ミニカーホビダス(ロゴ
TOP	ショッピング ミニカーニュース ミニチャンプス ホットウィール モデルカーファイル ホビダストップ
 

初代編集長 平野克巳の「猫の耳に大仏」湘南鎌倉便り


モデルカーズの生みの親、平野克巳氏による目からウロコの模型小噺。さぁどんな話が飛び出しますか。乞うご期待。

« 男たちの大和糊 | トップ | 聖夜に天使が降臨す »

2005年12月20日

シランプリ




 最近はテレビで深夜にF1の録画中継をしていても知らんぷりである。何だか一向に興味も沸かず、裏番組の下世話なお笑い番組などを観ていたりさえする。思えば初めて日本にF1がやって来た1976年以降、それとなく盛り上がっては落ち着いて、を繰り返しては、次第に沈静化して来たように思える。ホンダ・パワー黄金時代、ロータスと中嶋 悟の撤退、セナの死、そんな要因が作用しては「みーちゃんはーちゃん」まで巻き込んで熱く燃えたF1グランプリも現在の衰退へと至っているようだ。大体からしてF1グランプリと云うのは「世界で最も権威ある自動車レースの最高峰」を自負しているが、元を正せば自動車文明では世界の頂点を自認していたかつてのフランス、イタリア、イギリスなどの欧州各国が、勝手に世界チャンピオンシップを謳って始めたクラブレースみたいなもので、極めてローカル色の強い「地域限定」草レースみたいなものである。喩えて言うならアメリカのメジャーリーグ・ベースボールが全米チャンピオンを決めるシリーズに「ワールドチャンピオンリーグ」を謳っているようなものだ。まあ時代と共に町工場規模では出来なくなって、現在では良くも悪くも世界規模になってはいるが。ボクが仕事を通じて会った事のあるF1ドライバーは、ジョン・サーティース、ジム・ホール、キャロル・シェルビー、スターリング・モス、フィル・ヒル、そしてF1のシートには到達出来なかったが生沢 徹と云った面々であったろうか。その陣容からしてお分かりのとおり、ボクにとってのF1は1960年代、それも1961年から1965年に施行された1,5・レギュレーションの時代である。無敗の空飛ぶスコットランド人ジム・クラークの、二輪と四輪の両方で世界を制した天才ジョン・サーティースの、そして我らがホンダ乗りリッチー・ギンサーの活躍したあの時代である。1,500ccの小排気量エンジンが絞り出す悲鳴のようなエキゾーストノートに、ナショナルカラーに染め上げられた華奢なマシーンの俊敏な走りに何よりも魅了されたものだった。当時はテレビ中継など勿論の事、ビデオ、DVDなど一切無く、精々三月遅れのモータースポーツ誌やレコードで静止画像や排気音に接する程度だったから、映画「グランプリ」(1966年製作/監督:ジョン・フランケンハイマー/出演:ジェームズ・ガーナー/イヴ・モンタン/三船 敏郎他)には狂喜乱舞したものであった。車載カメラ映像を見たのも初めてであったが、モンテカルロやスパ・フランコルシャン 、モンツァ、ザンドフォールトなど、雑誌のモノクロ写真でしか見た事のなかった風光明美で牧歌的な世界のサーキットを目の当たりにし、まるでフルシーズンを転戦しているような気分であった。
 先に記したようにVHSもDVDも存在しない時代であったから、この映画がかかっている所へはどこへでも出掛けた。70mmシネマスコープのテアトル東京の封切ロードショーから横浜の三流館まで、都合11回は劇場で観ている筈である。この劇中でも英国のBRMはストーリーの中心的存在として登場するのだが、当時のボクのご贔屓はロータスと共にBRMだった訳で、あの鉛筆のようにスリークなスタイルには例えそれがレプリカであっても釘付けとなってしまったものだ。1965年のスロットブームの際には、コックスは高くて買えず、東京プラモ、童友社、マルサンは小馬鹿にして(わ〜ん、D友社のU田さん、ごめんなさ〜い)買わなかったので、BRMは1台も持っていなかった。それから永い年月が過ぎ、ある日、ネット・オークションでBRMを見つけた。プラボディのフリクション走行玩具であるが、明らかに1964年のBRM P261であった。ミニカーの、ましてやオモチャの趣味なぞまるきし無いボクが、まるっと玩具のBRM F1を買ってしまった。ちょっと大振りだがおよそ1/24スケールだ。ボディ上半分が赤で下半分が白い不思議なBRMだがP261である事には違わない。紅白のBRMなんて目出度いばかりぢゃねーか、などと笑い飛ばす事にしている。どうも童友社のスロットボディの焼き直しらしき臭いがするが、それならそれで尚更オッケー! である。しかし箱はジェット・ロータス…ほんと「なんでんかんでん」オッケーな時代の産なのであろう。しかし、こんな玩具を誰が欲しがったのか…「おめーだよ」と言われれば返す言葉もないが、店頭でこれを指差して「買ってよーっ」と泣いた(その昔、子供は玩具が欲しい時は必ず泣くか拗ねるかしたものだ…)子供など居たのであろうか。今でも車体を押すと、当時のF1とは似ても似つかぬサイレンのようなフリクション音をたてて走り、あの映画グランプリの劇中、モナコGPでのピート・アロンとスコット・ストダードの熾烈なバトルを彷佛とさせる…「嘘くつんぢゃねーよ」…だうも、すんません。
 さて、時の勢いで、つい何とはなしに購入してしまった玩具のBRM P261ではある。飾って楽しむほどのものではなく、所有している事に喜びを感じるほどのものでもない。だが、今さら手放す事も出来そうにない。大事なような、場所塞ぎなだけのような…何やらこんな存在のものがボクの生活空間の中にはやたらと多いような気がしている。取り合えずは意に介していない振りをしておこうとは思っているのだが。どうするのよ、オレっ!

投稿者 平野克巳 : 2005年12月20日 16:12

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.hobidas.com/blogmgr/mt-tb.cgi/5107


« 男たちの大和糊 | トップ | 聖夜に天使が降臨す »

モデル・カーズTOPへ

最近の記事

  • モデルカーズ的こころ(13)
  • モデルカーズ的こころ(12)
  • モデルカーズ的こころ(11)
  • モデルカーズ的こころ(10)
  • モデルカーズ的こころ(09)
  • モデルカーズ的こころ(08)
  • モデルカーズ的こころ(07)
  • モデルカーズ的こころ(06)
  • 日本模型人が書いた私的昭和史
  • モデルカーズ的こころ(05)
    • > もっと見る

月ごとの記事一覧

  • 2007年10月
  • 2007年09月
  • 2007年08月
  • 2007年07月
  • 2007年06月
  • 2007年05月
  • 2007年04月
  • 2007年03月
  • 2007年02月
  • 2007年01月
    • > もっと見る
ホビダストップ|ショッピング|ニュース|ブログ|ホビダスオート|鉄道ホビダス|ミニカー|ペット|雑誌サイト|趣味の本
ホビダス
ご利用ガイド|会社案内|求人情報|広告について|出店する|プライバシーポリシー|サイトマップ|ネコ・パブリッシング
Copyright (C) 2005-2008 NEKO PUBLISHING All Rights Reserved.