素材で釣り糸を使い分ける Part 4

特集「素材で釣り糸を使い分ける」も今回でいよいよ最終回です。最後を飾るのは、「生分解ライン」です。昨今では、「釣り」という趣味を取り巻く状況は厳しくなる一方ですが、その原因の一つが環境問題。少なくともラインの残留による環境破壊に対しては切り札となりえる「生分解ライン」。今回の特集ではその可能性を探ります。

生分解ラインとは・・・

 「生分解ライン」とは、根掛かりなどで、たとえラインの一部がフィールドに残ってしまったとしても、自然界の微生物(バクテリア)などの力により分解され消滅するラインのことです。各メーカーの研究開発の末、数年前から販売が開始され、最近では釣具店の店頭でも極普通に見かけるようになりました。しかしながら、素材に由来する特性ゆえ、実際の使用に当たっては、若干の配慮が必要なようです。ただし、これは生分解ラインが既存のラインより劣っているということではなく、特性に応じた使い分けが必要になるということですので、お間違えの無いように。それでは、現在リリースされている生分解ラインの一部をご紹介しましょう。

先駆者「東レフィールドメイト」

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東レが開発した「フィールドメイト」はこの分野の先駆け。「生分解プラスチックライン」として販売されている。

 東レが開発した「フィールドメイト」は、「ギネス」に認められた世界初の生分解ラインです。自然界で酵素や微生物による二段階の分解が行われ、無害なプロセスで自然に還っていくメカニズムをもつ生分解性ポリマー(高分子化合物)を使用することで生分解を実現しています。釣り糸としての性能と、生分解性・最適な生分解速度。この相反する性能の両立という難題を、東レでは、独自の製糸技術によって克服しています。

 

 

 

エコリーダー

デュエル・エコロジスト

デュエルの「ハードコア・エコロジスト」はその強度と品質安定性が魅力だ。

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バリバスの「エコリーダー」はしなやかさでもナイロンラインに迫る。

 「エコリーダー」とは、生分解ラインを使用したリーダーのこと。デュエルの「ハードコア・エコロジスト」は、バス・フィッシング専用のリーダーですが、品質の安定にまで配慮し、分解素材でありながら、高品位ナイロンの75%に迫る強度を実現しています。 必要分だけ出すことが可能で、水や紫外線による不測の分解促進を抑える「ジャスト・ストッパー」を採用し、生分解ラインの弱点をカバーしています。 バリバスの「エコリーダー」も自然界に還元される生分解性ポリマーR.T.E.のバス専用リーダーです。強度、しなやかさも通常のナイロンラインに匹敵するレベルにアップしています。

生分解の仕組み

 実は想像以上に複雑なメカニズムを経て、ラインは分解され消滅します。東レの「フィールドメイト」を例に取ると、二段階の過程を経て分解が完了します。一次分解では「フィールドメイト」に用いられている生分解性ポリマーは、水中や地中などの自然界に 存在する微生物が持つ加水分解酵素によって、ポリマーの高分子を結合していた鎖(エステル結合)が切られ、低分子量化された分解生成物となり、微生物に取 り込まれます。さらに、二次分解で、取り込まれた分解生成物は、微生物内でさらに分解され、一部(10-15%)は微生物の栄養源などの生体物となり、大部分(85-90%)は水と炭酸ガスとなって排出されます。 こうしてラインは完全に分解されるのです。ただし、生分解ラインは釣り糸としての性能を考慮して、分解の速度は穏やかです。水鳥が絡まるなどの被害を防ぐために、極力ラインを回収する配慮は必要です。

実際の使用感は・・・

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「フィールドメイト」は、分解を抑制するアルミ蒸着パッケージで販売される。

 フィールドからは、「伸びが大きい」という意見を多く聞きます。確かに、実際に使用してみると、ラインを結んだり、ルアーをセットする時の感触でも伸びの大きさを実感します。そういう意味では、ラインの伸びが有利に働く釣りであれば生分解ラインを違和感無く使うことが出来るでしょう。逆に、感度が重視される釣りでは不利になる可能性があります。また、性能的には十分なレベルに達しているものの、強度はナイロンの75%程度ですので、ラインを選択する段階では注意が必要です。さらに、実釣状況下以外では分解が進まないように、湿気・水分を避けて保管したり、使用後は水洗いをして乾燥させるなど、「生分解ライン」ゆえのデリケートな扱いも必要です。しかしながら、我々釣り人がこのような特性を理解すれば、「生分解ライン」を使用できる範囲はまだまだ広がるはずです。

生分解素材の可能性

 生分解ラインはまだまだ開発途上にあると言えますが、素材の特性を理解して使わなくてはならないという点では、既存のラインと同様です。例えば、リーダーとしては、比較的伸びが大きい生分解ラインは適していると言えるでしょう。伸びにより、ショックを吸収するとともに、リーダーは根掛かりで水中に残してしまう可能性が高いので、環境保護という観点からも大きな意味を持ちます。現状、ラインの全てを生分解ラインに切り替えることが不可能でも、メーカーの改良を待ちながら、我々釣り人も積極的に生分解ラインの可能性を模索することが環境保護、ひいては「釣り」という趣味を守ることにつながるのではないでしょうか。

●記事制作:ホビダス編集部 渡辺
東レフィッシング

デュエル

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