俺のこのコーナーはあくまでも『随筆』であって、
「今日はこんなことがあってこんなことをしました」
なんちゅー日記形式のブログをしてるつもりなんてない。
だってさぁ、フツーのサラリーマンの日記なんて、
みんなだって読みたくなんかないでしょ?
そーゆーわけで、日々更新を目標としつつ、
心に移り行くよしなしごとをそこはかとなく書きつくろう
と思ってるワケなのだが、禁を破る日が来てしまった。
うはははは。だってとてもじゃないが無視のできない
出来事が、今日、明らかになったからである。
鈴木亜久里さんが、F1チームの立ち上げを発表した。
その名も『SUPER AGURI Formura 1』。
過去、日本人F1ドライバーとして初めて表彰台に登った
鈴木亜久里さんを知らない人もいないだろうが、
世界に通用するレーシング・ドライバーの育成を目指した
彼がプロデューサーを務めるARTAプロジェクトは、
スーパーGTシリーズでGT500、GT300の両クラスともに
目覚ましい成績を残すトップ・チームであり、
アメリカン・レーシングの頂点であるIRLシリーズにも
日本人ドライバーを送り込んで戦っている。
これまでも何度か亜久里さんがチームをつくって
F1グランプリに殴り込みをかけるという噂は流れたが、
それがようやく現実になったのである。
レースの世界は、金さえあればどうにかなる、
なぁーんていう甘いもんじゃない。
もちろんそれがなければスタート地点の“ス”の字にも
立つことはできないのだけど、
予算があるだけではどうにもならないことってのが、
レースの世界には山とあるのだ。
ちょっと一般の人の想像を遙かに超える厳しい現実が、
そりゃもうごちゃまんと存在してるのである。
アマチュアのサンデー・レースにエントリーする
ということひとつとってみても、
クリアしなきゃならないものってのがあるでしょ?
F1グランプリにチームとして参戦するってことは、
その何億倍の予算が必要になるってことであり、
その何億倍の交渉ごとが必要になるってことであり、
その何億倍も用意しなきゃならないものがあり、
その何億倍も悩まなきゃならないことがあり、
その何億倍も……いやいや、もうヤメとこーな。
要するに、だ。ひとことでいうなら、
何億倍ものエネルギーが必要になるってことだ。
発表の内容は、こんな内容だった。
「10月26日にFIAに対して、新しいF1チーム
『SUPER AGURI Formura 1』を立ち上げ、
2006年からF1世界選手権シリーズに
参戦するための参加申請を行った」
つまり来シーズンからの参戦が確定したわけではなく、
可否は12月初旬のFIAの回答まで待たねばならないが、
こうして発表があったということは、
チームとして来シーズンからの参戦の目途はほぼ立った、
というふうにとらえていいんじゃないかと思う。
……すげーなぁ。
……よくぞここまでっ!
俺のようなズブのシロートがモノ申すのもナニだが、
チラ見しただけでもアブノーマルと感じられるくらい、
恐ろしく特殊で異様に厳しい世界であるレース界の実状。
これがどれほど凄い出来事かってことは
ちょっとやそっとじゃ言葉に変換することはできない。
緊急発表の場となったのは、東京・青山にある
ホンダ・ウエルカムプラザ。……とうことは
噂になっていたホンダのセカンド・チームの発表だな、
と多くのプレスは思い込んでいたわけだが、
おそらくホンダが有形無形のバックアップをするだろう
と見られてはいるものの、
あくまでも独立したチームとして活動していくという。
現時点では、まだ発表されていることは多くない。
というか、シャシー名が『AGURI』、
エンジンが『ホンダV8』ということが明かされた以外、
ほとんどの興味の的となる部分はヴェールに包まれている。
期待していたドライバーの発表もなし。
BARホンダとの契約が切れた佐藤琢磨選手か?
という噂については「交渉中」とのことで
候補としての最も太い線であるようだが、
今のところは発表できる段階にはないようだ。
ともあれ、俺は今日、妙に喜ばしい気分なのだ。
あくまでも私感であるが、
おそらくSUPER AGURI Formura 1チームは、
佐藤琢磨選手とともに
F1グランプリを戦うことになるだろう。
琢磨選手がF1にフル参戦する前年の秋の3日間、
今年ももうじきツインリンクもてぎで開催する
『ヒストリック・オートモビル・フェスティバル』で
彼がコーンズ所有のフェラーリF1をドライブしたとき、
俺は彼の露払い役みたいな立場で同じ現場にいた。
「佐藤琢磨、来季F1参戦!」のニュースが飛び交った
直後ゆえ、どこにいってもサイン責めの握手責め、
彼はひとりで自由に移動することもできなかったため、
「はい、ここまでねー」「あー、ちょっと通してください」
と阻止する役目を笹本シャチョーから仰せつかったのだ。
起用の理由は、どうやら“人相”と“風体”だったそうな。
まぁわれながら似合ってたとは思うが。……うむ。
それだけのことで「俺が琢磨を育てた」なんて
凄まじいことをいうつもりはサラサラないが
(ふはははは。よくいるじゃん、そういう“俺が”系)、
完全なるウエット・コンディションの中、
様子見のために1ラップをゆるりと走った後、
2ラップ目からは見てるこっちが
ポカンとしながら鳥肌を立てるという状況に追いやられる
とても現実とは思えない走りを披露してくれた琢磨選手は、
俺の中で完全にレーシング・ヒーローのひとりになった。
いや、あれを間近で見せられちゃったら当然だと思う。
彼は「職業:F1ドライバー」ではなく、あの時点で、
人としてとっくに「ファイター」だったのだから。
最も“戦っている”F1ドライバーのひとりである
琢磨選手をBARホンダが起用しないとなったとき、
「にゃろ、ホンダめぇ」と思った人も多いことだろう。
その後、各所からの中途半端な発表と
それをきっかけとした噂だけがひとり歩きし、
俺達ファンは日々やきもきしていたわけだが、
まだ確定とはいえないまでも、
こうして明るい兆しが現実味を伴って見えてきたのである。
これを嬉しいと感じずして、何を嬉しいと感じればいい?
俺はバカだから、極端なことをいってしまえば、
実は勝ち負けなんてどうだっていいのだ。
ただただ、あの痺れるような走りを見ていたい。
理屈じゃなく、身体の芯から震えが来るようなあの感覚を、
味わっていたいと思うのだ。
F1ドライバーとしてやはり俺達をワクワクさせてくれた
鈴木亜久里さんのチームで彼が走ることになれば、
その喜びは2重にも3重にも膨らむと思わないか?
気持ちもグイグイと投影できると思わないか?
まだまだ高いハードルが、いくつもあるだろう。
けれど、無責任は承知だが、ひとりのファンとして、
どうか頑張って俺達に夢を与えてくださいと
心からお願いしたいと思うのだ。
……うーし、今夜は飲むぞぉ。
うははははははは。
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