テスト&リポート GPS内臓PDA、「Mio168」をテストする

今回のテスト&リポートでは、話題のGPS内臓PDA、「Mio168」を取り上げました。
4輪用のポータブル・ナビの流用でも振動の多いバイクではトラブルが出やすいもの。かといってハンディーGPSでは力不足・・・。果たして、今回取り上げた「Mio168」がライダーの救世主となるのか?

「Mio168」とは

 Mio168は、マイタックジャパンが発売したGPS内臓PDA。手のひらよりも小さいコンパクト・ボディに「Excel」や「Word」といったアプリケーション、様々なビジネスツールとともに、強力なナビゲーション機能を内蔵しているのが最大の特徴です。果たして、このMio168がバイク用ナビゲーションとして、実用に耐えるのか否か、これが今回のメインテーマです。

一筋縄ではいかないバイクとGPSの関係

Mio168はとてもコンパクトだ。手のひらに収まるこのサイズに高感度GPSレシーバー、高性能インテルX-Scale PXA255 CPU、高輝度TFTカラー半透過型液晶画面などを内臓する。ちなみに重量は147グラムしかない。

 GPS機器である以上、衛星からのGPS信号を受信して測位するのが当たり前の機能であるはずですが、実は・・・世の中には高性能を謳いながらも、この基本性能が実現出来ていないGPS機器が結構あるのです。地上で受信するGPS信号はとても微弱で、それを処理するGPS機器も受信機である以上、他の分野の受信機と同じで最終的にはアンテナの性能がモノを言いいます。つまり単純にはアンテナが大きい方が有利なわけで、サイズ的な制約が多いハンディーGPSは十分な性能を出しにくいと言えます。また、バイクは、振動やノイズの発生など、電子機器にとっては極めて過酷な状況。普段は良好に作動しているGPS機器も、バイクに搭載すると使い物にならないというケースは結構あるのです。

 以上の理由から、手のひらにすっぽりと収まるサイズでアンテナの面積も小さいMio168を見たとき、それほどの高性能は期待してはいなかったのですが、果たしてその実力は・・・。

なぜ「Mio168」に注目するのか?

Mio168のGPSアンテナを畳んだ状態。ブルーに見える部分はスロットに挿入されたSDカード。その手前には赤外線受送信部。一番奥にはスタイラスペンが格納されているのが見える。豪華版Mio168RSには、1GBのSDカードや車載用ホルダーなど必要なオプションがほとんど付属する。

バイク向きの構造 走行中のバイクは振動の塊。当然、電子機器には過酷な環境です。Mio168は完全なメカレス構造。ハードディスクはもちろんのこと、CDやDVDのようなドライブは搭載せず、内臓メモリーとSDカードを記憶媒体として稼動します。つまり、メカ的な駆動部分が機器内部に存在しないので振動に強く、バイクに適した構造と言えるでしょう。テストでも、Mio168を毎日バイクに搭載し、1週間ほど実際に使用しましたが、トラブルらしいトラブルはありませんでした。予想通り、Mio168は振動に強いと言えそうです。


Mio168のGPSユニットは強力だ。高速道路の下でも頭上に少々の空が見えれば衛星をロストすることはほとんどない。写真では撮影のためにバイクを左に寄せたが、高速道路の真下となる右側斜線でも安定して測位していた。このような状況だと簡単に衛星をロストしてしまうGPSは案外多い。

非常に高いGPSとしての基本性能 Mio168のGPSユニットは、高性能GPSでは多用される12チャンネル式で、最大12個のGPS衛星からの信号を受信することが可能です。12チャンネル式とはいっても、実際には、受信状況と測位にもっとも都合が良い幾つかの信号を常に選択しながら、現在位置を割り出すのですが、ちょっと状況が悪いと使い物にならない見掛け倒しの12チャンネル機も多いのです。
 その点、Mio168のGPSユニットは非常に優秀で、ビルの谷間や高速道路の下、樹木の多い場所でも測位に必要な数の衛星を実に良く捕捉してくれます。また、トンネルなどで一度衛星をロストしても復帰が早く、状態がよほど悪くなければトンネルを抜けた2~3秒後には再び位置を表示し始めます。自律航法を使えないハンディーGPSは、衛星からのGPS信号だけが頼り。この高感度GPSユニットはMio168の最大の武器と言えるでしょう。測位スピードと精度も中々で、何時まで経っても衛星を捕捉できないとか、トンネルを抜けても位置表示が復帰しないといったストレスを感じることはまず無いでしょう。
 ちなみに、テストに使用したバイクは年式も古く、振動と、場合によっては電気的なノイズも盛大に発生させていたはずですが、Mio168は全く影響を受けていないようで、常に良好に作動していました。

Mio168は4輪に搭載しても十分実用になる。
2輪+4輪=6輪以上の生活をしている方ならMio168をカーナビ兼用として検討するのも良いだろう。写真のマウントは豪華版のMio168RSの付属品とは異なるが、製品では十分に実用的な車載マウントが付属する。

十分な地図表示とルート案内機能 地図表示もハンディーGPSとしては十分に詳細で、必要にして十分な地図表示性能と言えるでしょう。地図上の矢印によるルート案内とともに、音声案内機能も実装しているので、ルート案内に関してはほぼカーナビと比較しても遜色ないレベルとすることができます。実際、4輪で使用しても十分に実用に耐えます。また、豪華版のMio168RSでは専用の車載用のマウントも付属し、そのコンパクトさから、載せ換えに関しては、4輪用のポータブルナビを凌ぐ手軽さです。残念ながら液晶の実力が試される炎天下でのテストは出来ませんでしたが、日中、そして夜間の画面の見易さも不満はありませんでした。

写真では少々見難いが、Mio168のルート案内は実用的。常に進行方向を上に表示するヘッドアップ機能も備わる。設定で90度回転させた横長の画面を選択することも可能。音声案内の音量も十分で市街地スピードならヘルメットを通しても聞き取ることができる。

パッキングと電源悩みを解消 携帯電話をはじめとして、最近ではツーリングに様々な電子機器を持ち歩くケースも珍しくありません。
 ロングツーリングを想定した場合、パッキングが嵩張るのはもちろんですが、これら電子機器の充電用電源の確保が非常に煩雑なものとなります。その点、Mio168を携帯することが前提であれば、少なくともGPSとMP3プレーヤー、PDAに関しては1台で兼用とすることができるので、この3種類の電子機器のパッキングと電源確保の問題からは開放されることになります。Mio168の性能に直接関わる部分ではありませんが、充電用電源の確保もままならないキャンプ・ツーリングの経験のある方なら、このメリットがお分かりになるでしょう。

Mio168の弱点

Mio168の底面。液晶画面下には各種操作ボタンが並ぶが、スタイラスペンや指先で画面をタップすることでほとんどの操作は可能。左右にはマイクとスピーカーも見える。底面の横長の穴が電源/データーケーブルを接続するコネクタ。PDAとしての利便性を考えると、非防水なのも致し方ない。

非防水が最大の弱点 オートバイのライディングやツーリングという環境は、電子機器にとってはひたすら過酷な世界。このような用途を考えた場合、どうしても必要となるのが防水性です。残念ながら、Mio168は非防水です。したがって、高速道路上で走行中に通り雨に遭遇したような場合、あっという間に機器内部に浸水=故障という事態になりかねません。油断は禁物です。また、キャンプ・ツーリングなどではテント内の結露などにも気を配る必要がありそうです。

操作感は好みが分かれるところ Mio168は多機能ですが、その分、取り扱い説明書を熟読することは必須かもしれません。Mio168も他のPDA同様、タッチパネル方式を採用しており、スタイラスペンや指先で操作することが可能ですが、それでもルートやポイントの設定はやや煩雑です。単機能のハンディーGPSの操作性も必ずしも良いとは言えませんので、操作感の評価に関しては、ユーザーの好みによるところが大きいと言えるでしょう。

長距離のルート検索は苦手 Mio168は高性能なCPUと大容量のメモリ群(32MB FLASH ROMと64MB SDRAM)を搭載していますが、長距離ルートを1発で検索するのは荷が重いようです。例えば、東京から青森までのルートを検索するようなケースでは、ルート検索に非常に時間が掛かり、実用的とは言えません。いくつかに分割してルート検索する必要があるでしょう。

電源には注意が必要 Mio168は充電式ですが、基本的にユーザーが電池を入れ替える構造にはなっていません。また、予備電池もオプションで用意されますが、本体底面に挿す方式なので室内専用と考えるべきでしょう。内臓バッテリーだけでも、フル充電ならGPS未使用で12時間稼動しますが、電池がカラになるとGPSだけではなく、PDAとしての多くの設定などがリセットされてしまいますので、電池の管理には注意を払う必要があります。バイクの場合、付属のシガーライターコードを利用して給電すれば問題ありませんが、コードの接続による電源確保と防水対策は相反する要件でもあり、中々悩ましい問題と言えるでしょう。

結論!「買い」だ!

高性能なお買い得GPSとしての評価は変わらない Mio168は日常使うハンディGPSとしては、十分に高性能・多機能で、かなりのお買い得品と言えるでしょう。操作の煩雑さや電池管理の問題はありますが、これらはユーザー側で十分対応できるものです。アウトドアで使う機器として非防水であることは大きな弱点と言えますが、いくらかのコストとアイデア次第で、防水対策は可能ですし、完全防水ではありませんが専用の防水パック等も市販されています。また、GPSとしての性能では、例えば米国ガーミン社のストリートパイロットなどは非常に優秀なGPSで、尚且つ日常生活防水仕様ですが、豪華版のMio168RSと比較しても価格には大きな開きがあります。Mio168はPDAですから、日常でも便利に使えることを考えると、非防水であったとしても、非常に高コストパフォーマンスなGPS(+PDA)として評価することができるでしょう。

Mio168RSが一番「お買い得」  非防水という弱点を認識しつつも、ハッキリ言ってMio168は「買い」です。オートバイの旅に余裕を与えてくれるGPSとしての確かな性能と多彩な機能、コストパフォーマンスの高さは、非防水という弱点を補って余りあると言えるでしょう。また、豪華版のMio168RSには1ギガバイトのSDカードや電源アダプタ、専用車載マウントなど、単品で購入してもそれなりのコストとなるオプション類がほとんど付属するので、一層コストパフォーマンスが高まります。そういう意味ではMio168RSが一番お勧めのパッケージと言えます。

Mio168RSを購入する

●記事制作:ホビダス編集部 渡辺
ホビダスダイレクト

仕様
機能 詳細
CPU インテル Xscale PXA255 300Mhz
オペレーティング・システム マイクロソフト Windows Mobile 2003 Second Edition software for Pocket PC
表示機能 半透過式3.5" TFT LCD, 240 X 320 ピクセル 65K色
高輝度LED バックライト
Memory ROM 32MB FLASH ROM
RAM 64MB SDRAM
オーディオ 機能 Windows Media Player 搭載
音声録音、再生 (モノラル)
録音・再生機能
入出力 タッチパネル 抵抗膜式タッチパネル
入力方式 スタイラスペン / オンスクリーン・ソフト・キーボード / 手書認識
SD/MMC SD/MMC メモリーカード・SDIO Now!準拠
マイク 内蔵タイプ X 1 (モノラル)
スピーカー 内蔵スピーカー X 1
ヘッドホン 2.5mm ステレオ・ミニ・ジャック X 1
同期 USB 1.1 (クライアント)  ActiveSync
赤外線 IrDA (SIR 100cm, 115.2kbps)
コネクタ Cradle・DC 入力 5V, 1A DC・22 Pin クレードル・コネクタ
ボタンスイッチ メイン 電源 オン/オフ
アプリケーション
ボタン
フォント ノート
カレンダー
連絡先
タスク
4 方向+Enter ジョイスティック
側面 音声録音、再生
システム リセット
バッテリー タイプ リチウムイオン充電池 1350mAh
稼動 12 時間 (GPS機能未使用時)
サスペンド 21 日 (フル充電時)
外形寸法・重量 寸法 112.8 mm(長) X 69.6 mm(巾) X 16.3-24.15  mm(厚)
重量 本体約147g
電源・アダプタ 入力 100 - 240VAC
出力 5VDC, 1A
GPS機能
受信周波数 L1, 1575.42MHz、C/Aコード
測地系 WGS-84
接続ポート COM2
衛星受信 12チャンネル
消費電力 78mA@3.3V
プロトコル SiRFバイナリー・NMEA-0183
添付ソフトウェア Mio Mapパーソナルナビゲーションソフトウェア(日本全校道路地図含む)、昭文社Super Mapple Digital Ver.4 for Mio、Pocket Mapple Digital Ver.4 (広域区:日本全国、中域区:全国県庁所在地、詳細図:全国政令指定都市中心部)パソコンから地図データ転送