2007年1月7日の真平。
真平をサポートする新しいスポンサー、
KUSTOM
の撮影途中の風景。場所は鵠沼。
真平は昨年、9月5日、
日本で初となる本格的なトウインセッションに参加。
当時の模様はサーフ1st #046に掲載し、
全国から多くの反響を得た。
その046号で掲載した堀口真平インタビューを
読み逃してしまった方のために、
ここに掲載します。ぜひ!
S1 power interview/Shinpei Horiguchi
タイトル
堀口真平
キャッチ
人間として光る人になりたいです。
リード
「その怖さはいつもの何倍も怖くて、トウインはやったことないし…、未知の世界だからその楽しみを知らない…。レベルの高い先輩達と一緒に…こういう色んな要素が加わって…、でも僕は正直ビビってました。海に入ってもビビッてましたよ(笑)」。日本初の本格的なトウインセッションとなったRed Bull Tai-Fuプロジェクト。9月5日、The Dayとなったその日、そしてその時までのストーリーを堀口真平に聞いた。
Interview by Tokushi Akai
協力:レッドブル台風
Special Thanks:RED BULL Tai-Fu
http://www.redbulltaifu.com/
本文
小見出し
ワイメアとか入る時も「怖くない?」って聞かれるけど、
怖いんですよね。でも乗るのは楽しいわけじゃないですか。
●あの日、9月5日は(堀口)真平にとっても忘れられない日になったんじゃないかな?
なりましたね。新しいステップにはい上がった、というか、いろんな意味で昇らさせてもらったというか。未知の世界だったわけで、そこを先生達がこっちだぞ、ってドアを開いていってくれた感じですかね。
●“先生”というのは…?
トムさん(トム・キャロル)、ロスさん(ロス・クラーク・ジョーンズ)。この2人が筆頭というか、ズバ抜けた力を持っていたんです。
●それはどんなところ? 例えば、トムさんのどんな動きが凄かったとか。
トムさんでいうと、「この人、サーフィン上手いわぁ」って純粋に思いました。出てるオーラが違いますね。海に対する経験値とか海の中での落ち着き様とか、何とも言えない雰囲気が「あ、この人サーフィン上手いな。経験値物凄いんだな」って感じたんです。ロスさんは攻撃力が高いって感じです。で、2人でギャーギャー言ってやってる、って感じで…。
●トムさんとロスさんはトウインのパートナー同志はだよね。
そうです。パートナーでは、ロスさんとトムさん。カーロス・バーレーとボー・エマートンが組んで、僕と純さん(城純)です。イアン・ウォルシュは交代でやってたんですよね。僕もカーロスに引っ張ってもらった波もあるし…。
●トムの凄さについて、もう少し話してくれる?経験値が豊富っていうのは、具体的に言うと?
僕なんかが海でピヨピヨしてるところを、ドーンと構えて、存在がでかく見えるというか。もちろん乗ってる波のラインとか凄いし、ギリギリのところを走ってくるんですよ。「そこ走るのかーっ!? 捕まる、捕まる〜!!…大丈夫だったー!」みたいな。あと、そこでそういうターンしちゃうんだ、っていう様な僕らの想像もつかないことをしちゃうんです。
●セッション最初の9月4日のサーフィンを見てそう思ったの?
最初の日は波がそこまで凄くなかったんですよ。だから、皆はちょっと物足りない感じがしてて。で、2日目の9月5日ですね。凄かったのは。物凄かったです。
●物凄いって、間近に見てどうだった?
波も物凄い、その走っている所も凄い。
●波自体、そこの波が割れてるのは過去に真平は見たことあったの?
いつも台風の時にチョロチョロっと割れてるのを見たことはあるんですけど、あんまりボッコリ割れてるのは…どうだろう、見たことはあるんですけど、あそこまで凄いのはなかったと思います。あんまり記憶にないですね。あんなに乗れちゃったんだ、って気持ちですよ。もちろん、先生達がいたから、あのMaxの波を開拓できた、っていうのがあると思います。
●当然トウインでなければ乗れない波だよね?
あの日はトウインでなければ無理ですね。物凄いダブルアップしますから。
●それって5日のレフトの方?
はい。名前は「ウッチー」っていうんですけど。
●じゃ、そのウッチーがダブルアップ。
はい、アウトからでかいのが来て、ワンターンを入れたくらいで、いきなり棚に沿って、バコーンって来るんですよ。
●皆、飛んでる写真だよね。
そうなですよ。だからもう大丈夫かなぁ〜っていうライン取りで来るんですよ。最初、本当に大丈夫かな?って思いましたね。危ない、溺れちゃうんじゃないか、とか、この人達頭大丈夫?とか(笑)。このセッションは普通じゃない、って思いましたね。
●それが2日目の9月5日だ。
はい。
●じゃ、ちょっと話を戻すけど、あのスーパー台風イオキが日本に近づいて来て、RED BULLのプランを聞いた時の心境はどうだったの?
けっこう、緊張してましたね。どうなるのかなぁっていうのと、台風が物凄かったし。僕よりもレベルがぶち抜けて高い先輩達が来て、そのレベルでやるわけじゃないですか。ついていけるのかな、という心配はありましたね。その波が来たらもの凄いセッションになるのは解っていたので、本当に怖いっていうのもありましたね。もちろん、楽しみな部分もありましたけどね。どんな風になっちゃうんだろう、ワクワクみたいな。ワイメアとか入る時も「怖くない?」って聞かれるけど、怖いんですよね。でも乗るのは楽しいわけじゃないですか。この葛藤というか、怖いと楽しいの間で刺激があっていいわけですよ。で、今回もそれがあったんだけど、やったことがないじゃないですか。乗ったことのないサイズ…。だからもう、その怖さはいつもの何倍も怖くて、しかもその楽しみは知らないじゃないですか。ワイメアは知ってても。20ft〜25ft級の波に乗ってどうなるのか、っていうのは、パドルだったら乗りたいけど、トウインはやったことないし、未知の世界だから楽しみを知らない。レベルの高い先輩達と一緒に…こういう色んな要素が加わって…、僕は正直ビビってました。海入ってもビビッてましたよ(笑)。
●真平が沖縄取材から帰って来た時、すでにその時からもう緊張してたよね。
はい、かなりキテましたね。ちょっとピリピリして、色んな人に当たっちゃったりしました。精神状態が不安定でしたね。怖くて…。
●それぐらい追いつめられた。
はい、かなり追いつめられてました。
●そうだよね。当時は俺も電話で真平と話した時、ピリピリしてるな、って感じたよ。例えば、真平を引っ張ってくれる人は誰なのか、とか知りたかったけどさ、当時は決まってなかったでしょ。
はい。不安でしたね…。
●純が来るって決まったのって、かなり後だったんでしょ?
たぶん、はい。
●純がメンバーになったって知ったのはいつ?
「実は純も来るんだよね」って聞かされて「え?そうなの?」ってそんな感じで…。
●寸前だ。じゃあ、ゼン(吉福然)と純がハワイから来る、オーストラリアからロス、ヨーロッパからトムが来る、台風が近づいてる、真平はビビッてる。でも3日前まではサイズは頭半くらいしかなかったんだよね。
そうですね。そこでちょっと練習して、ジェットスキーの練習もしました。でも急きょ決まったんで、本当はもっと練習したかったんですけど、夏とかスケジュールが色々あって難しくて、だから不安でしたね。
●そういう中で、初日、セッションがスタートするわけだ。その9月4日の朝はどんな感じだったの?
朝起きて、波チェックして、あそこにあるね、って感じで、そこはロスの独断で決まるんですよ。それで、場所が決定されてそこへ行くわけですよ。
●陸から見えるの?
はい。見えますよ。常識外れのサイズですよ。
●あそこでやるぞ、って言われた時はどういう気持ちなの?
前からそこにいい波が割れてる、ってのは知ってたんですよ。ただそこでサーフィンする前に他の所でもサーフィンできるんで…。で、初日はそのシンカイのライトに入ったんです。
●そこが割れててももっといい波が他のリーフで割れてるから、今まではそこでやったことがなかったんだね。
はい。あそこでできるだろうな〜っていう噂はあったんですけど、でもその日はそこでやることになって楽しみでしたね。
●シンカイのライトはサイズでいうとどれくらい?
15ftは余裕で来てましたね。ただ、トウインにしては小さすぎて…。でも僕にとっては練習にちょうどいいサイズでしたね。
●じゃあそこでメンバーが入って、初のトウインセッションになったんだ。
はい。でも風が凄くて。オフショアだけどサイドから吹いてて海面はバタバタしてて…、で、途中で止めたんですけど…。レフトに行ってた人もいるんですよ。
●そこは問題なくレフトにも行けちゃう?
はい、というか、僕らが過去に見てた波はもともとレフトなんですよ。レフトがいいんですよ。ただ、この台風が異常な角度から来て、異常なスウェルを送ってきたので、ライトが割れてたんです。
●あぁ、台風イオキ(12号)はイーストスウェルだったね。
はい、スーパーイーストです。で、すごいパワーがあったから。今までとは違う波でしたね。シンカイはもともとレフトなんですよ。でもライトだった…。ロスさんは「ここはスモールジョーズだ」って言ってましたね。波質がいいって。ここは練習にちょうどいいから、お前ここでやってろって言われましたね。
●他にもそういうエピソードある?
引っ張ってもらう時にコケちゃったりしましたね。トウインって、実際にやると難しくて。あとパートナーとの息も大事です。引っ張ってもらうスピードとかが大事なんです。そういうパートナーとのコミュニケーションが難しかったですね。最初はタイミングが合わなくて戸惑いましたね。
●なるほどね。純がRED BULLのために来日したのは、初日の2日前だったの?
そうですね。
●じゃあ、来てすぐって感じだったんだ。
はい。ちょっとフリーサーフィンして、で、練習でジェットスキーで数本乗った、って感じですかね。エントリーする前にコケたりしながらも、タイミングとかがだんだん解ってきて、自分でも自信ができてきて、最終的には突っ込んでいけるようになりました。ビビってた初めの頃の自分と、最後の方でこのラインは行けるんだな、って解ってくる。でも自分ができると思ってて、純さんが同じように引っ張ってくれてても、僕の力の入れ具合とかが違ったりして…、そういうのが大きくありました。
●初日は、何本くらい乗ったの?
10本くらいかな。普通にいい波だったのが2本くらいですね。初めは小さいのでいいから、って思いながら、だんだんショルダーに近づいていって…。最後の1本は良かったですよ。乗ってカットバックしてボトムターンしたら、ちょうどピークの下にいて、ウィィ〜(ボトムターンの感じ)みたいな。
●それで、真平は純を引っ張ったんでしょ?
はい、引っ張りました。
●免許は持ってるの?
持ってます、もちろん。やっと役に立ちましたね。
●純を引っ張ってあげる方の感覚は?
まず相手のことをよく考えますね。大丈夫かな〜って注意深く。それと、先生達の動きを見て、ああいうライン取りで行くんだなぁ〜っていうのが解りましたね。波にはピークがあるわけで、どの角度から、どの深さからっていうのはパドルとは違いますけど、でも要はトウインでもそこなわけで、そのピークを掴むのに時間はあまりかかりませんでしたね。純がもっと奥から行ってくれ、って言えば、じゃああのピークよりも5メートルくらい深いところがいいのかな、とか。そこでスピードを上げればいいのかな、とか徐々に合わせていったんです。
●ハンドサインとかあるの?
はい、ありますよ。基本的にありますね。わぁ〜って両手上げたら「助けてくれ」とか、「もっとスピード上げろ」とか「抑えて」とか。あと声で「もっとディープだ」とか「ショルダーだ」とか叫んでね。
●じゃぁ、お互いに声を掛け合ってるんだ。
掛け合ってますね。「へーい!」とかすげぇ吠えてますよ。「こっちだ、こっちだー!」って。
●そうだよね。じゃ、初日の15 ft〜18ftのシンカイは凄く良かったんだ。
はい、メッチャ良かったッス。僕にとってもあれがないと…、次の日のをイキナリは無理って思います。
●まだその時は次の日のことは解ってないわけだから、そこで集中して練習してた、ってことだよね。
はい。
小見出し
はい、スモールジョーズだって(笑)。
ここで練習しとけ、って一言頂きましたね。
●そこで1セッション終わって、風が吹いてきて引き上げようってなったんだよね。その時にロスさんから「ここはいい練習場だ!」って言われたんだ?
はい、スモールジョーズだって(笑)。ここで練習しとけっ!って一言頂きましたね。
●初日が終わったところで聞きたいんだけど、サーフボードはどうしたの、真平のトウインボード?
少し日程がずれるんですけど、セッションの前に一度、ロスさん達がゼンと一緒に和歌山に下見に来たんですよ。その時、僕は引っ張ってもらう練習をさせてもらったんです。その時にロスさんが持ってきた1本が(サイズは忘れちゃったけど)すげぇ調子良さそうな板だったんです。で、「この板欲しい」って言ったら「これは俺の板だ」とか言われて「じゃぁ、どうしたらいいかな」って聞いたら「シェイパーがモーリス・コールだ」って言うんで、あ、じゃあOKだって思ったんです。それですぐロックダンスに頼んで板をゲットしたんです。
●じゃ、その時にオーダーしたの?
いや、本当はオーダーしたかったんですよ。ロスさんが持ってる板と全く同じものを、俺の身長と体重で作ってくれ、って言いたかったんですよ。でも時間がなくて無理だったんで、モーリスの所にあったロスさんの中古をゲットしたんです。
●なるほどね。
で、その板を見たロスさんが「これなら大丈夫だ」って言ってくれて…。噂によれば、どこかで60ft、ハワイアンサイズで30ftの波に乗った、って言ってましたね。
●じゃロスが過去に使っていたモーリス・コールのトウインボードを手に入れたんだ。
はい、すぐに輸入しました。サイズは6フィートぐらいだったと思います。
●トウインボードって重たいんでしょ?
メチャクチャ重たい。7キロぐらいかな。
●わざと重くするんだよね。
ヤバイっすよ。何じゃコレって感じですよ。サーフボードのデッキに透明の部分がわざと作ってあって、中に鉛が入ってるんですよ。しかも釣り用の鉛ですよ、超グロテスク。
●パチンコ玉とかね、昔は入れてたみたい。
なんかね、色んなことが新しかったですよ。
●初日のセッションで皆の道具とか動きとか見てどうだった?
見たら僕の板が一番デカイの乗りそうでした(笑)。
●最初のセッションが終わって、お父さん(堀口鉉気)はどこで見てたの?
岸です。一番見えるところで見てました。父はこのプロジェクトのディレクションをしてくれました。町に話を通したり、いろいろと。
●それで初セッションから生還した真平に、お父さんは何て言って迎えてくれたの?
何て言ったっけなぁ。「うん、うん」って感じでしたよ。あんまり熱く語ったりしませんでしたよ。解ってると思うんで、語る必要もなく、「うん、うん」って感じです。あうんの呼吸というか。
●そうか。で、真平はメンバーと同じホテルに泊まったの?
え? 僕は家ですよ。家から10分くらいのところにホテルがあるんです。海が見えて凄いキレイなところなんですけどね。
●そこは南紀(和歌山)のなんて所なの?
串本町です。
●その日はそのシンカイの1セッションで終わったんだよね?
岸に上がったのが3、4時くらいだったかな。で、彼らはもう1セッションしたい、って言ってたんですよ。で、ささっと飯食って、同じところでやるのか、って話になったんです。でも皆もあそこはもういい、って言って、で、次の場所へ移ったんです。そこは僕の家の近所にあるレフトの波で、ナミノウラって言うんですけど、そこも12ftぐらいあったかなぁ。イカツイ波で、そこでやるかなぁ〜って思ったけど、岩がすげぇ近くにあって危ないんです。以前、僕も8〜10ftくらいの時に入ったことがあるんですよ、8'5"の板で。もうギリギリのテイクオフで、すげぇ怖かったイメージがあって、波もヤバイし岩もヤバイ場所なんです。だから安全じゃないんですよね。で、それを見た先生達の中でトムさんだけやりたい、って言ったんですよ、グーフィーだから。「トムさんがやるって言ってるけど、真平やるか?」って聞かれたんですよ。俺は「トムさんがやるんならいいですよ」って言ったんですけど、でもトムさん1人のためにジェットを手配して運んできて、用意して…ってそれはどうかな、って皆で相談して、じゃあ今日はもう止めにして、明日の朝一から動こうよ、ってなったんです。それで、僕らがジェットを洗ってる間にロスさんが波チェックに行ったら、どうやらウッチーを見つけて「明日はあそこに行くぞ」ってなったんですよ。
●そのウッチーレフトは、過去に割れてるのは知ってたの?
はい、普通に見えます。でもあそこまで乗れるとは思わなかったです。
●じゃあロスが波チェックしてきて、ウッチーに入るぞ、って決まったんだね。
いや、僕らは聞かされてないッスよ、その時は…。先生の中で決めてた、って感じです(笑)。朝起きたら、波チェックなしで、ジェットを取りに行って、そのままウッチーに直行ですから。
●ジェットの出し入れは港だよね?
はい、僕のおばあちゃん家の近くにある港から出しました。そしたらウネリがものすごくて、とにかく今まで見たことのないウネリでしたね、あの太さ。サイズとかは、台風が近づいて来た時なんかに見ることはあるけど、あのキレイさで、オフショア、晴れ、あのサイズで…、ぶっとい…。
●それを見たときは…。
キター!って思いましたね。ハンパじゃねぇや、今日ーっ!って感じでテンション上がりましたね。でもセットの間隔が長かったですね。で、突然壁みたいなのがブワーって来て…、沖に行ったらもうすごいウネリが続いてて…。
●心構えは出来てた? バックサイドだけど。
基本的にバックサイドは得意なんで、フロントの方が波が見えて優位ですけど、僕の中では平気だと思ってました。
●ロスとトムがレベルを引っ張ってくれた、って言ってたけど、前日にその扉を開いてくれたの?それともぶっといウネリのウッチーレフトで開いたの?
だんだんですね。最初は、純さんがすごく気を使ってくれてるな、って解ったんですよ。俺も頑張らないと、って最初は手探りの状態でした。ガッと行ったのは2日目の最後の方ですかね。
●ウッチーのレフトは、最初見学してたの?
はい、最初はインサイドで見てました。で、皆が3本くらい乗ってて「そろそろ行くか? 乗りたいか?」って聞かれて「はい、乗りたいです」って答えたんです。
●乗りたいって思ったんだ。
はい。ただ、その皆と同じラインをとるかは別ですよ。でも、乗ってみたい…。
●そのラインっていってもさ、あのダブルアップしてくるのを乗らなくちゃいけないんでしょ。
そうですけど、例えば、どんな大波でもピークにいるのか、ショルダーにいるのかって大違いじゃないですか。
●トウインだとどっちでも乗れるのか。
要するにショルダーで滑ってればいいんですよ。で、プっとプルアウトしてもいいわけじゃないですか。
●なるほどね。そこはパドルと違うところだね。
そうですね、味見が出来るんですよね。例えば、パドルで言うと海の中でショルダーで浮いてるだけっていう感じですかね。ま、トゥインの場合は波のショルダーに乗りますけどね。
●おまえ乗りたいか、って自分の意志を確かめられるわけだよね。
そうですね。ワイメアでも怖いって思っても、最終的には乗りたい、って思うんですよね。
●ウッチーの最初の波って覚えてる?
1本目ですか? 1本目はすごい小っちゃいですよ。10ft〜12ftぐらいのをチャラチャラ〜って乗って、まずは感触を確かめる感じですね。でもセットは20ftプラスぐらいの世界なんです。どうやら割れる棚が、僕が最初の頃に練習で乗った波とは違うんですよね。本当にもう、沖からキレイに来るんですよ。ワンターン入れたぐらいから、一気に掘れてきたと思ったら、さらにその下からドーン!って来て。とにかくヤバイんですよ。一番ピークから行けたのは、たったの2本くらいですよ。もちろん、皆はそのセットを乗ってるんですよ。でも僕はミドルセットとかチョロチョロしてて。で、純さんと2本交代でやりました。客観的に見て、この波に乗れたらいいな、って思うのがあるじゃないですか。パイプラインにしても、これいい波だな、って見てて思うのがあるじゃないですか。一般の人から見て乗れないけど、でもいい波だなって思う波。そんな感じで、自分が乗るのは怖いけど、この波絶対いいな、っていうのに、バンって純さんを引っ張るわけですよ。
●純は自分から行くぜ、って感じなんだ。
純さんはドリアンとかともトウインやったりしてて、僕よりも経験があるから。そういう純さんだから、ま、色んな意味で大丈夫だろう、ってのがあって「オリャ〜!」って引っ張ったのが、あの今月号の表紙にになっちゃったんですよね。
●なるほど〜。
でも、僕のせいで純さんが捕まっちゃったのがあったんですよ、1本。ヤベェ〜って。奥から来るいい波のセクションとショルダーのセクションのガタって重なるところでのまれちゃって…。ヤベェ!ってすぐに迎えに行ったんですけど。
●ライフジャケット着けてるの?
はい、着けてます。その後、純さんの顔がパンパンになって、息はゼーゼーになってました。「純さん、スミマセン!」って言って「OK、大丈夫だよ」って言ってくれたんですけど(笑)。
●そうだったんだ。
はい。でも面白い一日だったな〜スッゲー最高でしたね。
●全員が無事だったんだからね。
はい。あ、でも僕が最後の最後で、超気合いを入れてセットに行った時に怪我しました。ジェットに引っ張ってもらう時、最後にグっと加速するんですけど、その時、コブに引っ掛かって吹っ飛んじゃって、板が足に当たってちょっと切れちゃったんですよ。だんだん風が悪くなってきたのと、アウトだから胸肩くらいのコブが来るんです。切ったのはたいしたことなかったんですけど、打ち身の方がひどくて、今日はこれで止めておこう、って思ったんです。今日一日じゃないから。もちろん、結果としてその日の最後の時間は大切だけど、まだ僕にはこれからがあるから、って思って止めたんです。でも、その波は滑りたかった…。自分の中で楽しみができたな、ってのはありますね。
●その2日間が終わって、真平の中で変わったことってあるよね?
一つは波を見る目が変わったかな、っていうのがありますね。これが乗れるなら、あれも乗れる、それも乗れる、っていうチャレンジする枠が広がりました。あとトウインに対して偏見があったんですけど、これはこれでスゴイな、って。面白いな、って。乗れない波が乗れるんですよ。以前だと、そこまでしなくてもいいだろう、って意見があったんですけど、でも、パドルで乗れるような波に乗ってるわけじゃないし、そこをスイスイと(あの人達のレベルだと)乗れる。
●ロスやトムの姿を見てて思ったってわけだよね。
はい。あ、ここまで出来るのか、と。枠がバコーンって外れましたね、僕の中の枠が。実際に触れ合って、間近で一緒にやることによって、変わりましたね。
●9月5日の波は、今までとはまったく違うってことかな。
なんだろう、なんせ凄かったな。今までとは違いますね。そこへの扉を開いてくれた、っていうのもあるし、こういうことが出来るんだ、っていう感じですかね。自分は今まで限界までチャージしてたつもりだったけど、その上をイクのを見せつけられて、「マジかよ、この人達!」っていうのがあって、俺ももっと頑張れる、っていうか、色んな意味でこんなことが出来るんだ、っていう新しい発見がありました。
小見出し
ロスさんの企画で、台風でトウインする、トウフーンだと(笑)!
●さて当時の写真を見て、また思い出してもらおうかな(ここでプリントアウトした写真を見てもらう)。
うーん…。(写真に見入る真平)純さんのウッチーレフト、凄いッスね。分厚いですね、やっぱり。ウネリの厚さがハンパじゃない。
●そういえばさ、RED BULLの話はいつ頃来たの?
5月のタヒチに飛ぶ前です。で、SURF1stのトリップに行く直前にゼンから電話がかかってきて、何日後にそっちに行くからよろしく、って。
●ゼンから来た話なの?
ゼンから聞いた話ですけど、ロスさんが日本で一度トウインをやりたい、って言い出したらしいです。ロスさんの企画で、台風でトウインする、トウフーンだと(笑)! で、色々と考えた結果、僕のところに白羽の矢が立ったみたいです。
●ゼンが真平にしよう、って言ったのかな?
いや、ゼンじゃないと思いますよ。
●なんで真平になったんだろうね。
そこそこ乗れて…じゃないですか。ま、今回は乗れなかったけど。ロスが日本の台風を乗りたいって言って、色んな人に話を聞いた結果、コイツでココじゃないか、ってなったんじゃないですか。
●なるほど。それでロスがゼンを通して真平に話がきたの?
たぶんなんですけど、最初は純さんに話が行ったんじゃないですか。純さんはドリアンともやってるし経験もあるから。で、どうしようかってなった時に、真平がいいんじゃないか?ってなったんじゃないですか。
●じゃ、ゼンからはどういう風に話が来たの?
凄い話があるから落ち着いて聞いてくれ、と。RED BULLの先輩達が真平のところでトウインしたい、って言ってるんだけど大丈夫かな、って。真平のこともライダーとして迎えたいって言ってるし、真平にも経験になるし、皆もサーフィンできるから、このアイデアはどうだろう?ってきたんです。僕としては、トウインしなくてもいいし、タヒチ取材もあるし、色々思ってて即答はしなかったんですよ。そしたらゼンが「絶対面白いから!」って言うんで、じゃあいいよ、って答えたんです。で、SURF1stのタヒチ取材を半分削って下見に付き合ったんです。
●ゼンから話を聞いた時、お父さんにも相談したんでしょ?
それが父はバリに行ってて相談できなかったんです。ま、来てから話してもいいだろう、ってことで、でもそれでロスさん達がすごい勢いで来たんです。
●最初の時にジェットスキー持ってきたんだよね?
いや、最初は僕が持ってるので練習しました。で、地元の波のビデオを見せたりして話を進めた、って感じですね。
●その時は下見をして帰ったんだ。
はい。ただ、みんな外国人だから当然英語でくるし、しかも日本にRED BULL JAPANがあるにも関わらず、話がうまく伝わってなかったんですよ。
●RED BULL AUSTRALIAの企画だったんだよね。
はい、そうです。RED BULL JAPANには話がうまく伝わってなくて、意志の疎通もままならない状態で話だけが進んじゃって、って感じでしたね。下見から終わりまで。
●それじゃあ、ロス・クラーク・ジョーンズ率いるRED BULLチームと、なかなか意志の疎通ができないままスーパー台風イオキがハワイから近づいてきたっ!って頃に、まず連絡があった?
はい、ありました。僕の中ではもう波に乗るだけなので、自分の体調管理だけをしっかりやってました。で、親父はその下ごしらえにバタバタと動いていました。
●凄い波が来るだろう、って思った時、どうだったの?
僕らが最初狙ってたのとは違ったんですよ。僕らが狙ってたのは南から来る台風だったんです。でも今回は真東から来たじゃないですか。
●誰も予想出来なかったよね。
はい。普通、台風って南から来るじゃないですか。それが東から来たから、どうなってるんだ、このウネリは? って、僕らもどこの波がたつか予想が難しいというか。波は立つだろうけど、どういう波が立つのか、っていう不安もあって、僕らはゴーしなかったんですよ。
●でも彼らは来ちゃったんでしょ。
そう、指をくわえたまま我慢できない、って(笑)。
●最初、誰が来たの?
メンバーの中で最初に来たのは純、イアン、カーロス。一緒にサーフィンして、次の日くらいにロスさんとトムさんとかがヨーロッパから来ました。
●メンバーについて聞きたいんだけど。ロス隊長の印象は?
初めて会って話したのは、下見に来た時なんですけど、一言で言うと動物ですね。完璧、アニマルです。めちゃくちゃエネルギーが溢れてる人ですね。
●ビッグウェイバーで有名なカーロスは?
ビッグウェイブコンテストとかで勝ってますよね。僕がトドスのチャージのことを話をしたら「おぅ、あの時はな、日本人の板を借りてサーフィンしたんだ」って言ってましたよ。で、「頭から血流してたじゃないですかー」って聞いたら、「そうだよ、頑張ったぜ」って話してくれて。「日本人の名前誰だっけ? トドスに来てただろ」って言うんで「それは蛸さんだ」って答えたら「そうそう、蛸さんに板借りたんだよ」って言ってました。
●日本のことは何か言ってた?
最高だ、って言ってましたよ。飯がうめぇって。
●イアン・ウォルシュは?
彼はシラ〜っとしてましたね。昔はビラボンチームだったから僕も知ってるんですけど、すごいチャージするんですよね。以前、パイプですごい1本を見たんですけど、その話をしたら「あー、あの波はな〜」って盛り上がりました。
●純は?
純さんは、皆が知ってる通りのジュン・ジョーですけど、やっぱりサーフィンが上手いですね。で、僕にすごく優しくしてくれて、今回すごく助かりました。これからまたサーフィンしようぜ、って言ってくれたんで、これからの純さんとのセッションが楽しみです。
●日本人というか、真平以外で日本のことをよく知ってるのは純だからね。
そうですね。純さんのこの波(表紙の写真を見て)、凄いですね。皆、この写真のことヤバイって言ってましたよ。
●ボー・エマートンは?
僕はちょっとしか話してないんです。
●ボー・エマートンはグーフィーだね。
そうです。でもナミノウラの時は「俺はやらねぇ」って言ってました。トムさんだけです「やりたい」って言ったのは。
●トムさんは?
トムさんは、う〜ん…胸板厚いですね(笑)。背は小さいんだけど、足も太くてすごくゴッツくて、でも笑顔が絶えない人です。
●こういうメンバーで、今回の2日間のセッションで自分を引き上げられたんだね、真平は。
そうですね。
小見出し
その代表としてプロサーファーがいるわけで、
プロサーファーのあり方を考えるべきだと思います。
●この先、真平にとってトウインサーフィンってどういうふうになるだろう?
以前は、パドルサーフィンも極めてないのに、って思うのがあったんですよ。でも、極めるってどこを極めるか、って難しいとこもあるじゃないですか。だからこっちも同時進行で、これもやりながら膝腰もやるし、っていうのでいいんじゃないかな、って思うようになりました。枠が広がったということです。膝腰があり、オーバーヘッドの波乗り、10ftの波乗り、パイプ、ワイメアっていうのが自分の限界だったんですけど、違う分野でトウインという畑を開拓した、していこう、っていう感じですかね。
●そういう中で、真平はサーファーとして、最終的には何を目指していくのかな。
サーフィンって何かな、って追求していきたいです。それがあって、プロサーフィンっていう文化があって、プロサーファーとは何なんだ、っていうところを追求して行きたいですね。
●真平は最近、海の学校を運営してるけど、それについては?
海の学校もプロサーファーとは何なのか、っていう観点から見てます。プロサーファーって海のことを深く知ってる人達、っていうのが僕の中で位置づけされてるんですね。そのうえサーフィンが上手くてカッコイイ男。で、今の世の中で重視されてるのって、パソコンが出来るとか、何ていうか自然界から離れたところが大きいじゃないですか。でも実は皆自然界の上にあって、人間界も自然界もないじゃないですか。もちろん人間は大事です。でも自然も大事なんだよ、自然があっての人間なんだよっていうのが、サーファーなら感じる人はいっぱいいると思うんです。その代表としてプロサーファーがいるわけで、プロサーファーのあり方を考えるべきだと思います。サーフィンというのは海の中の素晴らしい遊びの1つだと思うんです。人間界の中でも凄い遊びだと思うんです。
●どんなところが?
自然の中で遊んでるわけじゃないですか。野球もサッカーも人間が作ったもの。人間が作ったフィールドでやってるじゃないですか。でも波乗りって波が来たら乗る、っていう遊び。自然の波長というか。
●波乗りとは、波という自然のエネルギーに乗ることってジェリー・ロペスが言ってたよね。
そうですね、エネルギーを使って遊ぶ。俺はすごいオシャレなことだと思うんですよね。確かにコンピュータとか最先端で、これも人間の凄いところだし、でも遊びという観点から見て、遊びというか、プロサーファーなら仕事として出来る。う〜ん…とにかく地球上の動きの中で波乗りっていうのは凄いことだと思うんですよね。それを広めるのはプロサーファーの役目じゃないかな、って思うんです。サーフィンのあり方を追求していく。例えばコンテストだけじゃなくて、膝くらいの波の時にロングボードでプカ〜って浮いて夕日を見てるのも気持ちよくて、海をよく感じられると思うし。そういうのを感じて、海の学校を始めたんですよ。子供達に海を怖がらずに楽しんでもらえたらな、というのも1つありますね。
●そういうのを表現していきたい、っていうことなんだね。
はい、一つの手段として海の学校であったり、ビッグウェイブに乗って「すげぇ」って思ってもらったり。やっぱり人に見てもらって、感じてもらって、それで後から「自然にありがとう」って言ってもらえるようなことに繋がっていけば、それはもう充分プロサーファーとしてやっているんじゃないかな、と思ってやってます。
●それを続けていって、色んな表現の方法があって、これから先ビデオや雑誌、海の学校等があって、最終的にどんなサーファーになりたいのかな?
難しいですね。最終的には、子供に「このお兄ちゃんみたいになりたい」って思われるようなサーファーになりたいですね。
●例えば真平にとっては?
う〜ん、一人とは言えないですよね。色んな人のいいところがあると思うんで。例えば脇田さんのように純粋にパイプラインを追求してる姿はカッコイイですよ。
●やっぱり脇田は真平に影響を与えてるんだね。
はい、孝男さんとか関野さんもそうだし、牛越さんなんて近くでプッシュしてもらってるし。外国人で言えばドリアンですかね。サーフィンも上手いし、ビッグウェイブもすげぇ、オシャレ、それに意識が高い。例えば子供にサーフィンを教えてたり、住んでる所はビッグアイランドで、雨水をこして使ってるとか。そういうスタイルもいいですよね。ジェリーさんの「波乗りっていうのは、地球のエネルギーに乗ってるんだ」っていう深い一言も哲学的な部分もカッコイイし。
●そういう先輩達から影響を受けて、真平というサーファーの中でうまくミックスされていくんだね。
そうですね。イサム・ノグチという石とかを削って空間をオシャレに作りあげる彫刻家がいるんですけど、その人が「人は石から生まれて石に帰る」っていうようなことを言ったんです。これって地球の中で生きてるんだよ、ってことだと思うんですよね。サーフィンだけでなく、そういう人達にも影響を受けながら、人としてのあり方、みたいなのを追求していきたいです。ゴールとしてコレだ、ってのは言えないですね。人間として光る人になりたいです。ビッグウェイブは自分の中で楽しいことであって、自分の中の壁というのを自然の中でビシっと見せられるわけじゃないですか。だから素直になれるんです。これを通じて人間を磨く。それがサーフィン道じゃないですか。こういうのを世の中に伝えていくのがプロサーファーの役目だと思ってます。サーフィン道を追求している人達、剣道、柔道…極めるってそういうことじゃないかなって。僕はまだまだ不器用ですけどね。

