だから後輪の接地感が軽くなってしまい、ハンドルをきっていったタイミングで横Gがマシンにかかると、逆ハンドルやバランススロットルをあてるぐらいでは間に合わないほど勢いよくスピンしてしまったのだ。


一度魔法のドライビングをフェラーリでも使えたからと言って、どこでも同じような感覚で運転していてはダメなんだ。。。地形を考えろ地形を!


私は自分に喝を入れて早速ヘルメットをかぶった。

to be continued・・・・


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2010.9.07

●世界転戦記☆第155話~フェラーリ大スピン!


第154話~フェラーリで後輪を横滑りさせるのは・・・←前回のストーリー


岡山TIサーキットの1コーナーから続く中速コーナーをフェラーリで横滑りできた!


英国で学んだ魔法のドライビングが、フェラーリF355チャレンジにも通用した。
コーナーにちょっと怖いスピードで飛び込んでいき、ハンドルをきり始めると、フェラーリの後輪が横滑りを始める。その時、F355チャレンジの車体と、車内をはりめぐらされたロールバーが、荷重移動によってしなやかにきしむ。
ブレーキを微妙にそーっと離すタイミングで跳ね馬のボディをきしませ、右足をブレーキからアクセルに乗せるとF355チャレンジは、そのチャレンジの名にふさわしい甲高いエンジン音を岡山の山々にこだまさせて前へと進んでいった。


なんてしなやかで力強い名馬なんだろう!
そして、このエンジンサウンド・・・。


はじめて私の手足とフェラーリがつながったことを感じた瞬間だった。


もっと自由自在にコントロールしたい!
次のコーナーでもう一回試しちゃおう!


2コーナーを終えたところからそう考えながら3コーナーに向かった。
岡山サーキットの第3コーナーは、進入がかなりの下り坂でコーナーを折り返すと上り坂になる。そんな第3コーナーでもう一度魔法のドライビングフェラーリ版を試そうと勢いよく進入していった。


自分の中でちょっと無理気味のスピードでコーナーに入らなくては後輪が流れないから・・・


ちょっとスピード高めでコーナーに進入していくと・・・


あれ~やばい・・・ぶつかる?


フェラーリの後輪は、勢いよく流れ、とてつもない大きなスキール音と共にスピンしてしまった。

to be continued・・・・


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2010.8.02

●世界転戦記☆第154話~フェラーリで後輪を横滑りさせるのは・・・

第153話~白く年老いた表情のフェラーリ←前回のストーリー


前戦の鈴鹿で火に包まれたフェラーリも完全に修復。消火器の粉でひどく年老いた表情に見えた相棒もピカピカに磨かれて、もとの堂々たる姿を取り戻していた。


今回は、英国でのレース短期留学で学んだことを出せるだろうか?
フリー走行が始まり、最初は前回負った傷でマシンに異変がないかどうか様子を見ながらフェラーリを走らせた。


問題なさそう・・・よかったぁ・・・またよろしくお願いします!


私は、ヘルメットの中で相棒のフェラーリF355にそう語りかけて、徐々にアクセルを全開にした。


英国で学んだ"魔法のドライビング"をこのフェラーリでもできるだろうか?
中速コーナーの1コーナーや2コーナーは、それを試す絶好のカーブ。
病み上がりのフェラーリ。
そしてイギリスで走ったフォーミュラーよりは車重が重いフェラーリ。
そして2コーナーはスピンすればそく壁にぶつかってしまう。
不安は次々に頭をよぎる。
しかしせっかく学んだのだから1周でも早く試さなくては・・・・


次の周、まずはエスケープゾーンがある1コーナーに自分の中のギリギリのスピードで飛び込んでいった。この頃はまだ、マシンの限界のスピードで飛び込むことはできず、自分の限界のスピードを上げて行くのに時間がかかっていた。


あれ?イギリスのフォーミュラーカーのようにハンドルをきり始めてもリアが流れ始めない・・・。


進入スピードが遅くてフェラーリの後輪は、どっしり路面をつかんでグリップしたままだった。


次の周、もっとスピードを上げてコーナーへ飛び込もう。怖いけど・・・。いやいや怖くない!


自分に言い聞かせて次の周の1コーナーでは、先ほどより気持ちスピードを上げてカーブへ進入していった。すると、フェラーリの後輪が流れ始めた!
頭で考えている余裕などなく、ブレーキペダルを離したばかりの足をとっさにアクセルにのせた。アクセルを優しく踏み始めると、フェラーリの後輪の横滑りは止まり、前へと駆動していった。


キャッ!できた!イギリスで習ったバランススロットルがフェラーリでもできた!


まだまだ完成度は低いが、フェラーリを横滑りさせながらコントロールすることを意識的にできるようになってきた。
お次はこのカーブでもやってみよう!
そこで私はフェラーリ大スピンを喫することになる。


to be continued・・・・


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2010.7.28

●世界転戦記☆第153話~白く年老いた表情のフェラーリ

第152話~キャー!私のフェラーリが燃えてるー!?


燃えるフェラーリから飛び降りて、私は一目散にコース脇に走っていった。
マシンが爆発するかもしれない・・・・
車内の匂いからしてガソリンが漏れていたかもしれないと思い、マシンから離れると、

「消火器!消火器!」

と叫ぶ友人レーサー。
その間に燃えるマシンは鈴鹿サーキットのメインストレートを前進していた。というのも、通常、レーシングマシンにはサイドブレーキはついていない。本当はギアを1速に入れておけば良かったのだけれど、炎を見た瞬間あまりにもびっくりして飛び降りてしまった。だからマシンはニュートラルの状態で、下り坂であるメインストレートをマシンがすこしずつ前進し、まさに転がる火の車だった。


しかし幸いそこはメインストレート。たくさんの人が迅速に対処してくれて、あっという間にマシンから出た火は消し止められ大惨事は免れた。


ピットガレージに運ばれた赤い跳ね馬は、消火器の粉で真っ白になり、後部が一部焦げていた。火が出た原因は、古くなった管にクラックが入り、オイルがにじみ出たことだった。レーシングドライブで温度が上昇したエンジンやそのまわりの熱さから引火したようだ。
このマシンは、私で4代目の乗り手。代々の素晴らしい乗り手と共に数々のレースで活躍してきた中古のフェラーリなのだ。だからレースなどの激しい走行をしていると、予期せぬクラックなどはあり得る。


私の方はと言えばなんともなかった。マシンを飛び降りた瞬間、猛烈に熱くて背中が燃えているんじゃないか?と思ったが、事なきを得た。しかし、自分の相棒であるフェラーリF355チャレンジが一部分だけでも焦げて白い粉をかぶっているのを見たら、何だか痛々しくて涙が出そうだった。
また、レースデビューして2レース目にしてこう言ったアクシデントを経験し、モータースポーツに挑む以上、もっと気を引き締めて取り組まなければいけないと、深く自省した。
その日の夜は、眠りにつくと、何度でも燃えている夢を見てすぐに飛び起きた。


こうして残念ながら、第2戦はリタイア。英国のレーシングスクールで学んだことを試すことはできなかったが、こういったアクシデントを最初の頃に経験することによって、後の世界転戦では、マシンの異常や不調を敏感に感じ取ることができるようになった。


第3戦は岡山TIサーキット。この地で初めて、レースの醍醐味を知る。


to be continued・・・・


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2010.7.27

●世界転戦記☆第152話~キャー!私のフェラーリが燃えてるー!?


第151話~レースクイーンとしてみてきた鈴鹿を初走行!←前回のストーリー


初めて走る鈴鹿は、レース初心者の私が3周で覚えられるほど簡単ではなかった。4周目に入り、鈴鹿の1コーナーに自分なりには思いっきり飛び込んだ。スピンしそうでしかしそのあとは曲がり切れなそうに感じてびくびくするものの、クルマの挙動はびくともしていない。英国のレーシングスクールで言われたように、これじゃぁただのハイウエイドライブで、レーシングドライビングじゃない。

う~んもっと攻めなきゃ・・・・

続くS字コーナーや上りでブラインドコーナーのダンロップ、そしてデグナーカーブでは、先週まで英国で車重の軽いフォーミュラーカーに乗っていたせいか、フェラーリの重さを上手くコントロールに利用できずに冷や汗ばかりかいていた。
そして、後半セクションの長いロングストレートでは、怖かったアクセル全開もコース攻略に集中して頭が興奮しているせいか、なんなくできた。


最終コーナーのシケイン。先程飛び出したので、ブレーキングポイントを早めにして飛び込んだ。曲がり終えてコーナーの立ち上がりでアクセルを全開にしたと同時に私は後続車がいないかバックミラーで確認した。すると、


あれ!?なんか赤い?


えっ!そういえば変なにおいがする!


フェラーリF355チャレンジのコックピットの中が、ガソリン臭いことに気がついた。
アクセルを踏むのをやめてもう一度バックミラーを見ると、


あわわわわ・・・・燃えてるー!!!死ぬぅ・・・・。


私のマシンの後部は炎に包まれ燃えていた。


どうしよう・・・飛び降りよう!


鈴鹿のホームストレートに差し掛かるところで、私は燃えるフェラーリをすぐに止めて飛び降りた。
背中が熱い・・・・えっ!私燃えてない!?


to be continued・・・・


今までの連載ストーリー←レースクイーンからレーサーに転身して世界を転戦。目標を達成するまでの「カーレーサー井原慶子すっぴん世界転戦記

2010.7.22

●世界転戦記☆第151話~レースクイーンとしてみてきた鈴鹿を初走行!

第150話~ラストレースクイーン♡


鈴鹿でむかえたフェラーリチャレンジ第2戦。
ヒストリックフェラーリからF1のフェラーリまで集まる"フォルツァフェラーリ"というイベントと共にレースが行われた。フェラーリをきれいに並べて空撮すると「FERRARI」の文字が浮き上がって見えるほど日本中のフェラーリが集まり、サーキットは大いに華やいでいた。


2年前、フェラーリのレースクイーンをやっていた時、初めて見たフェラーリのレース。ピカピカのフェラーリがぶつかって大きくへこんだり、排気のすすで真っ黒になったりしちゃうわけで、「フェラーリでレースするなんて信じられない!」とギャル心に思っていた。
しかし、英国のレース短期留学を終えて間もなく迎えたフェラーリチャレンジ第2戦。フェラーリの祭典の喧噪のなか、私の心はレースだけに集中していた。


フリー走行が始まった。
半年前のF1日本GPでは、ベネトンカラーのハイレグ水着を着てドライバーに傘をさし、シリーズチャンピオンのかかったミハエル・シューマッハの走りに観客席で鳥肌を立てていた私。今度はそこを自分で走る番がきた。難コースと言われる鈴鹿のピットガレージでフェラーリF355に乗り込み、ただただ緊張した。
何せ生れて初めて走る鈴鹿サーキットをフェラーリで走るわけで・・・。


興奮を抑えるようにして私はピットアウトした。
世界中のサーキットを走った今から見ると、鈴鹿サーキットはとても狭い。しかし、初走行のこの時にはありえないぐらい道路の幅が広く見えた。


どこを走っていいかわからない・・・・


そういう時は・・そういう時は・・あっ!イギリスのレーシングスクールで習ったセオリー通りに走ってみよう!


裏ストレートでは、アクセル全開にしなくちゃいけない。。。


レースデビューしてからまだ2回目のレース。私はフリー走行の走り始めで、意識的にアクセルを全開にしなければできないほど、フェラーリで一気にアクセルONするのが怖かった。


キャー!!!止まれない・・・・ぶつかるかも・・・


最後のシケインで止まりきれずにコースアウトした。イギリスのレーシングスクールで車重が軽いフォーミュラーカーばかり乗っていたので、その感覚が抜けきれず、止まり切れなかった。しかし、何とかコースに戻れたので幸いクラッシュは免れた。


う~ん、難しい!早くサーキットの走行ラインを覚えなきゃ速く走れない・・・。
フリー走行の時間ももうすぐ終わっちゃうよ~。。。


私は、この頃から思ったことをぺちゃくちゃヘルメットの中でおしゃべりしていた。黙って心の中にしまっておくとドンドン心拍数が上がって行きそうで怖かったからだ。


少しずつわかってきた走行ライン。車も私も温まってきて、だんだんタイムも速くなってきた。
3周を終えた次の周、それは起こった・・・・。


to be continued・・・・


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2010.7.21

●世界転戦記☆第150話~ラストレースクイーン♡


第149話~絶妙なブレーキングは足が白くなくては!?←前回のストーリー


レーシングスクールでまるで"魔法のようなドライビング"を教えてもらい、F1ファクトリーやさらにはF1ドライバーのお家に行き、そのメリハリある生活も垣間見た。
そして本場のモータースポーツの素晴らしさも肌で感じることができた。
こうして短い英国モータースポーツ留学を終え、私は日本に帰国した。


イギリスから帰国して直行した先は、鈴鹿サーキット。
実は、フェラーリチャレンジ開幕戦でレースデビューした後英国へとび、帰国したらすぐに第2戦をむかえることになってしまった。


いよいよイギリスで習得してきた"魔法のドライビング"を試すことができる!


私はドキドキしながら鈴鹿に乗り込んだ。
鈴鹿のピットガレージに到着すると、デビューレースで奇跡の表彰台に上らせてくれた相棒の「フェラーリF355チャレンジ」が、ピカピカに磨かれて静かに火が入るのを待っていた。


私はと言えば、そんなマシンをバックにレースクイーンのかっこうをしてメディアの取材を受けていた。レースクイーンレーサーがデビューレースでいきなり3位になったということで、たくさんのテレビ番組や新聞、雑誌のカメラマンが鈴鹿に来ていた。
赤いピンヒールに胸には"FERRARI"の文字が入った赤いハイレグ水着を着て、相棒の跳ね馬レーシングマシンの前でポーズをとった。
そしてこれが、私の最後のレースクイーン姿となった。


一通りの撮影を終え、明日から始まるフェラーリチャレンジ第2戦のフリー走行を前に気分は高揚していった。
明日の走行で大惨事になる事も知らずに。


to be continued・・・・


今までの連載ストーリー←レースクイーンからレーサーに転身して世界を転戦。目標を達成するまでの「カーレーサー井原慶子すっぴん世界転戦記

2010.7.20

●世界転戦記☆第149話~絶妙なブレーキングは足が白くなくては!?

第148話~ジェットコースターコーナーを目の当たりにして←前回のストーリー


メインレースの時間になり、ピットからは勢いよく各チームのF3マシンがコース上に飛び出してきた。
この年の英国F3は、F1と直結するジュニアチームが存在し、名門ジャッキースチュワートレーシングや、ベネトンF1チームのジュニアチームもF3に参戦していた。


かの有名なアイルトン・セナやミカ・ハッキネンなどそうそうたるドライバーがF1の最後の登竜門に選んだ英国F3とは、どんなレースなんだろう?


1コーナーの観客席から眺めていると、ピットからF3マシンがでてきて、思いっきり加速したり急ブレーキをかけたりと、各マシン激しくタイヤをつぶしながら温めていた。


レース前にタイヤ痛んじゃわないのかなぁ?


と思うぐらいタイヤスモークを上げていた。
フォーメーションラップを終え、いよいよスタート。
超満員の観客席は静まり、観客たちも息を飲んでスタートシグナルを見つめていた。
シグナルが青に変わった瞬間、轟音が鳴り響き、何台ものマシンが押し合いながらジェットコースターコーナーである1コーナーに進入してきた。


あっぶつかった!というか横の車をホイールでわざと押してるの?


そしてぶつけられたマシンは横転して壁に激突した。


はっ激しすぎる!!!
スタート直後に1コーナーに向かってくるF3マシンは、ハイスピードの中、むき出しのタイヤホイールを横にいるマシンのホイールと"カンカン"あてながらけん制しあい、コースのアウト側にいれば横転。私はその激しさと絶妙なコントロールのけん制にあっけにとられた。


すぐにセーフティーカーが入ってレースはつかの間の中断。
その間、横のおじさんと興奮して片言の英語で話をしてみると、英国F3では、いつも3~4回はセーフティーカーが入ると言う。
そして、私が観客席から見下ろしていたジェットコースターの下りのような1コーナーは、F3では5速で通過すると言う事を聞いて驚いた!
あんな入口が狭くコーナーの先は下っていて全く見えないブラインドコーナーを5速200キロオーバーで駆け抜けるなんて正気の沙汰ではない。


さらにおじさんは、「ちょっと歩くと、ものすごいブレーキングショーを見られるよ!」


と言って、奥のコーナーまで連れて行ってくれた。
金網越しに見ていると、レースが再開され、またも激しく競った先頭集団がやってきた。


キキキキー!!!


ブレーキ音が響かせながら曲がっていったのは、私が後に所属することになるカーリンモータースポーツから出場していたインド人ドライバー・ナレーン・カーティケイヤン選手だった。

彼のブレーキングは「全力の中の絶妙」だった。

誰よりも遅くブレーキペダルを踏みだして、コーナーのアウト側のアスファルトがなくなるすれすれのところでギリギリ減速し終わる。そんなコースアウトギリギリの部分を通っているのに慌てることなく減速し終わるとマシンはきれいに向きを変えてコーナーを脱出していった。
私は、そのブレーキングを何度見ても全身に鳥肌が立った!


翌年、私は英国に住むことになり、まさかこの絶妙なブレーキングのインド人ドライバーと一緒の街に住むことになるとはこの時夢にも思わなかった。
後に彼にこのブレーキングの極意を訪ねると、


「僕は肌の色は黒いけど、足の裏だけ絶妙に白いからさっ!日本人のきみにはまねできないだろ!」


と、ちゃめっ気たっぷりのジョークでかわされてしまったが・・・。

to be continued・・・・


今までの連載ストーリー←レースクイーンからレーサーに転身して世界を転戦。目標を達成するまでの「カーレーサー井原慶子すっぴん世界転戦記

2010.7.13

●世界転戦記☆第148話~ジェットコースターコーナーを目の当たりにして

第147話~F1ドライバー直々のレクチャー♡←前回のストーリー


英国レース留学最後の週末、本場のレース観戦に連れて行ってもらえることになった。
向かったのはブランズハッチサーキット。ロンドンから南へ40分ほど車で走ると到着。
グランドスタンドの観客席に上った瞬間、目が点になってしまった!
観客席から見える1コーナーは、ジェットコースターのように下って2コーナーへ向かってまた上っている。そして最終コーナーも丘を上りながら曲がるブラインドカーブな設計で如何にも難しそう!


しばらくすると、ツーリングカーのレースが始まった。
スタート直後の1コーナーの争いは激しいなんてものではなかった。3台、4台マシンが並んでジェットコースターコーナーに飛び込んでいく。横に並びきれないマシンは外側の砂地に容赦なく押し出されてクラッシュ。坂を登りきった2コーナーでは、ブレーキをわざと遅らせて前のマシンに微妙に追突し、押し出してしまう。
私は本場の激しいレースに瞬きもせず見入ってしまった。


そして観客も熱狂的!応援するチームのマシンが来る度にエンジン音やヘルメットをかぶっているレーサーに届くはずもないのに大声で応援。
また、2コーナーで先ほど押し出されてやむなくリタイアしたレーサーが、マシンを降り、コース脇のフェンスの外に出た途端、子どもたちが殺到してサインをねだったりお年寄りが握手を求めていた。観客の中には、丁寧に毎週のラップと順位をプログラムの中にあるラップチャートに書き込みながら真剣に見る人も。
レースクイーンの頃から日本のレースは山ほど見たけれど、本場英国のモータースポーツは、全く違う競技というか文化だった。


そして、この後始まるメインレースで忘れられないブレーキングを目の当たりにする。

to be continued・・・・


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