ティーポでも活躍してくれている、
このギョーカイでも有名な佐藤正勝カメラマン、
通称“まさかっちゃん”の話をしよう。
あ。そうそう。あらかじめお伝えしておくけれど、
内容にちょっとばかりナニな表現があったりするので、
とりわけこれから食事をしようと考えてる人は、
もしかしたら読まない方が身のためかも知れない。
ん? いやいや、何もまさかっちゃんが品のない人だとか、
まさかっちゃんが食事前に会うには不適切な人だとか、
そういうわけではないので、念のため。
彼はむしろ俺の知る人の中でトップ・クラスの清潔派。
何せ趣味は掃除。癖も掃除。気がつけば掃除。
仕事が終われば速攻で着替え、サッとコロンを振る。
それ以外の彼の特徴を記しておくことにすると、
「顔が恐い」「身体がいかつい」「クチが悪い」の3拍子、
加えていうなら、撮る写真がとっても美しい。
見てくれや言動はどう考えても“厄介系”なのだが、
その印象とは逆にとても風流なところのある人なのだから
人間ってのは解らないモノである。
懐かしのサンリオのキャラクター『ごろぴかどん』を
コワモテにしたような屈強な男が、
あんなにも美しい写真を撮るアーティストだなんて、
いったい誰が想像できるだろうか……?
そのまさかっちゃんに、事件が起こった。
今週の月曜日の午後のことだった。
まさかっちゃんはしとしと雨が降る中、
目の中に本当に入れたらきっと痛いんだろうけど、
目の中に入れても痛くないと言い張りそうなくらいに
可愛がっている愛犬の『ハナちゃん』を、
動物病院に連れて行った。
続く話が俺にとっては余りにも衝撃的だったので
話のディテールは見事にスッ飛んでしまってるのだが、
確かハナちゃんの検診と聞いたように記憶している。
ハナちゃんはキュートなお尻で体温までも計ってもらい、
病院は終了。まさかっちゃんはとっても上機嫌になって
再びハナちゃんと一緒にクルマに乗り込み、
途中、スーパー(だったと思う)に立ち寄って
買い物まで済ませていこうと考えた。
雨で濡らせるのを可哀想に思って車内に残した、
ハナちゃんを思い、彼は急いで買い物をすませて戻る。
顔は恐いしクチは悪いのだが、優しく温かな人なのだ。
隣のクルマとの間隔が異様に狭い駐車場だったため、
ドアを細めに開けてカニ歩きをするように
車内に背を向けそろそろと尻から侵入を試みる。
尻でボディの拭き取り掃除などしないよう、注意深く進み、
ようやくストンとシートに腰を降ろすことに成功。
ハナちゃんがチョコンとしてる助手席の足下に
買ってきたモノを置いたまさかっちゃんは、
ハナちゃんの頭を撫でようと彼女の名前を呼んだが、
彼女はいつもと違って素直に膝にのってきたりはしない。
ちょっと様子がオカシイ……と心配になる、いかつい男。
すると、次の瞬間──。
……ん? ……ぬおぉーーーーーーーーっ!
この温かさはいったい何だ!? なぜこうも温かい!?
いったいなぜ尻の下が温かいんだぁーっ!?
慌ててクルマから降りて運転席の座面を確認すると、
そこにはハナちゃんのプリチィなヒップが生んだ
うんにょが広がっていた。
まさかっちゃんは、うんにょの上に座っちゃったのである。
あまりのことに呆然とし、
しばし途方に暮れて立ち尽くしてた、まさかっちゃん。
……ハナちゃんに責任はない。
体温計を差し込まれて、きっとゆるくなっちゃってたのだ。
彼女の異変に気づかなかった自分が悪い。
顔は恐いし身体はいかついしクチもひじょーに悪い男だが、
彼はそう考えてハナちゃんを叱るようなこともせず、
再びそのままシートにぺっちゃりと腰を降ろすと、
ブーンと家に帰ったのであった。
「ってなわけで家に帰って運転席と助手席のシート外して、
雨が降ってるっつーに家の前でザブザブ丸洗いして……。
ゴールデンウィーク明けの月曜の午後だぜ。
ただでさえ近所からは“あの人、なにやってる人?”って
胡散臭く思われてるのに、ダメ押しだよ。まいったよ」
そういいながらも、どこか嬉しそうな表情である。
この男、顔は恐いし身体はいかついしクチは悪いし、
どう見ても悪役商会系としかいいようがないのに、
ハナちゃんには滅法弱いのだ。俺には滅法強いくせに。
やっぱりしとしと雨だった一昨日の早朝、
612スカリエッティの撮影を終えた横浜の街の路傍で、
しっぽり濡れながら一服してるとき、
「ほらな?」とまさかっちゃんが開けたドアからは、
まごうことなき洗剤の香りが流れ出てきたのだった。
ちなみに写真が、まさかっちゃんである……はずはなく、
まさかっちゃんの愛するハナちゃんである。
まさかっちゃんにどこか似てるのが妙にオカシイ。
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