突然、ふっ……と思った。
ランボルギーニ・ミウラって、
市販されたのは確か1967年だったけど、
本当の意味でのデビューってのは
シャシーだけのプロトタイプとしてトリノに展示された
1965年だっていえるわけだよなぁ……と。
ってことは、今年でミウラは40歳を迎えるわけだ。
またまた、ふっ……と思った。
市販っていえば、確かポルシェ901として
フランクフルトでデビューした911が市販されたのは、
1964年のことだったはずだよなぁ。
ってことは911は、この世に誕生してから41年間も、
愛されながら生産が続けられているわけか。
俺は、ここで考え込んでしまった。
ミウラは生まれて40年が経過した今となっても、
その何とも言葉に変換しにくい美しい姿と
それに相反するかのような猛々しいサウンドや走りで、
大抵のクルマ好きを一瞬にして打ちのめす、
神懸かりともいえるような壮絶な魅力を放ち続けている。
それじゃポルシェ911はどうかといえば、
今ではナロー・ボディの頃の青い果実のような
スレンダーで可憐に感じられる姿こそ失ってしまい、
クチの悪いヤツは「太ってる」だの「厚化粧じゃん」だの
とんでもない言葉で形容したりもするが、
そのパフォーマンスは永遠の第一級品。
ナローの頃と最新の997をあえて比べるならば
確かに大きく重くなってはいるものの、
絶え間ない改良が繰り返されてきたことで
性能的な部分ではとんでもないほどの進化を遂げていて、
最初の911がデビューした時代のレーシング・カーをも
簡単にぶっちぎるほどの速さを
どんなドライバーにも公平に提供できる、
すんごいスポーツカーに成長している。
ほんじゃ、この俺はどーなんだ──?
ミウラのように革新的な何かを持って生まれた、
というわけではない。もちろん。
誰もがハッとして立ち止まっちゃうほどの
美しさを持って生まれたわけでもない。もちろん。
ってことはあえていうまでもなく、
ヒトを魅了するほどの壮絶な何かを放ち続けてる、
なんてことがあるわけもなく、
いたって平々凡々なまま今日を迎えたわけだ。
まるで911のようにボディそのものは大きくなった。
……というよりも、明らかに肥大化している。
車重だって自分でもビックリするほど重くなっている。
前面投影面積も明らかに大きくなっちゃったってことは
Cd値だって悪化しちゃってるわけで、
となれば空気抵抗だって大幅に増えちゃってる計算だ。
その分パフォーマンスが上がってるかといえば、
ヒイキめに見ても、それはだいぶあやしい。
自分ではそんなつもりはさらさらないのに
昔からの友達がたまに会うたびに決まって必ず
「もうそろそろ、いいかげん反抗期でもねぇだろーに」
ときて「表に出ろコノヤロー!」となるわけだから、
デビュー当初からそれほど成長してはいないのだろう。
むしろ妙なフリクションが増えてるような気がするし、
瞬発力も巡航性も燃費も悪化してるように思えるから、
パフォーマンスは明らかに落ちている。
おまけにヒラヒラ感を綺麗さっぱり失った代わりに
フラフラ感とウロウロ感ばかり手に入れてる気もするから、
まったくもって情けない限りだ。
……ダメじゃん、俺。
も……ものすごい劣等感である。
ランボルギーニ・ミウラは40歳。ポルシェ911は41歳。
そして俺は今日、40歳から41歳になった。
だが、ストレートに「はっぴばーすでーつーみー♪」
な気分になれないのは、そういうわけなのだ。
富山市のはずれにある安ホテルの部屋でひとり、
缶ビールを何本かプシッとあけながら、
「まぁいーかぁ。元気だし。毎日1回は大笑いしてるし」
と自分を慰めるのに結構必死な、
ちょっと複雑なアニバーサリィなのであった。
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