第34回東京モーターサイクルショーの主役たち

 3月30日から4月1日まで東京ビックサイトで開催された「第34回東京モーターサイクルショー」。今年も各メーカーから市販車・市販予定車を中心に多彩なモデルが出品された。今回のホビダス特集では、特に注目度の高かったモデルをピックアップしてご紹介する。

BMW

●HP2メガモト
オリジナルのHP2エンデューロと比較するとずいぶん力強いデザインとなったHP2メガモト。
 BMWが出品した注目マシン「HP2メガモト」。ハイパフォーマンス路線へと大きく舵を切ったBMWを象徴するモデル「HP2エンデューロ」をモタード的にリメイクしたモデルだ。

 前後ホイールの小径化やオンロードタイヤの装着はもちろんのこと、マシンの性格を反映してリアサスはコンチネンタルのエアダンパーシステムからオーリンズへと変更。フロントブレーキもダブル化された。バランサーを廃して、より鋭いレスポンスとパワーを獲得したHP2エンデューロのエンジンとオンロード用足回りの組み合わせは、果たしてどのようなパフォーマンスを見せるのだろうか。オリジナルのスレンダーな外観に対して、カーボン製の短いフェンダーと小振りなカウルによって、筋肉質のビジュアルへと変化している。F800シリーズやG650Xシリーズなど、最近のBMWが発表した多くのモデルがフロントにテレスコピックフォークを搭載している点は注目に値する。

①ホイールは17インチに小径化され、ブレーキもダブル化。②リアサスはオーリンズを採用。③サイレンサーはアクラボビッチ製。④小振りなカウルとフェンダーはカーボン製。

ドゥカティ

●ハイパーモタード1100S
この斬新なモデルの発売を待ち焦がれているファンも多いのではないだろうか。
 ミラノEICMAショーの「ベスト・オブ・ショー」や、MDA(モーターサイクルデザインアソシエーション)による「2005ベストバイク」を受賞したモデルで、ドゥカティ・モーター・ホールディング社プレジデント兼CEOのフェデリコ・ミノーリ氏が、ファンからの絶大な支持もあって生産決定したと、自身の運営するブログ「デスモブログ」の中でアナウンスしていた。

 3月の初旬には、世界デビューに向けて最終段階の開発が進められていると伝えられてていたハイパーモタード1100S。当然のことながら、会場に登場した姿は既に市販車然としたもの。会場で発表された数値は、乾燥重量は177キログラムで、出力は70kw(95馬力)/7750rpm、最大トルクは10.5Nm/4750rpm。予定通り今年5月には全世界に向けてデリバリーが開始されることになりそうだ。価格は169万9000円(税込)。

①モタード的デザインとドゥカティLツインエンジンが独特の迫力を醸し出している。②車体がスリムなので、ナックルガードにビルトインされた可倒式ミラーの幅がやや気になる。③軽快なデザインが与えられたフロントカウルとフェンダー。④ライダーの仕事場は極めてシンプルな仕上がり。

ビモータ

●テージ3Dコンセプト
独特の車体構成が極めて安定したハンドリングとブレーキングをもたらすテージ3Dコンセプト
 2003年にイタリアの資産家ロベルト・コミーニ氏によって買収され、新体制で復活を遂げてからは、ドゥカティ1000DSエンジンを搭載したDB5ミッレ/Bデリリオを発表するなど、かつての輝きを取り戻しつつあるビモータ。あまりに特殊なマシン構成ゆえにコスト高で、同社の経営を圧迫する一因となったと言われている「テージ」だが、このモデルを復活させたということは、現在の同社が如何に元気かということを物語っているのではないだろうか。

 ビモータが、社運をかけて実用化したこの特殊な車体構成のメリットは、緩衝と操舵というフロント周りの機能をほぼ完全に分離出来ることである。結果的に、ハードブレーキングにおいてもマシンの姿勢変化が抑制され、フロントの路面追従性は良好なまま維持される。

 ジュラルミンから削りだされたΩ型のフレームや、トラス構造の前後スイングアームなど、各部の丁寧かつ芸術的な造りは、全盛期のビモータと同様か、もしくはそれを超えるレベルにあると言ってよいだろう。エンジンはドゥカティの1078cc空冷Lツインユニットを採用。装備重量は168キログラム。世界限定29台という超希少モデルで、価格は522万9000円だ。

①フロントのスイングアームはトラス構造に進化したが、基本的な仕組みは踏襲されている。②ロッド操作によりフロントの車軸を中心にステアする、いわゆる「ハブセンターステア」構造であることが分かる。③芸術的なΩ型フレームが前後のスイングアームピボットを支えているが、実際にはフレームレス構造に近い。④マフラーのエンドは近年流行している3角形。その奥には比較的シンプルなリアサスが見える。

ヤマハ発動機

●WR250R/X
洗練された外観にインジェクション仕様のDOHC4バルブエンジン、最新の足周りを装備したWR250R/X。
 WR250Rは、スリムでコンパクトな車体に、排気量249ccの水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載。燃料供給にはフューエルインジェクションを採用したほか、フレームや足回りなどにも最新のスペックや装備を投入し、優れた走行性能と環境性能を高次元で両立する次世代スポーツとして開発されたモデル。WR250Xはそのモタード・バージョンである。

 WR250R/Xのエンジンは4バルブ構成で、5バルブのYZ250Fとは異なるものの、競技用マシンからの多くの技術的フィードバックを受けていることは間違いなく、そのパフォーマンスが注目されている。会場でも詳細なスペックなどは発表されなかったが、このモデルに対する市場の関心度は非常に高く、ステージ前から人気が途絶えることが無かった。市販が待ち望まれるモデルである。

①単なる「オフ車」ではなく、洗練された雰囲気も漂うWR250R。②ブラックベースのカラーリングが施されたWR250X。③フレームやエンジンはヤマハ流の美しい仕上がり。④RもXもブレーキディスクはペーダル形状のものを装着。

ピアジオ

●MP3 250/MP3 250RL
乗れば注目を集めることは間違いないMP3 250。フロント2輪はスクーターの安定性を確保する優れた構造と言える。
 国産ビッグスクーター並の注目を集めていたのが、ピアジオの「MP3 250」と「MP3 250RL」だ。

 ご覧の通り、フロントに2輪を持つ外観のインパクトは十分だが、これは奇をてらったものではなく、通常のスクーターよりも高い走行安定性を追求した結果だ。左右独立して傾くことでステアするパラレログラム構成のテイルテイングホイールが生み出す抜群のグリップは、安定したコーナーリング性能をもたらすだけではなく、敷石路面や冠水路面でも抜群の走破性を発揮すると言う。また、MP3 250RLでは、エレクトロハイドローリック・フロントサスペンションやロッキングシステムが追加され、サスペンションダンパーが自動的に調節されるほか、センタースタンドを掛けることなくパーキングも出来る。気になるフロントホイールの幅は42センチで、通常の大型スクーターと同じ感覚で取り回すことが可能だ。

2007tms-5f.jpg インジェクションを採用したエンジンの排気量は250ccで、最高出力22.5馬力を発生。最高速度は125Km/hに達する。ホイールは12インチのアルミ製で、三輪とも240ミリ径のデスクブレーキを装備。その他、ユーロ3をクリアする環境性能を実現したほか、車両盗難防止の為のイモビライザーも搭載するるなど、装備も充実している。なお、このモデルの運転には自動車の普通運転免許が必要となる。価格はMP3 250が78万5000円、MP3 250RLが88万5000円(税込)。

①「どうやって曲がるの?」と、来場者の多くも興味津々。②車体をリーンすると、フロント二輪はほぼ平行に傾き旋回をはじめる。③アナログメーターと液晶を組み合わせた現代的なメーターパネルは4輪的な仕上がりだ。④美しいリア周りのデザイン。安定感の高さを活かして高さを稼ぎ、大容量の収納スペースを確保している。

ベネリ

●トルネード Tre 1130
水冷4ストロークDOHC3気筒エンジンを搭載した個性派マシン。しかしリアビューはそれ以上に個性的だ。
 復活したイタリアの名門ベネリは、1130ccへと排気量を拡大した「トルネード Tre 1130」を出品。クロモリ鋼管とアルミのキャスティングパーツから成る特徴的なフレームには、水冷4ストローク4バルブDOHC3気筒エンジンを15度前傾して搭載。120kw/10500rpmのパワーと124Nm/8000rpmのトルク、軽快なハンドリングを堪能できるスーパースポーツに仕上げられている。

 しかし、このモデルの最大の特徴は、なんと言ってもラジエターをシート下に配置した独創的な冷却システムであろう。走行状況によってシートカウル内部に設けられた2基の電動ファンが作動、熱気を後方に強制排気するという独自のシステムは、熱源の分散、全面投影面積の減少、フロント周りの軽量化など、現実的なメリットをもたらす一方、モーターサイクルに対する既存のイメージを超越したリアビューは見る者に強烈な印象を残すことになり、これもこのシステムのメリットと言うことができる。ややコミカルな印象が無いでもないが、モデル全体の質感は非常に高く、モーターサイクルとしての完成度は高い。

①個性的ではあるが端整な顔立ちのフロント②シートカウルに格納されたラジエターの熱気はこのファンによって強制排気される。

モト・モリーニ

●9 1/2(ノヴェ・エ・メッツォ)
モト・モリーニは、コルサーロ1200とは対照的な比較的オーソドックスなマシンを投入した。
 コルサーロ1200でカムバックを果たしたモト・モリーニの新作は「9 1/2(ノヴェ・エ・メッツォ)」。意外にも、モト・モリーニは、コルサーロ1200をマイルドチューンしてアップライトなポジションを持たせたフレンドリーなモデルを投入してきた。

 主要なコンポーネンツはビビッドなキャラクターを持つコルサーロ1200から受け継ぎつつも、こちらはツーリングにも適合する穏やかな特性が与えられていると言う。また、バッグやウインドスクリーンなどのアクセサリー類も設定される模様だ。ただし、マイルドとは言っても、出力は100馬力オーバー。フロントにはマルゾッキ製の50ミリ径倒立フォーク、リアはパイオリ製のモノショック、ブレーキは前後ブレンボ製のキャリパーを採用するなど、スポーティーな装備が奢られ、スポーツツアラー的な使い方も出来る。価格は未定。

①どちらの側から見てもシンプルな外観。②パイオリ製のサスペンションユニットにもモト・モリーニのマークが入る。リンクを介さないシンプルな構造だ。

モトグッツィ

●1200SPORT
透明スクリーンを持たないメーターバイザーがスポーティーな印象の1200SPORT
 モトグッツィは、新作の1200SPORTを展示。限定生産のレースマシン「MGS-01コルサ」での経験を基に、ツインレース用ベ-スマシンとしてのポテンシャルを追求しつつ、公道走行も楽しめるモデルとして開発。サーキットでは、発売が予定されているレーシングキットを装着することで、本来の戦闘能力を発揮するほか、公道ではタンクバッグやパニアケース等を装着してツーリングも楽しめる欲張りなモデルだ。

 車体は、「ブレヴァV1100」系の極太スチールパイプによるダイヤモンド型フレームを採用。独自のシャフトドライブ機構とともに現行モトグッツィ中最強のシャーシを構成している。空冷2バルブOHV90度V型2気筒エンジンと6速ミッションは、先に発表された「ノルジェ1200GT」を踏襲しているが、サイレンサーにはカーボンタイプを採用するなど、よりスポーティーな仕様となっている。その他、新設計のバーハンドルや専用ステップ、ビキニカウルなど、装備も充実している。車体色はロッソ・コルサとネロ・コルサの2色で、価格は189万円 (税込)。

①黒いヘッドライトベゼルが新鮮な印象のメーターバイザー。②スポーツモデルということで、マフラーはカーボン製。③繊細なレタリングが施されたセンスの良いメーター文字盤④フロントブレーキにはブレーキング社製のペーダル・ローターとブレンボのキャリパーを採用。

アプリリア

●SL 750 Shiver(シバー)
アプリリアの魅力的なアッパーミドルクラスマシンSL 750 シバー。
 アプリリアは、2006年のミラノショーで華々しいデビューを飾ったSL 750 シバーを展示。トラス構造のスチールパイプ部分とアルミ製部材を組み合わせたハイブリットフレームには、電子制御式インジェクションとツインプラグ方式を採用した新開発の90度Vツイン・エンジンを搭載。排気量は750ccながら、最高出力95HP/9000rpm、最大トルク8.25 kg/7000 rpmを発揮。足回りは、ラテラルマウント・リア・ショックと、43ミリ倒立フロント・フォークの組み合わせで、フロントブレーキのキャリパーはラジアル・マウントタイプ。3方向触媒付ステンレス製ダブル・サイレンサーで高い環境性能も実現している。乾燥重量は189キログラム。価格は未定。
①スチールパイプによるトラス構造部分とアルミ部材を組み合わせたハイブリッドフレーム。美しく合理的な構成だ。②リンクを介さないシンプルなリアサスはひとつのトレンドと言えるかもしれない。③バーハンドルとシンプルなメーターがマシンのキャラクターを反映している。④三角断面のマフラーも現在の流行か。


 今回ご紹介したモデルも含めて、モーターサイクルショーに出品されたモデルのほとんどは市場に投入されるはずだ。気になるモデルが見つかった方は、是非とも販売店でその感触を確かめていただきたい。

記事制作:ホビダス編集部 渡辺