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(写真のCB750FとNS400Rは本編とは関係ないのだが、バリ伝のグンをイメージして…….そういえばノリックも最初はホンダだったし、ゼッケンも56だった……)
この週末は某所にて草刈りをしてきた。慣れない作業だったので、いまでも全身がプチ筋肉痛ぎみだ。この話はまた後日。
この草刈りから帰宅し、テレビを見ていると、ノリックの事故死のニュースを知った。レース中ではなく、一般道での交通事故だった。
1994年の日本GPでの彼の走りはすごかった。世界GP初スポット参戦ながら、当時チャンピオン争いをしていたドゥーハンやシュワンツなどそうそうたるライダーとトップ争いの大バトルをくりひろげ、結局トップのまま1コーナーで大クラッシュ。タイヤが滑りまくりだった走りは見ていて怖いほどだったが、それ以上に胸高鳴った! 大興奮だった! バイクレースがこんなに面白いものだということを思い出した感があった。日本人としての意識も高揚した。まさしく、マンガのバリ伝のグンそのままだったのだ。
報道の情報だけだが、どうやら左車線を走っていたトラックが急にUターンし、中央車線をバイク(ビッグスクーター)で走っていたノリックが突っ込んでしまったらしい。なにが無念って、こんなつまらない人間のつまらない行為で死んでしまうこと……まったくやりきれない。
200馬力オーバーのモンスターマシンを手足のように扱って、200キロオーバーでバトルするような名手でも事故にあってしまうのである。だったら僕などはもう10回は死んでいてもおかしくない。
事故にあうかどうかは、ライディングの技量は関係ないのかもしれない。もし事故にあわないために必要なことがあるとしたら、それは用心深さ、あえていえば臆病さなのかもしれない。
自分の周りを走っているのは、すべて今回のトラックの運転手のようなアホでノータリンだと思うこと。そうイメージすること。そして、横を走っているクルマ、前にいるクルマ、後ろにいるクルマが、止まっているクルマが、ありえないかもしれないけど、もしこんな常識はずれなことをしたらどう対処しよう? もし急に急ブレーキをかけたら? もし急に幅寄せしてきたら? そんなことを考えつつ、もしこうならこうする、ということをイメージしながら走る。僕はそういうことを心がけている。
さらには、運転手の頭の動きやクルマのちょっとした挙動、道路の状況(交差点が近い、クルマが止まっている、前が空いた等々)なども観察して考え合わせ、起こりそうなこと、まず起こらないだろうが起こりえる最悪のことをイメージするようにしている。そんなことしていたら面倒だ、疲れてしまう、楽しくない、と思うかもしれないが、僕はこれらは無意識のうちに自然に行うようになっている。
もちろん、ノリックもそうしていただろう。ライダー、それもある程度の経験のあるライダーならみんなそうしているはずだ。それでも事故にあうときはあう、不可避なこと絶対にあるだろう。
しかし、その確率を低くすることはできると考える。もしそんな危険のにおいを察知したら、臆病になって一歩引くことだ。リスクのあるスリ抜けはしない。ふらふら落ち着きのない挙動のクルマがいたらそこから離れる。大型トラックには絶対に近づかない。あれは特にたちが悪い。走る凶器(ま、クルマもバイクも凶器だが)、爆弾級の凶器だ。トラックが横に並んだら、とっとと前に行くか、スピードを落として後ろに距離をとる。
バッドシチュエーションをイメージし、臆病になることで、事故にあう確率はいくぶんでも低められると思う。バイクはかっ飛ばしてナンボと思う若いライダーもいるだろう。でも僕は、そんなつまらない快感よりも自分の命の方が惜しい。
人は死んでいくし、理不尽な死に方もあるが、それはどうしようもない。生きている僕らは、せめてそこから何かを感じるのみだ。そして、いつまでも覚えておいてあげること。94年日本GPのノリックのあの走りは、忘れようたって忘れられない。



