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2008年09月08日

英国旅日記2008(番外編)

今号のティーポでご紹介している、ロンドン近郊のMG-B系スペシャルショップ、フォーマー・グローリー
英国旅日記2008(その5) でもご紹介しているが、MG-B系車両を30台近く在庫している、マニアならよだれが出そうなお店である。

実は数年前から僕はこのお店のホームページをよく見ていたのだが、見始めるきっかけとなったのは、僕が2004年3月に取材した、MG-Bクーン・ベルリネッタが売り物として掲載されていたからだった。
クーン・ベルリネッタは、ベルギーのカロッツェリアであるジャック・クーンが、MG-Bロードスターをベースに開発したオリジナルのクローズドクーペで、最初の1台は1964年のブリュッセル・モーターショーに出展されたから、BMCがMG-B GTを作るより前に開発されたことになる。
その証拠に、僕がウェールズまで取材に行った右ハンドルの1台は、当時BMCワークスのオーダーで作られた唯一の右ハンドル車だそうで、アレック・イシゴニスを始めとしたお歴々が、その製品評価をしたという、とびきりのヒストリーを持っていた。
クーン・ベルリネッタは結局56台が作られただけで、現存するのは8台と言われている。

で、僕は、なんとかこの右ハンドルのクーン・ベルリネッタが入手できないかと思い、4年前に取材を兼ねて見に行ったのだが、約600万円という価格に、泣く泣く諦めたわけなのだ。
因みにその辺りの顛末は、ティーポ2004年9月号に掲載されている。

その後、クーン・ベルリネッタは、オーナーによってフォーマー・グローリーに売却され、暫く同社のホームページに価格応談で掲載されていた。
僕はそれを、「売れなければいいなぁ」と、ちょっと複雑な思いで見ていたのだが、ある日HP上にこんな記述があった。
「クーン・ファミリーに販売されました」

それを今回の取材で、フォーマー・グローリーのナイジェル・ギルド社長に確認したところ、「そうなんです。昨年10月に、ジャック・クーン氏の息子のオリヴィエ・クーン氏から、買いたいと連絡があり、お譲りしました。オリヴィエ氏はこのクルマを、父上にプレゼントされたそうです。ジャック・クーン氏は、43年ぶりに再会したこのクルマを見て、とても感激されたそうですよ」とのことだった。
ジャック・クーン氏は、おそらく80代だと思うが、お元気だそうで、自分の作ったクーン・ベルリネッタとの記念写真をギルド社長に送ってきてくれたそうである。

いや、実にいい話ではないか!
「投機目的のような人に買われて、欧州以外に行ってしまうのは嫌だな」と、僕は勝手に考えていたのだが、一番良い形で、一番良い人の元に引き取られたと、これまた勝手に喜んでいる。
同時に、「あの時僕が買わなくて良かった」とも思ったのだが、心のどこかに、「あの時、無理しても買っておけば良かったかな?」と、ちょっぴり後悔もしている。
ま、とにかく、これからは、クーン家のガレージで大切に保管されるに違いない。



これが、MG-Bクーン・ベルリネッタ。フロントガラスはルノーR8用を流用しているため、よく見ると不自然に縦が長い。ヘッドライトは奥まり、プレクシのカバーが装着される。また車体後部はアルミとFRPで巧みに形作られている。


リアゲートはハッチバックではなく、このように開く。ただしシート後方には隔壁がなく、ハッチバック車のような荷室となっている。右はジャック・クーンのエンブレム。


クーン・ベルリネッタの傍らに立つのが、43年ぶりに再会をはたしたジャック・クーン氏だ。(写真提供:フォーマー・グローリー)

投稿者 中島秀之 : 2008年09月08日 19:02

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コメント

程度のいい個体ですね!

投稿者 695SS : 2008年09月08日 22:44

感動の再会と言えますね。古いものを再生して大切にする文化については、今の日本では伊勢の神宮への修学旅行参拝者が少ないなど、欧米には及ばないです。忘れられているものが余りにも多すぎる。

そういえば、今年のF1ベルギーGPの中継、我が国の放送席は、ポール・フレール氏のことには一切触れずに、第15コーナーをスタブロー、スタブローと、旧名で呼び続けている有様。勉強不足、取材不足どんだけ~ と情けなくなりましたし、最近問題になりつつある山場CMを終盤になって2回ほど流したのには、疑念が湧き上がりました。エンツォ・フェラーリ翁没後20周年、ロニー・ペテルソン没後30周年のモンツァが心配です(地上波実況はT下アナとのこと)。

投稿者 K大生 S : 2008年09月11日 01:10

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