素材で釣り糸を使い分ける Part 1

釣具店に行って、膨大な数の釣り糸を目の前にして、どの糸を買えばよいのか迷ってしまった経験はありませんか?このような場合、釣り糸の素材による違いが理解できていれば、目的の商品にたどり着く時間も短縮できるというものです。今回から数回のシリーズで、釣り糸の素材による特性の違いを特集します。初回は最も馴染み深い「ナイロン」をとりあげました。

古くて新しい素材、「ナイロン」

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進化するナイロンラインの一例。
東レの「ソラロームIIレンジアタッカー」

 戦前から戦後にかけては、絹糸などの天然素材が釣り糸の素材として使われていましたが、戦後、それらに変わって登場したのがモノ・フィラメント(単一繊維)であるナイロンでした。天然素材に比べて、釣り糸としては圧倒的に優れた特性を持っていたナイロンは、あっという間に釣り糸素材の主流になりました。もちろん、ナイロンは現在でも釣り糸の素材としては代表格であると言っていいでしょう。

 現在、ナイロンの釣り糸は、安価で何処でも入手可能です。ただし、「安かろう、悪かろう」ではありません。近年、ナイロン以外の素材を使用した釣り糸も数多く開発されていますが、ナイロン素材も、日々進歩しています。また、本質的にナイロンが他の素材と比べて有利な場合が多々あることを理解することがとても重要です。 

ナイロンのメリット

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伸縮率や強度など、目的にあわせたナイロンが開発されています。状況にもよるが、例えばシーバスなどに対するナイロンの優位性は多くの釣り人が認めているところです。

 ナイロン素材の最大のメリットは、何といってもその「伸縮性」です。銘柄によってその伸縮率は大きく変わりますが、一般にナイロン特有の適度な伸びが、瞬間的な衝撃を吸収するため、釣り人の「合わせ」によるショックなどに対しても非常に強いと言えます。また、糸全体に伸縮性があるため、仮に、糸の一部にキズが入ったとしても、その部分に急激に張力が集中することが無く、この点でも、トラブルに絡む糸切れには非常に強いと言えます。

 次にその「しなやかさ」。ナイロンは非常にしなやかで、リールのスプールへの馴染みも良好。当然、ラインの放出抵抗も少ないので、キャスト時のトラブルも少なくなり、安定して飛距離を出すことが出来ます。また、ナイロンの特性から、魚の乗りが良いことを多くの釣り人が指摘しています。その理由は、伸縮性・しなやかさにより、餌やルアーをくわえた魚に与える違和感が少ないからではないかと言われています。また、シーバスの「エラ洗い」など、激しい魚の抵抗に対する追従性が良く、ルアーをはじかれにくいというのもナイロンならではの特性と言えるでしょう。

 ちなみに、ナイロンの比重は1.14前後で、この数値からするとナイロンの釣り糸はゆっくりと沈むことになります。この特性に関してはメリットなのかデメリットなのかは状況によりますが、概ね、どのようなタイプの釣りであっても使いやすい比重であると言えるでしょう。

ナイロンの死角

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ナイロン・ラインの弱点をカバーするために、ナイロン以外の新素材を使ったラインも続々とリリースされています。当然、その特性はナイロンとはまったく異なるものであることが多いようです。

 ナイロンの最大のメリットは、その伸縮性としなやかさですが、裏返せば、それが最大の弱点でもあります。つまり、伸縮性としなやかさは、釣り糸そのものの伝達性が劣ることを意味しています。特に微細な魚信をとらなくてはならない釣りにおいては、他の伸縮性が少ない素材に比べて感度が落ちるのです。また、ナイロンには数パーセントの吸水性があります。つまり、実釣環境では徐々に水分を吸収しているのです。吸水することで、ナイロン素材はよりしなやかになり、リールのスプールへの馴染みも良好になり、トラブルも減るとも言えますが、実はこの特性が曲者です。吸水することで、ナイロンの強度は5%前後低下してしまうのです。現在では、吸水による強度の低下と、ロッドやガイドとの摩擦抵抗に着目し、それを改良するために、フッ素やシリカによる表面処理も行われていますが、あくまでもナイロンの特性としては、吸水による強度低下が起こるということは理解しておくべきでしょう。

今後もナイロンが廃れることはない

 このように、釣り糸としてはまだまだ魅力的な性質を持つナイロン。その特性を理解すれば、どのような釣り・状況にナイロンが向いているのかが見えてきます。また、ナイロンを使うのであれば、竿は感度の良いものを選定するなど、ナイロンの弱点をカバーする方向でタックルを組むことも可能です。釣り具メーカーからは、現在でも新しいナイロン・ラインが続々とリリースされていますが、これは、ナイロンには依然として捨てがたいメリットがあるからだと言えるでしょう。

●記事制作:ホビダス編集部 渡辺
東レフィッシング

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