【第2話】11個のシュークリーム

少年にとって自分ちがお菓子屋というのは、夢のような話で友だちたちからは羨ましがられた。
学校から帰ってきた時に、お菓子問屋さんのトラックが店の前にあると嬉しかった。
問屋のおじさんが入荷してくれるお菓子の新製品を、誰よりも先に見る事ができるからね。
それをお菓子コーナーにディスプレィするのが、自分がかってでたお手伝いの仕事。
新製品をダンボール箱から取り出し、棚に並べる楽しい作業だから進んでやったよ。
自分なりに配列や見栄えなどをいろいろ考えた。
時々、お菓子をごまかせるというボーナスもあるしね・・。
森永の賞品だった「おもちゃの缶詰め」を何度もゲットした。
今でもある「森永のチョコボール」というもので、箱の上部を上に引くと鳥のくちばしみたいな
取り出し口が飛び出し、そこからチョコボールが出てくるやつ。
チョコの中身はピーナッツとキャラメルと2種類あったけど、キャラメルの方は歯にくっつくからねー。
ピーナッツを好んで食べた。
で、そのくちばしの色が茶色だと”当たり!”で送ると「おもちゃの缶詰め」がもらえる。
青色だと5口(だっけな?)で、オレンジ色だとハズレ。
でもね、茶色や青色なんてなかなか出ないのよ。
だからカミソリで箱を包んでるセロファンのくちばしのあたりを、少し切って茶色のくちばしを探した。
そうやって不正を働いて、「おもちゃの缶詰め」をたくさん手に入れた。
密閉された缶詰めの中に、いろんなおもちゃが詰めてあるという子供心をくすぐる
ときめきグッズでこれがどーしても欲しかったもん。
またある日、新しい商品が入荷した。
それは「ベビーシュークリーム」だぜ、Baby!
一口でほおばれて、口いっぱいにクリームがとろける美味しいシュークリーム。
店に並んだ透明パック容器の横の隙間から、1個抜き取って食べて味わったあとにふと思った。
他は12個入りなのに、1つだけ数が足りないのはマズイ・・バレる・・・。
店に並んでる他のシュークリームの個数を均等にするために、全部から1個づつ抜き取って食べちゃった。
やってる事、メチャクチャでしょ?こういう悪知恵が働くんだよね。
こうやっていくつかの悪事を働いた事実を今認め、この場を借りて店に来てくれた近所の人と
死んじゃった”さかゑ”おばあちゃとお菓子の神様に懺悔をします。
時効の過ぎた罪深き少年を、どうか許したまえ・・。
つづく
第3話は「ストーブ当番」


コメント (2)
名古屋の実家の目の前に小学校があって、その裏門のあたりに文房具屋兼駄菓子屋がありました。
毎日行って信用を得ていた私はある日、おばさんに留守番を頼まれ、半日店番をしたことがあったんですが、自分の家がお菓子屋さんだったらどんなに良かっただろうとその時に思いました。
私は紐のついたフルーツ飴をズルして大きいのをせしめる技が得意でした(笑
投稿者: 黒砂糖 | 2008年4月30日 23:08
日時: 2008年4月30日 23:08
ありますよね。
子供の頃の前科って。
それにしても留守番を頼まれたなんてスゴイですね!
投稿者: マッツ | 2008年5月 1日 17:28
日時: 2008年5月 1日 17:28