ガレージ・ライフ ブログ

2006年01月13日

謎の旗艦M745i【ナガヤマ】終わりなきガレージングの旅

直6FRが好きで、今まで英米独日、いろいろなクルマに乗ってきた。
残念なことに、最近ではパッケージ効率や生産性も含めたもろもろの事情によって、直6エンジンも後輪駆動車も少数派になってしまった。
結果的にBMWを何台か所有するにいたっている。

その中の1台、この最初期型(E23)の7シリーズは、出自に謎のあるモデルだ。
M1以来のS38ユニット、つまりMエンジンを搭載しているからだ。

BMWに詳しい人なら、M5やM6ならわかるがM7なんて聞いたことないぞ、
と思われるだろう。
事実、ミュンヘン本社ではM7もしくはM745などリリースしたことはない。

ではこのクルマの正体は?


実は南アフリカのBMW現地法人がプロデュースしたモデルなのだ。
もともと南アには、アパルトヘイトという制度があったため、豊富な労働力が調達しやすかった。
そこでBMWなどいくつかの自動車メーカーも、ここに工場を建設しアフリカやアジア圏へ輸出する車両の生産にあたらせた。
本格的なアッセンブル工場も持っていて、なおかつ居部的に富裕層が存在するマーケットを背景にかかえていた事情から、ドイツ本国では実現できなかった(させなかった)、トライアル、あるいは冒険暴挙に近い製品を世に出すことができたのだった。


その最大の理由は、イギリス、オーストラリアなどコモンウェルズ各国同様、この国も左側通行だったことにある。

メルセデスSクラスに対抗すべく登場したBMW7シリーズは、開発当初から、伝統的な直6エンジンはもちろん、V12エンジンやターボ、ツインカムなど、さまざまなエンジンを組み合わせようとした。
結果的に、ビッグシックス系SOHCの728、735とそれにターボをつけた745がラインアップされている。3.5リッターの、右に大きくスラントしたビッグシックスエンジンは、さらにその排気側(右側)にターボチャージャーを装着したことで、スペース的に右ハンドル仕様は生産不可能となり、左側通行の各国向けには最上級モデルである745は正式には販売されることがなかった。
それで業を煮やしたコモンウェルズ圏の意見を取り入れ、自国にも有力マーケットが存在する南アフリカの現地法人BMW-ZAが、745ターボに匹敵するパワーを右ハンドルでも得られるようにするにはMエンジン搭載しかない、と考え、このM745iを生産したのだ。内装トリムなどもドイツ本国ではありえないほどのゴージャスな革の使い方で、このモデルの狙いが容易に想像できる。

いわばミュンヘン本社に認証されたカタチの生産ではなかったため、その実生産台数は不明だが、ものの本では180台とか249台とか書かれている。そして1986年頃には、やはり右ハンドルの国である日本にも、10〜20台程度が輸入されたのではないかと思う。

そのうちの1台がこれというわけだ。
レアものといえばレアもの、珍車奇車の類かもしれない。
だが私は純粋な気持ちとして、右ハンドルで運転できるならそれに越したことはないし、しかも7シリーズで、MエンジンをATで走らせるなんて、ちょっとありえない贅沢かも、と思ってこのクルマを手に入れたのだった。

エンジンとミッションの相性は、やはり低速では少々かったるい部分がある。
しかし一旦車速が50キロぐらいまで乗ると、中間加速とリミットまでの伸びは見事だと思っている。
実際、現代でもパフォーマンス的に不足は感じない。DIN出力290HPだけのことはあると思う。

今では日本国内で動いているM7はかなり少なくなってしまった。
どだい、E23型の7シリーズなんてめったに見ない。
しかしこの個体は、一通りのルーチンメンテを継続しているし、レベライザーをコンベンショナルサスに換装しているので、本当に手いらずだ。
なので、これからもしばらくは走り続けるだろう。

もし、同型にお乗りの方をご存知であれば、是非ご連絡を。


ではまた。
Let's Garaging!!
ナガヤマ@GarageLife

コメント (1)

Satoshi:

ダブリ投稿スイマセン。
M7って日本にもあったんですか?いきなりのご質問でぶしつけですが、誰かにお譲りになられるおつもりはありますか?
小生、大変興味があります。

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