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2007年03月14日
昭和プラモデル物語(33)
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既に当該ブログで書いたと思うが、ボクはある意味において極端な性格である。白黒はっきりさせるとかそういう話ではなく、頃合、程々、ちょうど良いみたいなモノが好きにはなれないのだ。それはプラモデルのスケールにおいてもその僻が顕著に見られるようである。飛行機は1/32か1/144しか興味がなかった。1/72は基本的に余り好まず、1/48に至っては永いプラモデル人生の中で数えたら片手にも余るだろう。戦車は1/35よりは圧倒的に1/72、1/76を多く作ったし、そうでなければ1/15とか1/20の戦車に憧れた。軍艦もポケット何とかなどと云う名称の1/1000以上のミニスケールか、日本ホビーの1/250戦艦大和(ボクの時代には未だニチモ1/200が登場していなかった)ばかりに興味が向いた。これは既に性癖と言ってよい。別に悪癖だとは思わぬが、少なくともエキセントリックな指向であることには違いないのだろう。
そうした性癖は自動車にも当てはまった。既にどちらも手放したが、350cu.inエンジンでも満足出来ず427cu.inにまで至ったのは、昔からの読者諸兄なら良くご存知のことだろう。その反面、昔から変わらず軽自動車が大好きである。取り分け360ccには今も断ち切れぬ思いがある。実際、過去にはホンダZ、フロンテ・クーペ、バモス・ホンダ、ホンダ・ライフ、スバル・レックスなどを乗り継いでいるのだが、圧倒的に360ccが多い…(それって単に年齢的な事情なのではないでしょうか…) そして、現在でもマイ・フェイバリット360ccはスズキのフロンテ・クーペに極まれり、な訳である。ボクが乗っていたのは茶羽根ゴキブリ色の2+2シーターのGXCF、勿論白ナンバー時代の37PSモデルであった。この全天候型DXレーシングカートは、ともかくドライバーをホットな気分にさせてくれる点においては天下一品なクルマで、本当の意味において「大人の玩具」と呼べるギアであった。車室オーバーヘッドコンソールに紫に妖しく瞬くムードランプなるものも標準装備であったことだし…それはまた別の意味になってしまうな…。ボクにとっては許されることならば、今でも手元に1台置いておきたいと切望する(1台で充分である…)クルマなのである。
そんなフロンテ・クーペだが残念ながらプラモデル化はされなかった。別にプラモデルに相応しい対象ではなかったと言う訳ではなく、たまたまキット化されるタイミングを逸してエアポケットに入ってしまったと考えるのが正しい。こうした現象はたまにあってスカイラインGT(GT-XやGT-Rではなく、やはりGTだろう)/GC10系、つまり愛のスカイラインの時も同様であった。後になってから「しまった!」と何処のメーカーもが後悔した結果、その後継モデルとなったGC110系/ケンとメリーのスカイラインは、大バッティング・センター(網の中でバットを振る訳ではない)の様相を呈した。フロンテ・クーペもモデル化の時期を逸してしまい、嗚呼やっときゃ良かったなあと思った時は既に後の祭りであったようだ。そこで今度は遅れを取ってはなるまいと次世代モデルのセルボが登場するや、イマイとエルエスが先を競うようにして1/20スケールでモデル化した。だがセルボの登場は軽四輪を取り巻く環境の変化に対応してのものであって、決してフロンテ・クーペの後継車種ではあり得なかった。つい最近、セルボのネーミングが復活したが、あの最新モデルが物語るようにセルボとはアバンギャルドでラクジュアリーな、言ってみれば“おじょーちゃんの為のクルマ”なのだ。そして、それは初代セルボから科せられたコンセプトであった。カッコが似てるから「フロンテ・クーペ」の次世代機、末裔なのだと思い込んだ向きが多いようだが、それは大いなる誤算であり勘違いである。夢々セルボでフロンテ・クーペを語ってしまう愚挙を犯してはならない。まあ、今となったら軽四輪の歴史上でも格好良いモデルなんですけどね…。
イマイとエルエスの1/20セルボCX-Gは決して悪くないキットである。まあ、ボクの好みから言えばシャキッとしているエルエスのほうに軍配が挙がる…いや、そうではなくて! どちらもそれなりに良いキットだから尚更のこと、このキットを見る度に「なぜにフロンテ・クーペではないのぢゃああ!」と苦悶している。因みにこのセルボのボディを切り詰めてフロンテ・クーペにしようと画策している向きは少なくないだろう。だがしかーし! 両車のフォルムは似て非なるものである。どこかを切って詰めても決してフロンテ・クーペにはならない。同一デザインによる別物をスズキは実に巧みに創り上げた。このセンスと力量にはただ感嘆するばかりである。まあ、言ってみれば「全体をじわ~じわ~と小さくするとフロンテ・クーペになる」…かもしれない。全く次元の異なるクルマであるだけに、スタイルも実は全く違う。この眼前に頂きが聳えているのに、登頂を拒む山のふもとに立つクライマーのごときフラストレーションを一体どうしてくれよう。(続く)
投稿者 平野克巳 : 2007年03月14日 02:14
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