よく自動車のショール-ムや、バイクショップに
レーシングカーやレーシングバイクが飾られていたりする事が
ありますが、自分はそういうのを見ると、子供の頃に読んだ、
「ちいさいおうち」という絵本を思い出します。
メカニックに手を掛けられ、磨かれ、レーサーと一体になって
思い切りサーキットを駆けていたのに、いつの間にか
場違いな場所に連れてこられ、走りもせず、火も入れられず、
月日だけが過ぎて行く...
それらはまるで、動物の剥製のようでもあります。
「レーシングマシンは生ものだ」
誰かがこう言っていました。
今まさに、リアルタイムで「走るため」に準備されている車両と
いうものは、ピットに並べられ、置かれているだけで、
オーラ、エネルギーを発散しています。
「さあ、走らせてくれ!」そう言っているようです。
役目が終わればそれまで、
それがレーシングマシンの「寿命」というもの
なのかも知れません。
ですが、この場所に置かれていたマシン達には
それを手掛けたエンジニアや、
そのマシンに身を預けたライダー達の「情熱」や「狂気」が
今でもわずかに燻っているように見えました。
それはきっとこの場所が、かつてオートバイやレースというものに、
「本気で魅せられていた」、今では出会うことの少なくなった、
ギラギラと光り輝くような魅力を持った男達が集った場所だから
なのでしょう。
「君に、君達に不可能はない」
青、白、黄色の旗印のもとに...
(これらのマシンは、現在は一般公開されていません。)