趣味の総合サイト ホビダス

編集という仕事

| Category: | コメント(0)

20代の頃、建築雑誌社に入ったばかりのとき、月刊誌と並行して与えられた仕事が、
『近代建築再見』という、月刊建築知識の連載をまとめて、上下巻にするというものでした。
前職の映像の演出をしているときに、初めてプレゼンして採用されたのが、
近代建築をテーマにした作品だったので、私に白羽の矢が立ったのかもしれません。

昔は手書き原稿を写植屋に入稿していた時代ですから、
テキストデータなんてあるはずもなく、
膨大なすべての原稿、注釈......を、テキスト入力したのは、いま思えばいい思い出。
誤植や誤字脱字も、いくつも見つけ出して、
ゲラを山口先生に届けるために、千葉の日大まで届けに行ったのもいい思い出。
「よく、こんなにしっかり校閲してくれましたね」と、労ってもらったのでした。
(だから、ドラマ『校閲ガール』は共感しましたよ)

山口先生と日大山口研究室の綿密な調査の上に成り立った素晴らしい文章。
宮本さんのしっとりとした写真。
花椿なども手掛けたこともあるデザイナー氏は、ちょっぴり気むずかしかったけれど、
連載とはまったく違うテイストの、美しいデザインに仕上げてくれました。
当時、同僚からは、「編集のクレジット、入れないの?」と言われましたが、
駆け出しの若造が、この素晴らしい本のクレジットに名を連ねるなんて、そんな大それたこと考えもしませんでした。
月刊誌の連載当時、担当していた編集者の方々の緻密で大変な仕事が、とてもよく分かったからなおさら。
だって、自分は再編集しただけだから。
しかも小説だって編集者の名前はクレジットにありませんからね。

そして、次に移った出版社で出したのが、『CONTAX完全詳解図鑑』。
これも全ページのラフを引いた、思い出深い1冊。
CONTAXがカメラから撤退したので、正真正銘のすべての京セラCONTAXを図解した本となりました。
自分がCONTAX使いだったこともあって、その思い入れは、半端なかったですね。
全撮影をCONTAXとカールツァイスで行い、シューティングカメラとレンズのデータも記載し、
カメラマンもデザイナーも(そして編集の私も)、全員CONTAX使いでチームを組むというこだわりよう。
これを作ったときの熱量で、また雑誌をつくることができたら、それは本当に幸せだとつくづく思う1冊。

IMG_3711.jpg

ROSSOで5年以上続けた連載を再編集した『THE SUPER CAR』の下巻が販売されました。
昨今の流行りを取り入れて、上巻をORIGIN、下巻をADVANCEと命名。
連載を立ち上げたとき、すでに『近代建築再見』と同じようにいつか自分の手でまとめようと決めていた本。
神村さんの写真に西川さんの文章を合わせるというヒラメキも、間違ってなかった。
ページをめくると、幼い頃、スーパーカーカードをワクワクして眺めていた時のことが思い出されました。

並べて見ると、3つの版元で、それぞれいい仕事をさせて頂きました。

しかも、近代建築再見が20代、
CONTAX完全詳解図鑑が30代、
THE SUPER CARが40代での思い出の本に。

さー、50代ではどんな本を作ろうかなー、の前に、
まだ40代も5年残っているので、いろいろやりたい企画を叶えていかないとね。

コメントする



プロフィール

profile

西山嘉彦

大学卒業後、ドキュメンタリー映像の助監督を経て出版業界へ。某建築雑誌で編集技術をマスターし、縁あってクルマ系雑誌編集部へ移籍したのが運の尽き。以来、カメラ雑誌、グラビア誌、BMW専門誌など自分の興味あることを中心に雑誌を立ち上げ、AUTOCAR JAPAN副編集長としてネコ・パブリッシングに移籍。現在、ROSSO/BMWERの編集長を兼任。座右の銘は「吾唯足知」って、ウソ。本当は物欲が抜けきらない、煩悩のカタマリ。いつも心の中でお経のように「吾唯足知」と唱えて、心を諫めているのでした。日本旅行作家協会会員。

2017年1月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

アーカイブ

 

趣味の総合出版社 ネコ・パブリッシング
Copyright © 2005-2015 NEKO PUBLISHING CO.,LTD. All right reserved.