オーバーホールはしないとダメ?【後編】

前回からの続き

時計を長く大事に使う上で、故障時の修理、定期的なオーバーホールは欠かせない。 次の6行程が、時計を長持ちさせるために必要な処置だ。

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1,外観チェック

 ケースやブレスに溜まった外傷や汚れ、サビなどを厳しくチェック。ケースの傷やブレスコマの歪みが激しい場合には修理、交換が必要となる。また、ブレスのコマ数、バックルのバネ棒差し込み位置、ケース番号などのほか、リューズ操作によって運針具合や内部オイルの状態なども同時に確認される。

2,分解

 ブレス、バックルからゼンマイ、歯車に至るまで、部品ひとつひとつのコンディションを入念にチェックしながら分解。ムーブメントを構成する部品はもちろん、各針や文字盤なども傷つきやすいため、ダイヤルシートなどを使い、慎重に作業される。磨耗の激しいものや、サビついている内部部分が見つかった場合には修理や交換が必要となってくる。 9.502.jpg

3,洗浄

 先にしつこい汚れを、木製の掃除棒などで取り除いてから、専用の超音波洗浄で外装部品に付着した汚れや、ムーブメントにこびりついた古いオイルなどを徹底的に除去する。部品の種類で洗浄機器や、洗剤が異なるため、ケースなどの外装部分なら30分、ムーブメント部なら15分から20分程度を目安に洗浄を行うと新製品同様の輝きを取り戻す。

4,組み立て&注油

 部品ごとにオイルを替えながら分解と逆の手順で各部を組み立て、注油をしていく。ムーブを組み立て終えたら、振動数を計測するタイミングマシンなどの専用機器で、ムーブの精度やゼンマイのトルクを確認、微調整を行う。アンティークウォッチの組み立て作業はデリケートで調整が難しいため、高い技術力を持つ熟練の時計職人が担当する。 9.501.jpg

5,ケーシング

 ムーブが組み終わった段階で、ケース内に収める作業に取りかかる。オーバーホールの日時や担当者名などを裏蓋に刻印したあと、ケース内に埃が混入しないよう、周囲にも神経を使いながら裏蓋をしっかりと閉める。ブレスの場合にはこの工程でセットすることもあるが、革ベルトの場合には、すべてが終了した段階での取り付けになる。 9.jpg

6,最終検査

 最後に時計本来の性能の戻っているかを確認して作業終了。精度の検査には、専用機器を使ってさまざまな姿勢で一昼夜放置した後に誤差判定を行う。



 オーバーホールとは人間で言えば、病気を未然に防ぐための健康診断のようなもの。時計をいつも良好な状態に保つために、健康診断と同様に定期的に行うことに意味がある。修理時の料金はもちろん、なによりしばらくの間、使用できなくなる可能性を考えたら、オーバーホールに出す手間を惜しむべきではないだろう。愛機を末永く付き合うためにも肝に銘じておこう。

記事制作:ウォッチセンサー編集部