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2006年05月19日
ホビーショー今昔
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ご承知のとおりプラモデル、ラジコン、ミニカーの業界が催す展示会、ホビーショーが今年も静岡で開催されている。春は静岡、秋は東京のローテーションで毎年行なわれているものだが、かつてはプラモデル見本市と呼ばれていた。現在のようにショーアップしたものではなく、要するに全国の小売業者向けに行なわれる品評会であり受注販売会であった。私が見本市に行った最初は恐らく'70年代の事である。当時、懇意にして戴いていた鎌倉ホビーのご主人のお供で行ったものだ。日本中のプラモデルメーカーが一堂に介して全製品が一挙に居並ぶ事など他にはなかったので、とてもボルテージが上がり楽しかった記憶がある。それからの私はモデルカーズの創刊によって、曲がりなりにも業界の末席に加わる事となった為、以後は遊び半分と云う訳にはいかなくなったが、それでも華やかな年2回のお祭りである事には変わりがなかった。
私たちモデルカーズ編集部が見本市当日に取材を行なうようになったのは'85年頃だったろうか。当時、会場に取材に赴くのはモデルアートやホビージャパンなどの業界誌だけだったろう。業界誌以外の雑誌媒体で見本市当日取材を行なったのはモデルカーズが初めてではなかったろうか。それだけに当初は色々と難渋したものであった。モデルカーズの編集方針は全てにおいて高いクオリティを堅持する事にあったので、会場での撮影取材といっても35mm一眼レフを片手に会場をまわる、と云うような手法は一切行なわなかった。専従のカメラマンを同行し4×5で撮影をしたのである。当然、機材と撮影ブースだけでも相当なものであった。だが、当時の見本市はあくまでも小売業者の為のものでしかなく、報道媒体の販促効果などは全く考慮されてはいなかった。そこで我々は会場の片隅、大概は階段の踊り場などに撮影ブースを設営し、新製品などの撮影をした。そして、その為に新製品などを展示ブースから借り出す訳であるが、それさえも決して容易い事ではなかった。「お客さんが見に来た時にモノが無いんじゃ困るんだよねえ」などと鬱陶しがられ、粘り強く頼み込んでは渋々ながら貸し出して貰うと云うのが実情であった。しかし、これにいち早く対応してくれたのがタミヤであった。貸し出しても困らぬようにふたつ以上複数の完成品を出展するようになったのだ。またストロボ撮影の電源確保も難儀したもののひとつであった。事務局にお願いしても煙たがられるだけであったが、最初に「ウチのブースの電源を使いなさい」と言って下さったのが、田宮督夫氏であった。当時、督夫氏は田宮模型の商品デザインや広告などを一手に手掛ける田宮模型デザイン室の長であった。それだけに雑誌媒体の宣伝効果を充分に知り尽された方で、我々の取材活動にも何かと理解を示して下さった。初めは電源を、次にはタミヤのブース裏を提供して下さった。時にいよいよ撮影ブースの設営に困っていると、会場のひと部屋を提供してさえ下さった。そこで撮影をしているとたまたまA社のお歴々が入ってみられ「こんなとこでそんなことされたら邪魔で困んだよなあ」的な嫌味を言われた事もある。嗚呼、あれもこれも督夫氏の英断であったのか、と改めて感謝の念を強くしたものである。暫くは招かれざる客のごとき存在の我々だったが、次第に報道の重要性への理解も深まるようになり、事務局が雑誌社の為に撮影ブースと電源を用意して下さるようになり、とても撮影取材がスムースに行えるようになった。その時代に我々雑誌社に何かと便宜を計って下さったのがユニオンモデルの原田孝一氏であった。より効率良く快適な撮影取材環境を我々に提供して下さったばかりか、本来、我々には用意されていない昼食の弁当まで手配して下さったのはありがたかった。何しろ明け方の寝起きと共に、機材を抱えてすっ飛び出して来る欠食中年集団の我々である。実際、撮影を中断して食事にでかけるなどといった悠長な状況にはなかったのだ。食べ物と言えばその昔、静岡のホビーショー招待状にはご当地名物の安倍川餅の引き換え券が付いていた。全国の小売業者を招待するのでお土産が奮発されていた訳だ。報道向けのプレスパスなど存在しなかった時代なので、我々にもその招待状が流用されていたのである。各メーカーからいただくので結構な数となる。時効だから暴露しても怒られないだろうが、忙しさではNEKO随一であったカメラマンのA山羊さんをホビーショー取材に引っ張り出す為にはこれが中々に効力を発揮した。仲良く皆で家族へのお土産を抱えて家路につく。それはまさに忙中閑ありの平和な光景であった。今からは想像もつかないような仄々とした時代であった。
投稿者 平野克巳 : 2006年05月19日 18:34
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