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2006年02月03日
時代で何かと移り変われど…
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何処もそうだろうが鎌倉の街も日々変貌している。立派な門を設えた広大な敷地の旧家は、新たに要塞のような西洋建築に取って代わられ、裏路地の戦前の風景を彷佛とさせる木造建築は何れもモルタルや新建材の瀟洒な建物に代わられてしまいつつある。かつて色で表わすと鎌倉の街は茶と黒の街並だったのだが、今では極彩色な黄色や黄緑、橙などの浮いた色が氾濫している。そして一寸ご無沙汰しているとどこかが空き地になり、たちまち見ず知らずの景観が現出してしまう。街に根差していた旧い産婦人科医院が今風のビルに変貌し、昭和初期の和風西洋館が時間貸し駐車場へと姿を変える。呆れた事に寺社の本殿さえ銅板貼りの屋根だけ残してモルタル造りの近代様式になってしまう。街も生きているので、日々刻々と変わる事は致し方ないとは思うが、私は鎌倉の古都の風情が好きでこの地に移り住んだので、やはり国籍不明な街並になっていってしまうのは寂しい。そう言えばかつて鎌倉の冬の風景の中には夏みかんが欠かせなかった。どこの路地にも、どこの家の敷地にも夏みかんが植わっていて、たわわに実を実らせていたものである。しかし、最近ではめっきり夏みかんの木も少なくなった。私にしてみれば次第次第に鎌倉らしい景観が失われて、今様の小洒落た雰囲気になっていくのが残念でならない。
東洋のサンタモニカ(誰がそう呼んでいる?…)、海岸通り134号線もすっかり昔とは趣きを異にしてしまった。かつては首都圏の避暑地らしく、落ち着いた景観と鄙びた風情が独特な雰囲気を醸し出していたものだ。一寸高級なレストランやホテル、喫茶店が点在し、漁師町と海水浴場が渾然一体となった海岸ぺりには、氷の旗がはためく昔風の海の家が並んでいた。それがいつからか全国共通のファストフード店ばかりが目立つようになり、六本木が海に移転して来たかのような洒落たビーチハウスが勢力を競っている。それに季節に関わりなく週末ともなれば渋滞でまともに走る事もかなわない。アメリカ西海岸に憧れてオープンカーを流すなど、もはや遠い日の郷愁でしかない。私はこの地に住む限り、オープンカー、つまりロードスターを所有し続けたいと考えて来たが、既にそうした思いとは裏腹に環境は増々もって首都圏化しつつある。もうオープンカーの必要性も感じなくなってしまったし、それに乗っていたいとも思わなくなった。モーターサイクルとて渋滞の脇をすり抜けていくのみでは大して魅力を感じない。つまらぬ。実につまらない。だがそれが現実と云うものだろうし、人生と云うものでもあるのだろう。社会環境の変化を嘆いてばかりいても致し方ない。もはや違った面での喜び、楽しさを探さなくてはならぬのだろう。
私たちが愛してやまないプラモデルも時代と共に随分とその姿を変えて来た。よりマクロ的に言えば今やプラモデルと云う形態は風前の灯のようにも思える。それもこれも中国四千年、悠久の歴史がもたらす(?)驚くべき工業力と人海戦術がもたらすコスト革命の申し子、食玩の台頭が深く影響している。あれだけ高度な仕上がりの完成品を目の前にして、一体誰がプラモデルを作りたいと思おうか。かつてのように「作る」と云う行為自体がホビーの主役から逸脱してしまった以上、それに替わって王座を占めるのはコレクションしか残されていない。だからプラモデルに対する見方も作りたいから眺めたいだの集めたいへと変貌してしまった。それを嘆かわしいとばかり言っていても仕方あるまい。今さら私が云々講釈を垂れるまでもなく、恐らく皆さんは既にプラモデルを作らずに楽しむ極意を極めておられる事であろう。ただ一点言える事は純粋なスケールモデルほど「作りたい」モードにはならない。むしろ怪しげだったり不可思議だったりの玩具的要素の強いものほど「作ってみてーな…」と思わせる。正月に倉敷の友人と会った事はこのブログでも書いたが、その時、友人が手土産に持参してくれたキット(いしはらちゃん、ありがとーっ!!)が、まさに「作ってみたい」と思わせる怪しいキットであった。その名もサッカー。岡本模型のジュニアースポーツシリーズNO.1である。ちなみにNO.2があったか否かは知らない。どうやらボックスアートの図柄からして「キャプテン翼」が流行った頃の、ブームあやかりキットなのではないかと想像するが、その真意のほどは確かではない。何れにしてもプラモデルの形態で何でもアリだった時代の産であろう。スケール的には1/10~1/12程度であろうか。スプリングで右足を蹴り出す動作をするサッカー少年フィギュアによって、ゴム製のサッカーボールをゴールにシュートして遊ぶと云う内容で、形態は完全にプラモデルなのだが商品の性格はどう見てもゲームトイである。しかしパーツを見てもインストを眺めても、一寸面白そうでキットのアクションを試してみたくなる。少年本体は水色、少年の台は緑、少年の顔と両手は肌色、ゴールは白のモールドである。ボールはゴム製で、黒い五角形の部分には付属のステッカーを貼るようになっている。キットを見ているだに楽しい。作ってシュートして遊んでみたい…でも、それだけの為に組み立てて塗装もするのか?…やはりプラモデルはキットのままで仕上がりを空想して楽しむのが無難なようだ。こんな良からぬスパイラルに落ち込んでいる限り、どうやら本当にプラモデルを完成させるのは難しくなってしまったようだ。
投稿者 平野克巳 : 2006年02月03日 21:17
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