2005年07月01日

修善寺芸術紀行/編集長

私たちのトシ(?)になると,母娘でよく旅をする。久しぶりに会った友人やたまに長電話をする友人とも、必ず、この話になる。親が元気なうちに行っておこうという訳で、親孝行もテンションがあがる。京都、金沢、温泉はいうに及ばず、海外へと出かけていく友人も多い(ちなみにうちは国内派だ)。私も先日、修善寺温泉に母と行ったのだが、今回は、いつもと趣が違う。「あさば」という名旅館の野外能舞台で行われる狂言の鑑賞が目的だ。

夕方6時からの観劇は、夏至の日とあって薄暮の中、始まった。この日の演目は2本。1本目は「梟山伏(ふくろうやまぶし)」。山から帰って様子のおかしい弟を心配した兄が山伏に祈祷を頼む。梟に取り憑かれたのであろうと山伏は、懸命に祈祷するのだが、そのうち、弟が奇妙な声で「ホーッ、ホーッ」と鳴き始める。やがて後のふたりも鳴き始めて止まらない・・・というお話。この奇妙な声が笑わせる。修善寺の深い山を背景にした舞台に、ふさわしい演目だった。本物の鳥も思わず誘われて鳴いていた。さて、次は野村万作がシテを勤める「鍋八撥(なべやつばち)」。こちらは、新しく立つ市の一番目の出店を争うというもので、狡猾な浅鍋売りを演じるシテの巧みさに引き込まれた。初めて観た狂言だったが、舞台の雰囲気も素晴らしかったこともあり、軽妙なやり取りが、とても面白かった。これからは、日本文化にも触れていかねばと思った次第。
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写真:小社刊「極上の旅」より。広い池に面した「あさば」の能舞台。向かいの石桟敷から鑑賞する。

そして、今夜の宿は、竹林に囲まれた修善寺のもうひとつの名旅館「柳生の庄」だ。
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写真:小社刊「極上の旅」より。凛とした佇まいを見せる「柳生の庄」の玄関。清々しい竹林に癒される。

こちらも料理のおいしいことで名を知られる。観劇があったので、夕食の時間をずらしてもらった。一泊二日で、名旅館を二軒堪能するという、貧乏性の私がプランニングした贅沢極まりない思い出の旅になった。帰りには、三島で降りて、大好きなクレマチスの丘に寄って行こう。元気な母との旅は、フル稼働である。

投稿者 編集長 : 2005年07月01日 12:00

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