船底の形状について
ボートを作る上での永遠のテーマともいえる船底の形状
造船所はたくさんの船が来る、ゆえにたくさんの船底も見られる
たくさん見ていると気づくことは、当然ながらメーカーにより思想が違う
実にさまざまな形をしている 車のように風洞実験により・・・というような結論が出にくい部分である。
使用方法や海域における違い、たとえば港を出るとすぐにアウトリガーを広げてトローリング
などという恵まれた環境では波を切る性能よりも
トローリング時のローリング対策に重点を置けばよいし、日本のように厳しい波の中
ウイークエンドに3時間も走ってトローリングのポイントに到着
というような環境では、多少の波でもソフトライドが必要であり
厳しい追い波の中でも優れた保針性が安全の上でも大変重要になってくるというように、
船が生まれる背景により船底の形状というものが大きく影響されてくる
ここに挙げる船は名艇といわれている船たちです
最初はクリスクラフト422コマンダー

深い船首のエントリー部分が特徴で、トランサムにいたってはほとんど平らといった具合
この422は下田の大会で3.5メートルの三角波の中でもカジキを仕留めたことが印象的なようにファイト時の安定性は特筆ものです
次はバイキング41コンバーチブル

アメリカではNO1の売れ行きのフィッシングボートメーカーです。
深いエントリーと船尾に行くほどフラットな船底
ソフトライドとローリング防止を両立させた完成型でしょう。
41フィートなのでまったく平らなキール付近からチャインにいたるラインにはV角がついています。
大型艇になるほどフラットになってきます
続く2艇の船底を見るとクリスやバイキングと同系統とわかるジャージーボートの代表格ハトラス50と60です。

深いエントリーとフラットなトランサム形状がわかります

60のほうはプロペラポケットを採用しています
写真ではわかりにくいのですがハトラスの大きな特徴としてギア比が挙げられます
太いシャフトで大きなプロペラをゆっくり回す、あまり他の中型艇では見られない発想です。
プロペラの効率 騒音 振動に効果があるという考えです。
続いてはキャロライナボートの代表格デービスの47です

大きなフレアーが特徴的ですが、水面下の考え方にも特徴があり、
エントリー部分のチャインで船首が海中に刺さることを止める、という発想が余りありません。
ステムのラインから巨大なフレーアーまで、あまりボリュームをもたせず一気に海中に入ります。
最後はフレアーで浮力を保ち浮上するイメージです。 これにより究極のソフトライドが得られます。
一方トランサムは限りなくフラットに近い形状で、私のガーリントンとトローリング中並走していると、
こっちはローリングするけどデービスはしない、というように対ローリング性能に優れます。
最後の2艇はバートラムの37と466です

バートラムの特徴は伝説ともなっているディープV船型が挙げられます

これは走破性能を重視して波きり性能にフォーカスした船型です
向かい波、追い波とも優れた性能を発揮します。 当然ながらこれと引きかえにローリングします。
このように設計者の思想により船底は10艇10色です
自分の好みや使用方法により選択の必要があります。
名艇といわれる船も使う環境が異なれば、だめ舟ともなりますし違和感があるでしょう。
耐波性能か追い波性能かトローリング中の快適性か...
すべてがバランスするのは、海の上では大型の船以外にはないでしょう。
現実的な35フィートから60フィートくらいまでの船だと、
何かを犠牲にして特徴を生かすしかないのが現状であり、
この辺が船選びの面白いところかもしれません。

