
そもそもそも……いや、そもそも──だな、そもそも。
もそもそ、でもない。
そもそも、いったいぜんたいなにゆえ、
こんな小さなハード・バッグを作ろうとしたのかということなのだけど、
それはだらしなくて面倒くさがりで男らしくない──という、
文字にして並べてみると異様に情けない俺自身の性格に起因している。
重いモノを持ち歩きたくない。
でかいモノを持ち歩きたくない。
だけど、でかけるときには必ず何かしら必要なモノはあるわけで、
だったら最小限だけですませたい。
器であるバッグだってそれにピッタリな最小限サイズじゃないとイヤだ。
友達とお茶……だとか、本屋さんに物色……だとか、
コンビニに買い物……だとか、ちょっとした打ち合わせ……だとか、
そうしたクルマでヒョイと“チョイ乗り”するときに
仕事場へ向かうときみたいな大きく重いバッグを持ち歩きたくない。
“チョイ乗り”するときに必要なモノっていったら限られてる。
財布、小銭入れ、煙草とライター、手帳、デジタルカメラ、ケータイ、
場合によっては電子辞書と文庫本とミニ・クロッキー帳のどれか。
多く見積もっても、その程度である。
どう考えたって大きなバッグを持ち歩くなんて理不尽じゃないか。
そんなふうに考えちゃったわけだ。
そこから俺の“チョイ乗りバッグ”探しがはじまった。
小さなデイパックを試した。ジッパーだから、
運転席からの開け閉めがとってもしにくかった。
デザインの気に入った革のコンビのトートも試した。
子供が飛び出してきて急ブレーキをかけたときに、
フロアに落ちて中のモノが散乱してデジカメが破損した。
小さなプレス成形のインチキっぽいアタッシェ(写真のヤツね)も試した。
適度な安っぽさと頑丈さと姿カタチはよかったし、
高さも幅もちょうどよかったのだけど、厚みがなかった。
最低限必要なモノを収めるのに苦心したし、
それでも必ず何かがはみだした。でも結構ながく使ってた。
けれど、もっと厚みのあるモノを探すことはヤメてなかった。
見つかったのは『ゼロ・ハリバートン』だけだった。
最高の逸品といえる品であるのは解ってるけど、
気合いの入ってない使い方をするモノに5万円も出せるほど
裕福じゃないし、人間がでかいワケでもない。
オビに短しタスキに長しの中、
俺は延々と出口の見えないラビリンスを彷徨い歩くかのように、
“チョイ乗りバッグ”を探し続けていたのであった。まる。
……で終わっちゃったら尻切れトンボである。
そういう経緯があって、「んじゃ作れば?」とすすめられて、
作ってくれる人がいると耳にして、話をしたら作ってくれることになった。
俺が最初に申し出た希望は、B5サイズ以上A4サイズ未満の大きさ、
中の深さは60ミリ以上という数字的なモノ。
深さに関しては件の必要最小限のモノ達を重ねて勝手に算出した数字だったが、
完成した後にいろんな人に試してもらってみたら、
これくらいの容積があれば大抵の人々の“最小限”は収められることが判明した。
完成した“チョイ乗りバッグ”のサイズは、
こんなふうなアバウト(?)な流れで決まったのである。……ごめん。
*手に入れてやらんでもない、という方がいらしたら、
こちらを御覧ください。