2006年08月04日

だから夜は嫌い──

ティーポ編集部のある3階のフロアは、
たいていの晩は遅くまで灯りが煌々と点る不夜城。
夜中だろうが明け方だろうが、
普段は何人ものスタッフがキーボードと格闘してる。
締切の近い編集部があれば
打ち合わせしてる声やときどき笑い声まで聞こえてきて、
24時間営業のコンビニエンスストアよりも
「元気があってなかなかよろしい」という状態だ。

だが、ひっちゃきになって仕事をしてるときには、
自分がいる島のスタッフが帰宅したのは判るものの、
他の部署の動きなんて気にはしていられない。
滅多にないことではあるのだが、
何となく「今夜は静かだなぁ……」と思ったら
ぽつんとひとり取り残されていた、という晩もあるのだ。

そういうときのこのフロアは、少しばかり不気味だ。
日頃は活気があって人もわんさかいるのに、誰もいない。
自分がたてる物音以外、耳に入ってくるものがない。
夜の学校を想像してみて欲しい。
あれにも似た、あまり気味がいいとはいえない雰囲気が、
それとなく漂ってるように思えてならないのだ。

とある晩の、とうに夜半を過ぎた頃──。

普段はなるべく時計の針が頂点を示す前に帰途につき、
残りは自宅で人知れずコツコツとやってる俺だが、
その日は自宅のネット環境にトラブルが生じて、
深夜まで編集部で仕事をせねばならない状況にいた。
ひとり帰りふたり帰り、徐々に静かになっていき、
最後に残ったのは俺だった。

人影もなく、気配もなく、どこからも音はしない。
時計を見ると、午前2時30分。いわゆる丑三つ時だ。

隣にセレモニーホールがあるせいか、
若い娘どもが“地下の廊下をひとりで歩いてると
誰もいないのに後ろから足音がするんだって”とか、
そんな話をしていたのを通りすがりに聞いているし、
そもそも俺は去年の5月にとっても不可解な体験をし、
もしかするともしかするってことはあるかもなぁ……
と考えてるようなところはある。
どうがんばっても、夢見心地な時間とはいえない。

「……おーい、誰か残ってんのかぁ?」

ついつい意味のない呼びかけをしちゃったりしたのだが、
誰かに心を悟られて恥をかくようなことはなかった。
言葉は壁や天井に、スッと吸い込まれていく。
本当に誰もいないのだ。
返事なんてどこからも返ってくるはずはない。
シーン……という音がグッと強くなったような気がした。

5分ほど経って、目の前のナパの散らかった机の上で、
パタンと本か何かが倒れる音がした。

……うーむ。

念のためにいっておくが、俺はこう見えて極めて繊細だ。
神経が異様に細やかなのだ。センシティヴなのである。
しかも、一度何かが気になりはじめると、
解決するなり解消されるなりポコッと忘れちゃうなり、
何らかのケリがつくまで延々と気になりっぱなしな性格だ。

なので、解消することに決めた。
簡単な話である。俺も帰っちゃえばいいのだ。
俺のモットーは「明日できることは今日やるな」である。

愛機PowerBook G4をぱたんと閉じてカバンに仕舞い、
ワケの解らない不安感とおさらばできる幸福に
ほんのちょっとだけ気持ちがやわらいだ俺は、
席を立って出口までの最短距離を少し早足で歩きはじめた。

……ん?

視界の隅を何か見慣れないモノが横切った気がする。
視なけりゃ何事もなく済んだはずなのに、
俺はついつい反射的に顔を左に向けてしまった。

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!

声にならない悲鳴を上げた俺は、
おそらく目をクワッ! と見開いていたことだろう。
背中を嫌な感じの汗がダラッと流れ、
しばらく立ちすくんだ後、俺はへたへたとしゃがみ込んだ。
だって視界に飛び込んできたのは、コイツだったのだ。

この男の名前は『ケイヨンくん』。
ホビダスの月刊軽自動車専門Web版フリーペーパー
K4(=ケイヨン)』の誌面で
車内の広さを計るために活躍する、無口なヤツである。
近頃ではナカジーのブログの中で芸を披露し、
一部で熱烈な人気となっている。
日頃は表に出ることもなくひっそり暮らしているが、
誰かが連れ出して、ヅラまでかぶせてセットしたのだろう。
俺の席からはちょうど死角にあって、
こんなことになっているとは全く気づいていなかった。

これがいったい誰の仕業なのか、
残念なことに俺はまだ突き止めることができていない。
だが、まぁ時間の問題だろう。

……俺を本気にさせやがって。

コメント (12)

Tipoの嶋田でーす!:

にっし〜様。
あの黒いテルテル坊主みたいな人の変装はオモシロイんだけど、
できれば俺から離れたところにいてもらいたいもんです。
知り合いだと思われるとハズカシイから。うはははは(^o^)

おにぃ殿。
某敏腕メカニックの“し○なさん”っていうと、あのミスター“なまたまご”のこと?
その昔、吉野家であっちのカウンターに座ってる女の子をナンパしようとして、
店員さんに「あっちのお嬢さんになまたまごをひとつ……」とかいう、
黴の生えたような……というか、ギャグとしか思えないやり方をした
イナガキさんのこと(・_・? あ。やべ。本名だしちゃった(^◇^;)

GSマン様。
その節はどーもお世話になりました。よーく覚えてますよ。
すっごく感じよく接してくださったから(^^)
ああ、この人、クルマすっごく好きなんだなぁって感じたしね。
またどこかで見かけたら声をかけてくださいね、遠慮なしに。
……っていうか、ココにちょこちょこと遊びに来てくださいな(^^)
別にそのときどきの随筆の内容に関係ないことで全然オッケですから。
だってホラ、ここにコメントくれてる常連さんも、
みんなどんどん脱線していくでしょ? それでいいんですよぉ。
楽しけりゃオッケなんですから(^^)

AOP.サトウさま。
先日はどーもでした。もう1週間が経っちゃった。早いねぇ(^◇^;)
ジオット・ビッザリーニさんとお会いしたときのお話は、
まぁエンツォ・フェラーリについての話題がメインになるんですけど、
この次の号を楽しみにしていてくださいね。
あ。その前に原稿を書かなきゃ(^◇^;)

AOP.サトウ:

先日は、太田さんのクラブミーティングお疲れ様でした!
レトロモビルの事やピッザリー二さんに会われた時のお話
とか聞かせて頂き光栄です!
イソ・グリフォの開発にも携わった人ですが、
チーフエンジニアのピエロ・ルイジ・ラッジと意見が
対立し自らのブランドを立ち上げるんですよね!
ちなみにイソ・グリフォのボディーデザインは、
ジウジアーロでした!
嶋田さん、ティーポの今月号に当方のイラスト載せて
頂きましてありがとうございました!
レトロモビルの写真も参考になりました!
なんか全然違う話になっちゃったけど(笑)

GSマン:

日記とは関係ない話題で申し訳ないです。
先月、伊豆某所で給油の際に「珍しい○○ですね」と声をおかけしました。
「どっかで見たことある人だなぁ・・・」と思い続け今になり
「あ!!!!!!!!!!」と思い出しコメントしてしまいました。
駄文で大変失礼しました。

怖い話といえば・・・。

某敏腕メカニック、し○なさん(仮名)を思い出します(笑)
すっかり、お会いしなくなったんですが・・・元気にしてらっしゃるんでしょうか?

ケイヨンくんの中に「黒い人」も混ぜときます?・・・笑

・・・あ、アレは去年岡山に「抜け殻」を忘れてきたのか

Tipoの嶋田でーす!:

ぱぱん殿。
あのクソ暑い中でこんな着ぐるみを着たら、死にますってば(^◇^;)
ただでさえ終わってから数日は廃人みたいになっちゃうのにぃ。
ダイエット……。ううむ……ダイエット……。くぅ。

ぱぱん:

来年のOHMはスタッフ全員ケイヨンくんと同じスタイルで「ケイヨンくんを探せ!」をしましょう。
そうしたら多分編集部にダイエットブームが来ますよ。

Tipoの嶋田でーす!:

あき様。
いやー、お役にたてなくて申し訳ないっす。
昔はどうってことなくできたことだったんですけどねぇ、
今はいろんなことがいろんなふうに煩くなっちゃってるもんでねぇ(^◇^;)
これも時代……ってヤツなんでしょうなぁ。

あき:

嶋田さん、霊の件じゃなくて例の件、
ありがとうございました。
思い付く事を、もう少しいろいろやってみます。

それでもダメなら来年のOHMかな。

Tipoの嶋田でーす!:

くるきち殿。
寝泊まりするのが嫌だってのもあるんだけど、
いまや横になって寝られるスペースがどこにもなくなっちゃったから、
イスの上に座ったままストンと気絶するみたいに落ちることが大半。
3Fのフロアには、そうしてゴルゴ13に狙撃されたカタチの編集者の怨念が
渦巻いてるんですよ、それはもう呆れ果てるほどに。

マリコさま。
名古屋には名古屋でしか食べられない美味いモノがいっぱいあるもんねぇ。
「名古屋は中途半端なところが良い」ってのに笑っちゃいました(^o^)

マリコ:

お仕事お疲れ様です☆
一人は淋しいですよねm(__)m
それにしてもティーポ様の編集部様は
愉快ですね(^o^)
私は昨日行ってきましたよ
「世界コスプレサミット」へ!!
その後世界各地のコスプレイヤーさんたちと
打ち上げに行きました!!
共通語が英語なので本当に参りましたm(__)m
インチキ英語を話しておきましたよ(^o^)
嶋田さんもゼヒいらしてください名古屋に!!
名古屋は中途半端なところが良いですよ(^o^)

くるきち:

夜遅くまでご苦労様です。

編集部に寝泊りするのがイヤで
編集部から3分のところに引越し
したという嶋田さんのもくろみは
現在うまくいってないようで。

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