今日は……うわ、もう昨日になっちゃってるけど、
『あなたが選ぶ カー・オブ・ザ・イヤー』の
キックオフ・イベント初日。
前夜、どのクルマに投票しようかと考えに考えて、
考えてるうちに結局夜が明けてしまい、
俺は一睡もしない状態で横浜赤レンガ倉庫に向かった。
俺としては珍しいことだけど、電車に乗った。
東急東横線とみなとみらい線を使って、馬車道駅まで。
俺は電車があまり得意ではない。
頭で組み立てたルートを、覚えてるつもりで間違える。
「ここでよく間違えるんだ」と判ってるはずなのに、
必ず同じ場所で反対方向に乗り換えちゃったりする。
メトロの地下通路で迷子になる。駅の出口で悩む。
急行電車に乗ると各停への乗り換えに失敗して乗り過ごす。
シートに腰掛けると寝過ごす。……人生の落伍者のようだ。
クルマだと何も考えなくても大抵スムーズにいけるのに、
電車だと考えなきゃならないことも多いし、
3回に1回くらいしかスムーズにはいけない。
でも、今回はだいじょーぶ。
なにせ、ほぼ1本。そのまま各駅停車でもいいし、
途中で急行に乗り換えても必ず目的地の駅に停まる。
降りるのは“馬車道”という有名な名前の駅、
そのうえ仮にそこで降りそこなったとしても、
次の“日本大通り”というやはり特徴のある名前の駅から
歩いたとして、赤レンガまではほぼ同じくらい、
という出血大サービスような状態なのだ……と、
とイベント事業部のスタッフが親切にも教えてくれた。
いかに俺がダメ人間であっても、これなら楽勝だ。
都立大学駅から乗って自由が丘で急行に乗り換えると早い、
ということも教えてもらっていたのだけど、
実際には電車の中の車内放送が
「この電車は“武蔵小杉”まで先にいきます」
と教えてくれたので、そっちで乗り換えることにした。
「降りたホームの反対側の電車に乗れ」
というふうに教わったのは自由が丘での乗り換え方法、
それが武蔵小杉にも当てはまるのか……と疑問に思い、
駅員さんに訊ねてみたら大丈夫との応え。
俺は少しホッとして、ホームに滑り込んできた電車に
すんなり乗り換えることができた。
座席に座ると間違いなく眠りに堕ちるので、
毎回そうするようにドアの脇に立って、
俺は鞄からハードカバーを出して読み始めた。
しばらくして何となく視線を感じるのでそちらを見ると、
若い女性が俺を見つめている。どことなく冷ややかな目。
……俺のちゃらちゃらした感じが気に入らないわけだね。
またしばらくして、今度は別の方向からの視線を感じ、
そちらを見ると、今度は幼い子供を連れた奥様。
やっぱり、俺を見目は明らかに冷たい。
……だいじょーぶ。あなたの子をさらったりしないから。
ん? と思って反対方向を見ると、
今度は「教師生活25年!」の町田先生にも負けてない
おかたい雰囲気のおばさまが、
明らかに軽蔑の表情を浮かべて俺を見ていた。
……あなたの教え子じゃないんだから説教しないでね。
まぁいーか……と思って本に意識を戻そうとしたのだが、
知らない人達にこんな視線を浴びせられる意味が判らない。
……あ。わかった。ジッパーだ。
きっとジーンズのジッパーが開いてるのだ。
そう気づいた俺は、さりげなく後ろを向いて、
ゴソゴソと確かめた。
……おかしい。開いてない。
ならば他に、いったいどんな理由があるというのだ?
冷ややかな目で俺を見てるのは女性ばかり。
男どもはそんな目で俺を見てたりはしないじゃないか。
あれ? そういえば男がいない。周りは女性ばかりだ。
これじゃまるでハーレム電車……と思ったところで、
視界の脇に入ってくるモノがあった。
『この車輌は……午前10時まで……女性専用……』
なにぃーーーっ!?
俺は女性専用車両に乗り込んじゃったのか!!
なんだよ! 武蔵小杉駅の駅員っ! おい、駅員っ!!
俺が乗り込むときにそばにいたんだから、
その時点で教えろよ! ……と心の中で叫びつつ、
俺が顔面を真っ赤に爆発させながら、
すごすごと違う車輌に移動をしたのであった。
──と、まぁそんないきさつもあったのだけど、
『あなたが選ぶ カー・オブ・ザ・イヤー』の
キックオフ・イベント初日は、平日なのに盛況だった。
あの河村隆一さんやタレント兼レーサーのヒロミさん、
レーシング・ドライバーの織戸学さんや谷口信輝さん、
それに横浜市の中田市長さんといった方々が見えて、
投票とトーク・ショーなどをしてくださった。
オフィシャル・アドバイザーは全員が当日に投票、
その結果は公式ホームページのココからのぞけるのだが、
どういうわけか俺もトーク・ショーに借り出されて、
それが気に入られたのか他に誰も人がいないのか、
この土曜日と日曜日にも正午と午後3時の2回ずつ、
急遽トーク・ショーが組まれることになった。
昨日は平日にもかかわらず
仕事をサボって(?)来てくれた読者さんもいたが、
今日はウイークエンドなので堂々と誘える。
俺も今日と明日、午前11時くらいから
会場内を浮遊霊のようにフラフラ歩いてるから、
みんなも横浜赤レンガ倉庫に遊びに来てね、と。
ミニ・モーターショー、かなり見応えあるしね。
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