ハリスの太さと魚の視力

釣り人が気を使うものの一つにハリスの太さがあります。細くて透明なハリスなら魚から見え難く、水中で漂う付けエサの動きも柔軟になるので、食いが渋い時などは、ハリスの号数を落としていくと言うのが一般的な考え方です。 では、そのハリスを見つめる魚の目ですが、実際にはどれぐらいの視力があるのでしょうか?

魚は「近眼」?

 研究により、魚の視力を理論値で割り出したところでは、ほとんどの魚の視力は0.1から0.2の範囲にあるそうです。まず、視力が良いとされる回遊魚の場合、カツオが0.43、キハダ0.49、メバチ0.44、ビンナガ0.49、クロマグロ0.28程度。魚類の中では最も進化しているとされるカジキ類ではバショウカジキが0.53、フウライカジキが0.56と最も視力があり、クロカジキ0.44、シロカジキ0.37、マカジキ0.38、メカジキ0.31という結果です。

沿岸性の魚はもっと・・・

 ところが、釣り人に最も馴染み深い沿岸性の魚は、上記の回遊魚と比較するとずっと視力が劣り、イシダイ、カサゴ、キュウセン、メジナ、クロメジナ、ホウボウなどは0.13から0.16程度の視力しかないのです。また、ゴマサバ0.19、マサバ0.17、マアジ0.12、マダイ0.16、チダイ0.15、ブリ0.11、スズキ0.12、マハタは沿岸性の魚の中ではやや良いのですが、それでも0.24という結果です。別の検査方法ではカツオが0.18、サバが0.08、カゴカキダイが0.2程度との報告もあるそうです。

視力以外の理由があるのでは?

 いずれにしても、ハリスの太さに細心の注意を払って一尾一尾を釣りあげている我々にとっては、にわかには信じられない結果です。もちろん、「ハリスの号数を落とすと食いが良くなる」という考え方・経験を否定するわけではありませんが、どうやらハリスの太さと魚の「食い」の関連性は、魚の視力、つまり「見える・見えない」とは別のところに答えがあると考えた方が良さそうです。近眼の人が、メガネやコンタクトレンズを外した状態でハリスを見つめているのと同じような状況に魚は置かれているのですから・・・。次回の釣行では、こんなことも頭の片隅に置いて仕掛けを選択されては如何でしょうか?

●記事制作:ホビダス編集部 渡辺
●協力:スポーツアングラー