えーっと……なんだったっけ? あ。そうそう。
「ジャーマン・ティーポってのを作ることになりました」
と知った人達にわりと共通する、ある反応の話だった
「ジャーマン・ティーポ……って何語だよ?」
「ティーポのポリシーを曲げるわけ?」
最も多かったのがこのふたつの言葉だったんだけど、
俺は「……ふむ」と考え込んでしまった。
何語かって問われたら……何だろね? わはははは。
……日本語? うん。日本語だな、あえていうなら。
確かに“ジャーマン= german”は英語、
“ティーポ= Tipo”はイタリア語の単語なんだけど、
同時に“ティーポ= Tipo”は俺達がつくってる雑誌の
固有名詞にもなってるわけで、だからさぁ……ね?
ドイツ車版の『ティーポ』で『ジャーマン・ティーポ』。
これでもスタッフ全員であれこれ考えた結果なのだ、実は。
一例をあげるなら『D's Tipo』とか『G's Tipo』とか。
でもね、やっぱり誌名は根っこにあるモノと方向性を
判りやすく伝えられないとダメだと思うのだ。
だから“ドイッチェランド”じゃ長いから“ジャーマン”、
それに根っこである“ティーポ”を単純にくっつけただけ。
「んじゃ“根っこ”である“ティーポ”って何だよ?」
ということなのだけど、
ここでポリシーなるものが関係してくる。
世の中的には『ティーポ』という雑誌は
「イタフラ専門誌!」と思われてるみたいだけど、
実はちょっと違う。……というか、
つくり手側の意識としてはナニナニ専門というような
明確なポリシーみたいなものは、実はなかったのだ。
カテゴリー分けとして輸入車専門誌の中に
ポコンと組み込まれているのも知っているけど、
実はそれもちょっと違う。日本車だって結構登場してる。
だから、あえていうなら……なんちゅーか……、
“いま一番おもしろいクルマ”専門誌だろうか?
確かにイタフラが多いのは事実だけど、
それは新車もユーストカーもヒストリックカーも
ごった煮的にごちゃまぜの境界なしで、
「コレがおもしろいんじゃない?」に的を絞って
“クルマと一緒に人生楽しく過ごしたい”と思ってる
心からクルマが好きな人達に向けてつくっていきたい、
という根っこにある俺達の意識みたいなものと、
読者さん達の多くが望んでる方向性みたいなものの
バランス取りをしてきた結果といえるもの。
みんな何を見たいのかな? 何を知りたいのかな?
そんなことを考えながら
小さくジャブを出してみてはリアクションを見て、
別のパンチを試してみてはスルーされて──。
それを繰り返してきて、今の『ティーポ』なのだ。
別に「イタフラ・オンリーだぜ」とか
「ドイツ車なんて興味ないぜ」なんてーのを
ポリシーにしてきたわけじゃないのである。
ほら。今年も7月に開催することになるけれど、
『ティーポ・オーバーヒート・ミーティング』を
思い出してみて欲しい。
参加車輌は安全面でサーキット走行に適さないと思われる
車体形状をしてるクルマ以外、何でもオッケでしょ?
例えば日本が誇る軽自動車とイタリアが誇るフェラーリが
同じ土俵で奮闘してるサーキット・イベント、
おそらく他にはほとんどないと思うのだ。
そう、それこそが編集チョーとしての俺が考える、
『ティーポ』としての理想型。
新旧や洋の東西を問わず、分け隔てなくクルマは楽しい。
突き詰めれば、そこにはその真実が在るのみ。
5万円のポンコツを慈しむ心と
1億円のスペシャルを愛する心と。
どちらも本気なら、気持ちに貴賎はないとも思うのだ。
ただ、たかだか200ページに満たない薄い雑誌では、
どうしてもできることに限界が生まれてしまう。
手が行き届かない分野もできてしまう。
やり方が甘かったのを認めないわけにはいかないけど、
そこを埋められないのが、ずっとストレスだった。
それに対するひとつのアクションが、
今回の『ジャーマン・ティーポ』なのだ。
「やるぞ!」と決まったのは昨年末だったのだけど、
実は3〜4年前から「できたらいいな」と考えてたのだ。
たちあがりがやたらとピーキーだったから
やっぱり神経の行き届いてない部分もあるだろうけど、
それでも自分達なりのこだわりを持って
ドイツ車に接する本にしていくという主張はあるつもりだ。
金ジャラ系や威圧系などとは隔たりを保って、
テイストの真の旨味を味わっていく雑誌にしていきたい。
受け入れてもらえると……ウレシイなぁ。
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