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2006年02月07日
映画のこと
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VHSがDVDへと取って代わられるご時世となった昨今、ますますもって映画館が遠くなった。私は今でも映画館が好きだし、帰りしなパンフレットを買うのも楽しみのひとつである。だがめっきり映画館へ足を運ぶ回数は減った。かつて私は映画少年であった。週末の殆どは映画館で過ごしたし、高校生だった最盛期には日曜日に朝一番の回から最終の回まで三本観る、などと云う事もざらだった。土曜日には制服姿のまま学校から日比谷の映画館街に直行したものである。私が映画を観た最初はどうやらビーバーが主役の動物映画だったらしい。らしいと云うのは私自身に記憶がない程幼い頃の事で、両親から聞いただけで何も覚えてはいない。記憶する最も最初の映画はディズニーの眠れる森の美女('58年)で、埼玉県浦和市のうらぶれた劇場で観た。絢爛たる絵巻に圧倒され火を吐く竜が恐かった事を覚えている。自分で観たくて出掛けた最初はハタリ!('61年)だろうと思う。ハワード・ホークス監督の西部劇風アドベンチャーで、ジョン・ウェインやハーディー・クリューガーといった大物俳優が出演していた。古ぼけたトラックのボンネットに座り、カウボーイの投げ縄の要領でサイを捕まえるシーンは圧巻であった。ちなみに私は観た映画のほぼ全てのパンフレットを今も所蔵しているが、このハタリ!だけは残念ながら持っていない。一時期、欲しいと思いたち、その手のショップや古書店、ネットオークションなどで探したが、滅多に出る事がなく、たまに出てもかなりのプレミアが着いてしてとても手が出なかった。最近では新作を観るにしてもDVDで観てしまうので、パンフレットに対する興味もすっかり失せてしまった。小学生から中学生にかけては、小遣いの許す限り、日曜日には千葉市の繁華街にある劇場に足げく通った。封切り館ではなく二流館なので、いつも一寸遅れて新作を観ていた訳だが、マカロニウエスタンなどは随分と観た。京成サンセットとか京成ローザなどは行き着けであったが、数年前に千葉に用事があって出掛けた際、未だ営業していて一寸懐かしく嬉しかった。この頃はもう思い出せない程に様々な作品を観たが、ブルーマックス('66年)は強く印象に残る今も好きな作品のひとつだ。ジョン・ギラーミン監督、ジョージ・ペパード主演の航空映画で、レプリカのフォッカーDr.1の乱舞も素晴らしいが、何よりも映像の美しさが心に残った。特にオープニングのスタッヘルが見上げる大空の光景は、壮大なオーケストラの旋律と共に忘れ得ぬシーンとなっている。色取りとして色気をムンムンに発散するウルスラ・アンドレス(ドレス無しの芸名も凄い!!)は、当時セクシー女優のトップスターであったが、もはやそんな事も若い人は知らないだろう。頭上の敵機('49年)、翼よ!あれが巴里の灯だ('57年)、633爆撃隊('64年)など航空映画の名作は何れもこの頃観たが、これらは今は亡き父にねだって日比谷映画街で観たものだ。ちなみに日比谷映画街のさよならフェスティバルには足げく通い、舞踏会の手帳から翼よ!あれが巴里の灯だまで古い映画をしんみりと観賞した事も懐かしい。
少年から青年へと育つ過程で深く影響を受けた作品は、太陽がいっぱい('60年)、卒業('67年)、イージーライダー('69年)、ソルジャーブルー('70年)など数知れないが、キャプテンアメリカがロスを略してLA(エルエイ)と言うのがやたらと新鮮でカッコ良かった。「オランダのロックバンドなんて田舎者だべさあ」などと嘲られながら、ステッペンウルフに傾倒したのもこの頃だ。目黒の三流館で観たロミオとジュリエットのオリビア・ハシーの瑞々しさも忘れられない。布施さんの奥さんになった時は吃驚したけど、今では恐い魔女のようなオバさんになってしまったので…。個人的な話題なのでどーでも良いっちゃーどーでも良いのだけれど、今でも好きな作品を挙げると男と女('66年)、オールザットジャズ('79年)、黄昏('81年)、ワンスアポンナタイムインアメリカ('84年)、ブルーベルベット('86年)、エンゼルハート('87年)、太陽の帝国('87年)などは直ぐに頭に浮かぶ。アラン・ドロンの時代のフランス映画も好きだが、地味なところではイタリアものの黒い警察('71年)なども意外に好きだったりもする。俳優の贔屓はスティーブ・マッキーンやトム・ベレンジャーなどの骨太で男臭い男優で、女優の好みは特にはない。フォーッ!!(違う違う!!) 邦画では喜びも悲しみも幾歳月('57年)やツィゴイネルワイゼン('80年)が心に残っているが、何と言っても私的には異人たちとの夏('88年)に尽きる。懐かしくて切なくて、何度観ても号泣である。片岡鶴太郎と秋吉久美子が演じる東京下町の夫婦が何とも味わい深い。手付かずのすき焼きを前にした浅草今半での別れのシーンは胸にしみる。市川森一の脚本も素晴らしいのだが、実はこの作品はやはり映画より原作のほうが遥かに良く出来ている。流石山田太一を思わせる内容で、同業者などとは恐れ多くて言えないが、私も物書きの端くれとして、とても真似が出来ない事を痛感したものだ。昨年の暮にはALLWAYS三丁目の夕日を観たが、ベタな内容で無理に笑いを取ろうとする演出も鼻についた。極め付けは最期の最期で夕日に向かって、子供にざーとらしいきれいごとを語らせてしまう事で、遂に私は我慢の限界を超えて腰砕けとなった。だが郷愁を誘う作品ではある。あれ? クルマもプラモも登場しなかったな…ま、たまにはいいか…。
投稿者 平野克巳 : 2006年02月07日 20:43
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