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初代編集長 平野克巳の「猫の耳に大仏」湘南鎌倉便り


モデルカーズの生みの親、平野克巳氏による目からウロコの模型小噺。さぁどんな話が飛び出しますか。乞うご期待。

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2006年12月26日

2006/2007特別号 閑話休題

初夢に空を飛ぶ夢を観ている風ちゃん

 皆さま、クリスマスなぞ如何お過ごしでございましたでしょうか。まあクリスマスったってクリスチャンである訳もなく、'60~'70年代好景気の時代のように三角帽に鼻眼鏡で夜のおねーちゃんたちとはしゃぐ訳でもなく、形骸化した和製西洋儀式の成れの果てみたいなものでありますから、特にどうとか言う訳でもありますまい。バブリーな時代は有頂天になった若者たちが恋の成就の為に勝負を賭ける日でもありましたが、所詮そんなものは悪乗りトレンディドラマの世界の受け売りに過ぎず、今や都心の高級シティホテルも予約がすっからかんだとか聞き及びます。ケーキとおご馳走で家族がちんまりとした幸せを噛み締めるのも宜しいかとは思いますが、子供が育ってしまえば我が世の春とばかりに箍が外れてもはや家庭などは顧みず、残されるのは初老を迎え会話さえない夫婦2人きりなどの寂しい風情でございましょう。
 その昔は年末年始は誰もが仕事を休んで家族団らんを囲むものと相場が決まっておりましたが、今のご時世、休んだりはせず通常営業。デパートやスーパーまでもが元旦から平常営業致しますと声高に叫び、そうでなくとも不夜城の権化たるコンビニは大晦日も元旦も煌々と店内の灯りを灯し続ける訳でありますので、おせち料理なぞ出る幕もない。元々おせちとはどこも休んで買い物が出来なくなることを見越しての保存食がその起源であります。わざわざそんなものを食べなくとも、いつもどおり食べたいものが食べたい時に手に入るので、昨今は誰もが普通の生活をしたがるようになってしまいました。第一、なんたらの切り餅なぞ、一年中スーパーで売ってます。温室ものなら冬でもスイカが食べられるように、餅なぞ正月だけの食べ物とは今や誰も思っておりません。米屋が伸し餅担いで配達して来ると、わくわくしたのももう昔の風俗の思い出に過ぎませんね。テレビ番組雑誌の年末年始特別号なぞ買って、着物着て、蜜柑載せた炬燵でゆったりと過ごす楽しみなんて、今ではもはや幻想の世界であります。食べ物にしても生活習慣にしても便利になり過ぎた世界にあっては季節感の無いことおびただしい。本来、四季という減り張りの中でたおやかに自然を愛でた大和民族には、それゆえの風流、機微という繊細さがありましたが、それが失われ「のべつまくなし」ガチャガチャ生きている現代の暮らしは本当に楽しくない。まあ、地球がどんどこ温暖化を早めている現在では、風流もへったくれも無いのかもしれません。もうすぐ東京も亜熱帯になるんですから。そのうち皇居のお堀端も桜ではなく「悌梧/デイゴ」の花の名所になるのかもしれませんね。♪島唄よ風に乗り届けておくれ私の愛を、ですか…。
 かつては全てが季節に寄り添っていましたね。食べ物なんかもまさにそうでした。野菜や果物はそうしたものでしたし、アイスクリームは暑いから食べるのであって、旨いからって一年中食べたがるものではありませんでした。夏になるとお菓子屋さんの店先にアイスストッカーが置かれ、秋になると仕舞われたものです。だから時に真冬に無性にアイスクリームが食べたいってこともありました。今はそんなこと言ってないで近くのコンビニ行けば食べたいだけ食べられます。季節とは一寸別の話ですが、ソフトクリームだって特別な食べ物でした。都心の繁華街でないと食べられない。デパートの表のスタンドコーナーなどの日世のマークを見ると都会に来ているのだと感動したものです。今ではご近所のスーパーのフードコーナーで150円程度でいつでも食べられます。ある意味、ありがた味がなくて詰まりません。脱線ついでに季節感とは別の話題ですが…ラーメンだって即席ラーメン発明以前は街のラーメン屋さんでないと食べられませんでした。母にねだって中華そばの乾麺と固形コンソメで家でラーメンを作って貰ったことを懐かしく思い出します。もり蕎麦も夏の代名詞でした。ほんの20年前までは流石のコンビニでも冬はもり蕎麦を扱ってなかったです。そう言えばデコレーションケーキにアイスクリーム版が出来たのはいつのことだったでしょうか。これは劇的なことでした。何しろクリスマス、つまり真冬にアイスクリームですから、当時の子供にとっては衝撃的なことでした。小学生の時、拝み倒してクリスマスにアイスのデコレーションケーキを買って貰いました。勿論、近所などでは手に入らず、父が勤めの帰りに東京から発泡スチロールのクールボックス入りを提げて買って来ました。あれほど父の帰宅が待ち遠しかったことはありませんでした。
 今は本当に何でもありです。全く便利で贅沢になったものです。その分だけ我慢する切なさ、待ちわびる楽しみ、巡る季節の喜びを忘れてしまいました。それゆえ物に対する感動や思い込みが薄れてしまった気がしています。かく言う私も現在の地に引っ越して以来、除夜の鐘を聞くこともなく、銀座四丁目服部時計店で螢の光を歌うダークダックスの中継を観ることもなくなりました(とうにやってねーし…) 今年はイベントとしてではなく、新たな年のけじめのつもりで初詣に出かけてみませんか。楽しむのではなく気分をすっきりさせる為にです。別に一年の計は元旦にあり、なんて古臭い言葉を振りかざすつもりもないですけどね。

昭和プラモデル物語はお休みさせていただきました。

投稿者 平野克巳 : 2006年12月26日 14:45

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