●男たちのGT~BMW Z4編
一見すると、女にはよくわかりにくいチームである。
マシンはいわゆる"痛車"だし、
ピットウォークには初音ミクの熱烈なファンたちが人垣をつくる。
ドライバーの谷口選手と片岡選手はジョークが好きで、
マイクを向けるとメディアを笑わせてばかりいる。
でもレースになると、
昨年の富士500kmは雨の荒れたレースを制して優勝。
今年の開幕戦でも2位入賞。
「やる時はやる」チームなのだと、一目置かずにはいられない存在だ。
今回の富士では、このチームをサポートするBMWジャパンが、
2台の新型車のジャパン・プレミアを行った。
昨年のDTMで3部門のシリーズチャンピオンを獲得した記念モデルで、
なんと世界限定54台(うち日本は10台)という
M3クーペ DTM Champion Editionと、
560馬力のツインターボでMのトップエンドモデルとなる
M6グラン クーペ。
セレモニーには谷口選手が登場し、
決勝レース前にはM6グラン クーペがコースをデモランした。
こうした特別な日だっただけに、
決勝レースでのZ4への期待はかなり高まっていたはずだ。
予選結果は8位。
決勝にのぞむ前に、チーム代表の片山右京さんはこう話した。
「8位ってなんだよ、遅いじゃないか。と思われるかもしれない。
でも結果だけじゃなくて、その課程にもぜひ注目してください」。
僕たちはどうにかして、1つでも上にあがろうと必死で走る。
やれることはなんでもやるし、その積み重ねが結果につながっていく。
それが、レースだと。
右京さんの言葉は、なんだかとても深くて、凛としていて、
胸に刺さった。
抜群のコーナリングと燃費を活かして、
一時は3位まで詰めてきていたZ4。
不運なタイヤバーストが襲い、2年連続の富士制覇はならなかった。
が・・・。
BMWの応援ラウンジで、ストレートを駆け抜けるZ4を毎周毎周、
見つめ続ける小さな瞳があった。
「パパがんばれー」
ガラスにへばりついて、1コーナーに消えるまでマシンを見送り続けた。
そしてついにチェッカーが振られた時、
まだたどたどしい口ぶりで、その子は言った。
「やったー! パパ勝ったー!」
本当の結果は、順位なんかじゃない。
男たちのGTは、そう教えてくれた気がした。





