素材で釣り糸を使い分ける Part 3

いよいよ釣り糸の素材に関する特集も今回で3回目。今回は「PE(ポリエチレン)」を特集します。その強度から、近年愛好者が増えているこの素材。人気の秘密は何処にあるのでしょうか?

マルチ・フィラメント

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最強力原糸採用により超高強力。PEならではの超高感度。僅かなアタリも見逃さず、海底の変化も明確に把握。東レの「チューンアップ・投・スーパーPE」。

 PEはポリエチレン繊維が原料です。ただし、これまでご紹介したナイロン、フロロ・カーボンがモノ・フィラメント(単一繊維)であるのに対して、PEはマルチ・フィラメント(数本の原糸を編んで製造する)であることが素材以上に大きな違いとなっています。ポリエチレン原糸として一般的なのが「ダイニーマ」と呼ばれる原糸で、これは日本の東洋紡が開発したことでも有名です。超高分子量ポリエチレンが原料となっており、その優れた強度から「夢のスーパー繊維」とまで言われています。

 

 

 

 

PEのメリット

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高感度だから実現する、見事なラインアクション。東レのエギング専用PEライン「スーパーエギングPE」。

 鉄の約8倍もの高強度を誇り、比重は0.97と軽量。高弾性で耐衝撃吸収性に優れ、耐光性、耐薬品性、耐摩耗性、耐屈曲疲労性にも優れたこの素材から生み出される最大のメリットは何といってもその感度でしょう。この素材はほとんど伸びることが無く、切断するときの伸度は僅か4%しかありません。ナイロンやフロロ・カーボンの伸度と比べていただければ、この数値がいかにずば抜けたものかお分かりになるでしょう。その圧倒的な高強度・低伸度から感度もやはり圧倒的です。表現として適切かどうかは別にして、「魚が接近してきたのが分かる」とさえ言う釣り人がいるほど。確かに底の様子や微細な魚信を感じ取ることが可能です。

 その強度と耐久性も大きなメリットといえるでしょう。優れた耐光性、耐薬品性、耐摩耗性、耐屈曲疲労性から強度も圧倒的。実釣状況でも強度の低下はほとんど無いと言えるでしょう。特に力学的な強度に関しては、その優れた分子構造によるところが大きく、これだけ強度があれば、他の素材よりも数段細い糸を選択でき、釣りの種目・状況によってはかなりの武器となるでしょう。比重0.97と軽量であることも、例えばエギを使ったイカ釣りなどで、シャクリの後のフォール距離をとりたい場合、シンキング・ルアーで意識的に中層を狙う場合など、ラインが浮いた方が有利な局面において有効でしょう。

 ルアー釣りにおいては、ストラクチャーに引っ掛けてしまっても比較的ルアーの回収率が高いというメリットもあります。スチールの約8倍という高強度ゆえ、ルアーのフックが伸びて回収できるケースが多々あります。

PEのデメリット

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ハードレジンインサート製法により生まれたマルチパフォーマンスPEライン。耐磨耗性は従来のPEラインの3.8倍を誇るDUELの「X-WIRE」

 さて、「夢の繊維」から生まれるPEラインですが、実は釣りにおいてはデメリットが無いわけではありません。まずその比重が問題です。0.97という比重は水に浮くことを意味しますから、仕掛けやルアーを早く目的のレンジまで沈めたい場合にはこれがデメリットになるわけです。また、実際に使用してみると実感できますが、水面に浮かんだPEラインは目立ちやすく、場合によっては魚に警戒心を抱かせる一因になるでしょう。これに関連しているのかは定かではありませんが、魚のフッキングが悪いという報告もあります。伸びが極端に少ないことも関連している可能性がありますが、特にルアー釣りではバイトしてもルアーが弾かれてしまい、フッキングに至らないケースがあるようです。この点については、使いこなせるようになるまで、ある程度の慣れが必要な素材と言えるかもしれません。

 さらに、これだけのスーパー繊維ではありますが、実は耐熱特性に関しては145度とあまり良くありません。大物がヒットして、ドラグから急激にラインが引き出されたり、リール各部やロッドのガイドと激しく摩擦した場合、発生する熱で強度が低下することが考えられます。また、ライン全体の強度が高いため、使用中にラインの一部にキズが入ると、強度のバランスが崩れ、その部分に力が集中して、あっけなく切れるというケースもあるようです。PEはメンテナンス・フリーと考える釣り人も多いようですが、案外デリケートな部分もあり、使用中はラインの傷みに十分な注意が必要です。

使いこなせば強力な武器に

 さすがに「夢の繊維」、「スーパー繊維」と言われる素材だけあって、思わず使いたくなるような高性能ぶりです。現在ではPE以外の新素材も開発され、続々とデビューしていますが、PEはその強度と使用感に関しては、他の新しい素材よりも一歩リードしているように思われます。また、PEをコーティングして、使いやすい張りを与えたり、他の素材との複合材料として使うことで、続々と使いやすい製品が登場しています。細糸を使いたい場合や、何よりも感度を重視する場合、糸を浮かせたい場合などに選択すれば、より効果的と言えるでしょう。尚、PEにはその編み方にいくつかのバリエーションがあり、それぞれの編み方で特性が異なります。目的に合った編み方を選択すればより良い結果が出るでしょう。

●記事制作:ホビダス編集部 渡辺
東レフィッシング

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