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2008年9月

2008年9月29日

月末の暗殺者

毎月この時期になると全く例外なしに、
ティーポ編集部には暗殺者が出没する。

そいつは大抵の場合、
明け方だとか昼メシの直後といった
気の弛みやすい時間帯を狙って音もなく現れ、
一瞬間たりとも姿を見せることなく、
ひとり、またひとりとスタッフ達を血祭りにあげ、
ひっそりと立ち去っていくのだ。

ゴルゴ13並の凄腕である。

何とか逆にやっつけようと対抗策を練るのだが、
やられるのは決まって俺達の方だ。

名誉の死を遂げた英雄の名を述べるわけにはいかないが、
今日はこうしてあるスタッフが撃ち殺された。
危ないところで、俺は助かった。
だが、明日は……いや、
今日を生きて過ごせるかどうかすら判らない。
俺も過去に何度となく撃たれてる。

過酷な戦いは、まだまだ続く。

俺はこうして勇気ある撤退を試みたわけだが、
実際のところ、
俺達をスカッと射殺したいと思ってるのは
凸版印刷の皆さんだろうなぁ……。

いや、ほんと、ごめんなさい。

2008年9月27日

ウルトラマンの勇気

ここのところ、会議と打ち合わせばかりの日が続いてる。
俺なんてまだいいほうで、マジメな山本キョクチョーなんて、
それこそ朝から夜中まで、である。
俺の場合は基本的に “夜の生き物” であるがゆえ、
撮影などで朝から活動をしなきゃならないときか
夜の続きで朝を迎えてそのままぶっとーしであるとき以外は
“朝から” という概念がないので、そういう意味では楽だ。
そもそも誰も “朝” の俺に期待なんかしてないし。
まぁ……ダメ人間である。それは認めよう。

そういうわけで、昨日の打ち合わせ、第2回戦のときのこと。

毎日その前を通っていて脇目辺りではちゃんと見てるはずなのに、
いきなり「……うぬっ!」と気づいたモノがあった。
鉄道模型を趣味としている皆さんにはお馴染みの、ジオラマだ。

この会社のビルの1階は客人がみえたときの
打ち合わせスペースとしても機能していて、テーブルと椅子が並ぶ。
その横に、いつからだったかさっぱり覚えていないのだが、
タタミ2畳分を越えるほどの大きさのジオラマが飾られてる。

地上、メトロの駅、その下のプラットフォームという
おおまかにいえば3層構造……というか、
地上のさらに上を走る高速道路まで再現されてるから、
4層構造といえる見事なジオラマだ。
下面はともかく全ての面がガラスで囲まれていて、
まるで “蟻の巣の標本” のように断面で楽しむことができる。

道路だとか家屋の駐車スペースだとかに
親指くらいの大きさのクルマがいるなんざー当たり前で、
有名なコンビニエンスストアの店舗や看板も再現されていて、
メトロの駅では赤ん坊の小指の爪ほどの
たくさんの人達が改札を抜けたりホームで電車待ちをしてたりする。
乗務員や職員の休憩所みたいな部屋も覗き見ることができて、
米粒よりもちょっと大きいくらいの職員達が
ひと仕事を終えた充実感を漂わせながらソファで休んでたりもする。
そんな中を、然るべき電源をつなぎさえすれば、
台に用意されたスイッチひとつで電車が走り回るといった仕掛けだ。

こいつは……すごい!

残念ながら俺には電車だとか汽車を愛でる趣味はないが、
そうしたシロートが見ても思わず唸っちゃうほどの出来映え。
見てるだけでほんわか楽しい気分になってくる構成と仕組み、
それに何より東京の都市部とちょっとした郊外の街が
そのまま縮小されたかのような精密さ、緻密さ、リアリティ。
これをまるまる作り上げるのに、製作者はいったい、
どれほどの手間と時間をかけたというのか──。

天晴れ、である。

そうした感動の最中に突如として俺の頭の中に浮かんできたのは、
「ウルトラマン(とその一味)ってすげー」ということだった。
より正確に言うなら、その中に入ってる人、である。

だって彼らは、確かに仕事とはいえ、こうした模型の上で、
踊ったりでんぐり返りをしたりするのである。
俺なら例えばこのジオラマを破壊しながら何かをしろといわれても、
とてもじゃないができそうにない。
いかに地球を守るため、テレビの前の子供達の笑顔のためとはいえ、
彼らはものすごい勇気を振り絞ってるに違いない。
それとも……仕事だからなんでもない、のか……?

クルマ好きの間ではユニークなレリーフ作りで知られていて、
なかなか奥が深く読ませてくれるブログも展開してくれている
立体作家の市川 拓氏(がんばれよー!)は、
実はウルトラマン系の怪獣の着ぐるみだとかミニチュアだとかも
これまでにたくさん手がけてきた人物で、
そうした特撮モノの撮影にもずっと参加してきてるから、
その辺りのことを訊ねてみたい気もするが、
……いや、いずれにしても、俺にはできねー。
仮に「腰抜け!」と罵倒されたとしても、俺にはできねー。
ぜったいにできねー。腰抜けでいいや。

あ。洗濯機がピーピー鳴ってる。
ほとんど半月分のコイツらをぜんぶ干したら、
仕事場に向かわなきゃなー。わはははは。

2008年9月25日

続・ダメじゃん、ティーポ……

数日前の祝日のことだ。

やることがたくさんたまっていたので出社しようと
昼頃にモソモソと起きだしてシャワーを浴び、
洗濯もしなきゃなぁ……なんて思いながら
残り少なくなった自然乾燥済みのシャツに袖を通し、
いつも使ってるメガネをかけようとしたら、
ポロッ……と何かが落ちた。

腕の動作にはハズミがついてるから
メガネは何事もなく収まるところに収まったわけだが、
右の方だけシャープにモノが見えて妙な具合である。

左のレンズが落ちた、わけだ。

かけないと何も見えないというほどではないけれど、
裸眼で運転することができないくらいには悪い。
日頃は使い捨てのコンタクトレンズを使っているものの、
休日だとか気が向いたときだとか
使い捨ての在庫を切らしたときには “メガネくん” なのだ。

出がけにポロッ……は、あまり縁起がいいようには思えない。
出鼻をくじかれるとはこういうことをいうのだ。……ちっ。

“明日できることは今日やらない” という長年のモットーに従って
とっとと目的地を変更し、裸眼だから駐車場じゃなく駅まで歩き、
電車に乗って恵比寿のメガネ屋さんへと向かった。

だが……がーん!

その店には比較的洒落た感じのメガネが
ほとんど出来心で買ってもそう後悔しない値段で並んでるのに、
その日はそれほど気に入る “お洒落メガネ” がなかったのだった。
カタチがいいなぁと思ったらフレームがピンクだったりして。

今さら他の店にいくのも面倒だった。
何せ裸眼で出てきちゃったし。

そういえば、ポロッと落ちたのも含めた今までのメガネは、
カタチはよかったけれどレンズが小さくて運転には向いてなかった。
そこに気がついた俺は、レンズがでかくて視界の広いヤツの中から
何かひとつ選ぼうと考えた。

そうなるとキャッシュなもので、選ぶのがまた楽しくなる。
選択肢は限られてきちゃうわけだが、
吟味の末にチョイスしたのは、写真の太い黒ブチのヤツだった。
理由は金ブチやら銀ブチで秀作くんに見えるヤツだとか
ただでさえあまり評判がいいとはいえない顔つきを
さらに悪く見せるようなヤツだけは避けたかったからだ。
どことなくレトロで明らかに“ださい”感じがするのも、
どういうわけか“いいんじゃないか?”と思えたりもした。

きっとこれなら、柔らかい男としての印象を与えられるだろう。
『三丁目の夕日』の茶川さんのようなイメージで。
うむ。悪くない。コレにしよう。……すみません、コレください。

──で、明けて、翌朝。というか、翌昼。
前の日にそんなことがあったのも忘れて
フツーに何の気なくニュー・メガネをかけて出社したわけだが、
最初に会った JT3110 の反応は、ごくごく普通だった。

「あれ? メガネ、変えたんですか?」
「前のヤツ、昨日壊しちゃったんだ。……変?」
「いいえ? 似合ってはいますよ」

さすがに受け答えにはソツがない。
次に会ったのは、取材から戻ってきた コゾー310 。

「あれ? メガネが変わってる」
「前のは壊して直してるんだよ。……これ、変?」
「いやぁ、懐かしい感じだなぁと思って。今じゃ珍しいっすよね。
 いいんじゃないっすか?」

何となく、コレを選んだのは正解だったかも、
というように思えてきて、プチ喜びをしたい気分になっていた。
ヘルメット坂上が、取材から帰ってくるまでは──。

「うわっ! どうしちゃったんすか?」
「何が……?」
「メガネですよメガネ」
「何だと? オカシイか?」
「オカシイっすよ。4つぐらい老けて見えますもん」
「何ぃ……?」
「まるでムカシのオヤジみたいじゃないっすかぁ」
「……」
「前のメガネの方がよかったな。すっごく変」
「……」
「うわぁ……」
「……」
「なんでまたそんな……」
「……」
「うわぁ……」

編集部最年少にして最も “上から目線” の男は、
ごくごく自然体で俺を全否定すると、
次の瞬間には “何も見ませんでした” とでも言うかのように
クルリと向きを変えて仕事に没頭するフリをしはじめた。
それから数時間が経過しても、目が合うたびに、
ヤツは “うわぁ……” という表情を浮かべて目を伏せる。

……くっそー。
ヘルメット頭のくせに。

いつかその安全帽的な丸いシルエットが、
ちゃんとヘルメットとして機能するのかどうか試してみたい、
と改めて思わされたのだが、
勝ち負けでいえば明らかに俺の負けかぁ……、
とグウの音も出せなかった秋の夕暮れであった。

2008年9月23日

ダメじゃん、ティーポ……

11日ぶりに出社して、時差ボケと過酷な戦いを繰り広げながら
何とか午前中を過ごし、昼メシに出て再び戦線復帰すると、
俺の机の上にさっきまではなかったモノが置かれていた。

『目録・優勝』と書かれたノシ袋と、
『 CATAMARAN / SWISS WATCHES 』と刻まれた白い箱。

これは過去に見たことがある。去年も見た。
メディア対抗ロードスター4時間耐久レースの、
優勝賞品の一部である。

このレースには様々な企業が協賛をしていて、
入賞したりするといろいろな賞品をいただくことができる。
ウチのチームでは表彰式の後に、一部を除いて、
その日その場にいたスタッフみんなでジャンケンをし、
勝った者がもらって帰るなり誰かを指名して持ち帰らせるなり、
そうした不公平感のない方法をとることがならわしになっている。

が、俺は何かを持って帰ったことはない。
俺のここ何年かの通常の仕事は監督=見てるだけ、である。
俺が何もしなくてもちゃんと動いていく。
現場で頑張ってるのはドライバー含めたスタッフ達であり、
俺ではない。俺は本当の本当に見てるだけ、なのだ。
そうした役割の人間は謙虚に振る舞うべき、
というのが自分自身に対する俺なりのルールなのである。

が、これは……?

まさか、当日を楽しみにしていたのにツクバに行くことができず、
ドイツにいながらも気になって仕方なかった俺への、
スタッフ達からの心ばかりとはとてもいえない
熱い篤い “真心” なのか……?

昼メシに出て戻ってきたときに増えていたメンバーは、
ナパ三宅だけだった。
基本的には性根の座ったダメ人間だが、優しいところもある。
こうした粋な計らいもできる、というわけか──。

俺は半ば感動しながら、ナパ三宅に声をかけた。

「あのさ、ナパ。これなんだけど……」
「ああ、それ? 何しろ感動の現場に来られなかったんで、
 せめて優勝した気分だけでも味わっていただこうと思いまして」

──やっぱり!

ウチのスタッフ達はクチも態度も素晴らしいとはいえないが、
根っこの部分はいいヤツばかりなのだ。
フランクフルト空港で感動のあまりについつい書き込んだ
“ヤツらと一緒に仕事ができてるっていうことに、
俺は猛烈な誇りを感じてる”という気分が蘇ってきた。

目録のノシ袋を開いてみる。……あれ?
何だこりゃ? カラじゃん。
──と思いながら無意識に白い箱を手にとると、
開けてみるまでもなくカラなのが判る。

「あのさ、ナパ。これ、ふたつともカラなんだけどさ……」
「ああ、だから、せめて優勝した気分だけでも
 味わっていただこうと思いまして」
「ん。気分だけ?」
「はい。気分だけです」

周りを見渡してみると、そこにいたスタッフ達全員が、
ほぼ例外なく下を向きつつも肩をピクピクと震わせてる。

──ハメやがったな。

コイツらと一緒に仕事をしていると、非常にしばしば、
俺は強烈な “鳩が豆鉄砲を喰らった” 感を覚えることがある。

生きてるってのは素晴らしい。素晴らしいとは思うのだが、
ナパ三宅……どうしてくれよう……?

2008年9月20日

すげーぞ、ティーポ!

空港ターミナルの建物に入ったら電話しようと思ってたのに、
機体から出てスイッチを入れた瞬間に、逆に電話が来た。
相手はウチの編集部の JT3110 である。

「勝ちましたー!」

うおー!

通話が終わったと思ったら、メイルも飛んできた。
今日のドライバーでもあるウチの編集部のコゾー310である。

「優勝しました!」

うおー!

たまらなくなって 310 に電話を入れると、
普段はクールが売りのあの男の声が
心なしかちょっとウルウルしてるような感じだ。
背後で聞こえるヤローどもの声も、
いつもとはちょっと違ってる。

そりゃそうだろう。
俺だって知らせを聞いて、泣きそうだ。

だって、ありえないだろう?
今年はさすがに無理だと考えざるを得なかった、
恐ろしくきついハンディキャップの課された
ロードスター4時間耐久レースである。
しかも、3連覇だ。

ヤツらのがんばってる姿が簡単に想像できるだけに、
これに感動できなくて何に感動すればいいんだ?
ってな気分である。

フランクフルト空港のゲートとゲートをつなぐ
長いトンネルを荷物をガラガラ引っ張って移動しながら、
ヤツらと一緒に仕事ができてるっていうことに、
俺は猛烈な誇りを感じてる。

ありがとな!

2008年9月19日

V12ディーゼルに「おわっ!」

俺は今、ドイツのデュッセルドルフの近くにある
ナントカっていう名前の古城みたいなところにいる。

普段ならこういう場所にはキョーミシンシンの俺が
名前すらチェックしないままでいるのは、
仕事で来てるんでガイドブックすら用意してきてない
ってのも理由のひとつではあるのだけど、
ついさっきまでそんなことにすら想いがいかない
すんごーーーい体験をして、
呆然としながらも顔だけはえへらえへらと笑っちゃうような、
そんな状態だったからだ。

アウディQ7の V12TDI に乗っちゃったのだ。

普通の TDI じゃないぞ。
ぶいじゅうに、だからね。
ぶいがたじゅうにきとー。

6リッターのV型12気筒ツイン・ターボで500馬力という
とんでもないディーゼル・エンジンなのだ。

その乗り味はどうかといえば、
いやー、なんちゅーか……すげー。
とんでもねー! としか言えない。

「速い」だとか「チカラがある」だとか、
確かにそれはそのとーり以外のナニモノでもないのだけど、
単にそれだけですませるわけにはとてもいかない、
それはそれはすさまじい乗り物だったのだ。

まだ的確に言い表わせるような言葉を見つけられてないのだけど、
それはちゃんとした試乗記事を書くときまでに
何とか頭をひねったり枕の上に載せたりして探すとして、
とにかく呆気にとられるしかない、異次元の乗り物だった。

いやー、すげー。

同時に新しい A6 のスーパーチャージャー付3リッターも
試乗することができたのだけど、
それもまた想像以上に素晴らしかった。
だってステアリングを握ってて、めちゃめちゃ楽しいんだもん。
近年のアウディには、ほんっと驚かされる。

それにしても、いやー、すげー。

うん。すげーすげー。

2008年9月18日

こうしてパリの真夜中に──

どうやらちょっと前のココを見たらしい古い友達から、
ケータイにメイルが来た。

「お前はいったい、どこで何をやってるんだ?」

いくら20年以上のつきあいだといっても、
そんなことをいちいち友達に報告してから出掛けたりはしない。

余計なお世話だとは思ったが、俺は友情に篤い男なので、
ケータイでのメイルの国際送受信に
いったいいくらかかると思ってるんだ!? なんてことは
これっぽっちも思ったりすることなく、ちゃんと返信してやった。
すると、間髪入れずに、またしても返信が飛んでくる。

「ひとりなのか? ひとりなんだな?
 ひとりでいったい何をやってるんだ? 具体的に述べよ」

本当の本当の本当に余計なお世話である。
どうせ仲間内で飲むときのネタにするだけのくせに。

もう44才なんだから、俺だってひとりで旅ぐらいできる。

ロータスだらけの写真をアップした日まで、
俺はイギリスにいた。
ロータスの60周年記念イベントに行っていたのと、
知人と会って今後のあれこれ悪ダクミ(?)、である。

明日からはドイツに移動することになるのだけど、
んじゃ今はどこにいるのかといえば、パリにいる。
イギリスとドイツはマジメに仕事だったのだけど、
狭間の3日間はロンドンから電車に乗ってパリに移動して、
夏休み代わりの短い休暇である。
というとカッコイイように聞こえるかも知れないけれど、
何のことはない、短い間に日本に帰ってまた出てくると
疲れちゃうよなぁ……という、ややオヤジじみた理由から、
同じ欧州内に残ってるだけの話なのだ。

パリではホビダス用の買い付けとかに行ってはみたのだけど、
珍しいヒストリック系のブツはほぼ空振りに終わった。
あとはひたすらこっちのじーさんと同じで散歩ばかりしてる。
食い物が何にせよ美味いのがパリの素晴らしいところだ。

それ以外には何をしてるのかといえば、
ここでこうして『随筆』執筆にいそしんだりしてるわけだ。
なにせケータイからの投稿テストを
そのまんま放置しちゃってたから、まとめないとねぇ。

えー、投稿テストをしてみたその結果だとか、
それらはどういう状況で何をどうしたことで得られたものか
というような細かな話はここ数日のエントリーそれぞれの
コメント欄を見てもらえるとありがたいのだけど、
つまりどういうことかというと、出張が多いこともあって、
ケータイから『随筆』を投稿できないものか……と、
そういうことを思いついちゃったもので……。

で、その道のプロに教えてもらい、俺が使うことにしたのは
ubicast Mail Blogger サービスという無料版のヤツだ。
使い方だとか登録の仕方だとかは
ユビキャストのHPを見てもらうのがいいと思うのだけど、
俺みたいなシロートが実際に使ってみるとどうなるか、
それを先にテストしてから今回の旅に出たかったのに、
例によってバタバタアタフタとして出てきちゃったので、
結果、ヨーロッパに着いてからテストしたりした。

で、案の定、誰もが想像するとおりに失敗したりもして、
しかもサラッとテストを終わらせちまってから
とっとと削除して何食わぬ顔をしていようと思ってたのに、
テストの合間にコメントをいただいたりしちゃったので
削除をするわけにもいかなくなって、
マヌケついでに“テスト”を“テスト記録”として残し、
誰かの何らかの参考にしてもらおうと思いついたわけだ。

なので、俺と同じくらいのシロートさんには
ちょっとばかり参考になるはずのお話しもあるから、
過去に遡ってコメント欄を見てみてみて。

結論をいっておくなら、結構ありがたく使えるじゃん、
という感じの便利なサービスである。
ブログをしている人は、これを利用しない手はないと思う。

それにしても、パリは夜が楽しいっていうのに、
しかもサンジェルマン・デ・プレにもサン・ミッシェルにも
歩いて僅か数分のところにいるというのに、
俺はいったい何やってるんだ? ……とほほほほ。

2008年9月16日

もひとつテスト。

今度はソフトバンクの 709SC から。
写真はこっちにはストックがないから、
ずっと前にバロッコで撮ったアバルトね。

またもやテスト。


これは………DoCoMoの 906 から。
見てる人が退屈すると申し訳ないので、
日本初公開! Lotus Evora の事故車
……じゃなくて、
クラッシュ・テストに使われた個体の写真。

2008年9月15日

どーゆーわけか

昨日はいきなりこーゆーところにいた。
テスト版のナニをそのままにして何やっとんじゃい!
と思ってる方もいらっしゃるだろうけど、
あれにはあれで意味がある、というか、
ちゃんて意味を持たせるつもりがあって “仮” 放置してるだけなので、
俺が再び Mac に触れるタイミングまで、ちょっとタンマね。
いやー、それにしてもすんごい1日だった。
めちゃめちゃ濃厚だった。
足がボーみたい。ヨロヨロしてる。でもねぇ、すっごく幸せ。
……なんだけど、指が太いおかげで
ケータイでポチポチやるのは苦手だから、
やっぱこっちもちょっとタンマね。
ミスター・タンマと呼んでくれ。ふはははは。

2008年9月13日

テストもとりあえず最後


……になるといいなぁ。
そしたらもうちょっとはマシなモノを
アップできるかも知れない。
うむ。マシだといいなぁ……。

うあ。


写真が謎マークだった。ううう。
これならどーだ……?

2008年9月12日

これもテスト。

別のヤツから別の方法で。
どうだろか……?

今度は……

どーだ?
ムズカシイなぁ、想像してた以上に。

ん?

もひとつトライ。

ふむ。


こっちからだとちゃんと改行はできるみたいだけど、
写真がリサイズされないから
マトモには表示されないなぁ。
もういちど違う方法でトライ。

ふたたびテストしてみる。


今度は写真がちゃんと表示されるといいなぁ。
それから、
改行も
ちゃんとできると
いい
んだけどなぁ(^^ゞ

テストだよーん。

あ、さて。さて。さてさてさてさて。さてはナンキンタマズダレ。 ちゃんとテスト投稿が表示されるか、とってもとっても心配。 ちなみに、このテスト投稿を目にした人は、 間違いなく将来幸せになれる……といいねぇ。

2008年9月 9日

桃色な日々

御覧のとーり、ここの様子がちょっとばかり変わった。
しばらくぶりに、それも無計画にいきなり再開したものだから、
画面に出てる俺の写真は昔ながらのロン毛のまま、
それはあまりにもあんまりだろう……ということで、
写真をサシカエするついでにモデルチェンジとなったのだ。

今では俺は髪をバッサリと切っていて、
神奈川銘菓……いやいや、間違えた。そんな美味しい
シロモノじゃないな……えーっと、神奈川名物の
“まさかっちゃん” こと佐藤正勝カメラマンにいわせれば、
「東京ガスの弱火、みてーだな」という髪型になっている。
「んーで、髪が薄くなってきたら “トロ火” だな」らしい。
ヒトをコケにして笑いを獲ることに関しては、
相変わらずの天才っぷりだ。
自分のことだっつーに、つい笑っちまった。わはははは。

ページのイメージは、俺にふさわしい桃色である。
うむ。似合ってる。ものすごーく似合ってる。
あまりに似合っていて涙がでてきそうだ。

エロ親父、のようである。

しかも、年甲斐もなく狂い咲いてる感じの。

それはともかく、せっかくホビダスで一番の技術者が
直々にリニューアルの作業を手がけてくださったこともあって、
さすがに毎日というのは状況が許してくれないだろうけど、
なるべくそれに近い感じの自分なりのペースで頑張ってみよう、
と決心しようかどうしようか悩んでる今日この頃だ。

昨日から今日にかけては、他の仕事の合間をみながら、
とりあえず新しくなったフォーマットに合わせて
“再開後” の分の文をあれこれ調整し直したりしてるが、
まだまだココに関しては他にもやるべきことがあって、
これから数日の間、ときどき上の写真にあるような
テスト画面がにょろんと出てくることがあるかも知れない。

その昔、黄色いフォルクスワーゲン・ビートルを1日に3台見ると
将来幸せになれる……という都市伝説があったけど、
もしもそのテスト画面を見たら、
あなたは間違いなく幸せになれる……といいなぁ。
いや、もしかしたら、すっかり逆かも……。

ビートルは見るからに幸せを運んできそうな姿カタチをしてるし、
実際に走らせてみるとほんわか幸せ〜な気分になれる乗り物だけど、
俺は……ちょっと……そういうのと違うからなぁ……。

まぁ、人生、気の持ちようだ。

そういうわけだからうっかりテスト画面を見ちゃったとしても、
どうか気を落とさないで頑張って生きていただきたい。


2008年9月 8日

心に刺さるキャッチ・コピー

ストッ! と瞬間的に気持ちに刺さって、
それがちっとも抜けてくれないことってのがある。

ストッ! の結果、気分がどうなるかというのは
そのたびごとに違っていて、
考え込んだり悩み込んじゃったりすることもあるわけで、
先日なんて東急ストアのアスパラがあまりに高かったせいで、
ひと晩ずっと、この国の将来が憂えてならなかった。

だが、今回は全く違う。おかげで1日中、
モノをシリアスに考えることができなくなって困った。

ストッ! と来たのは、とある新聞を広げていて、
とある広告が目に入った瞬間のこと。

『男のちょいモレを完全ガード』──。

ふははははははは。
男のちょいモレ!

ちょいモレ、である。

“ちょいワル”という言葉が流行したおかげで、
それまでマジメに生きてきたおっさん達が
軒並み判りやすい “にわか不良オヤジ” と化したここ数年。
「今日から不良になりました。どうぞよろしくお願いします」
とでもいうような慣れない仕草や言葉づかいで
“ワル” を気取ったそうした薄っぺらい姿を見るにつけ、
マジメ1本で通す生き方の方がナンボもカッコイイのに、
なんて真剣に思わされたりしたのだけど、
この広告のキャッチコピーは、
外野のそんな余計なお節介さえ遙かに超越してる。
端っから思い切り笑い飛ばしてるのだ。

何せ、男のちょいモレ!
ちょいモレ、である。

ふははははははは。

“ちょいモレ” を前にしたら “ちょいワル” なんて、
どこにも勝ち目なんかないくらいにカタナシだ。
「 “ちょいワル” を気取っていたって、
 どうせあなたも “ちょいモレ” なんでしょ?」
なんてことをお目当ての艶女(アデージョ)にいわれたら、
返す言葉なんてひとつも見つからないだろう。

かかかかかかかか。

しかも! しかも、だ!
商品の説明が、また抜群にふるってる。

「何回でも洗濯 OK!」って、わはははは、
紙オムツでもあるまいし、数回しか洗濯できなくてどーする?

「吸水下着を履いているとは誰にもわからない」って、
あっはっはっはっ、他人が吸水モノを履いてるかどうかを、
チラチラと気にしてる奇特なヤツがいるってことか?

「裏地も黒メッシュ仕様で脱いでも気づかれない」って、
ひっひっひっひっ、いったいどこでどんなふうに脱いで、
いったい誰がオヤジの抜け殻と化したこーゆーシロモノを
しげしげと意欲的にチェックして、
鋭く何かに気づこうとするっていうんだ?

そもそも吸水モノであることがバレたとして、わはははは、
「いいか、気をつけろ! あいつはああ見えて、
 みんなに黙って吸水パンツを履いてるぞ!」
なぁーんて、くっくっくっ、評判になったりするもんなのか?

あげくに、あっはっはっはっは、
「便利な前開きタイプ」っていってるけど、んじゃ何か?
不便な後ろ開きタイプってものが存在してるわけか?

ついでに、この……この “ダンディ『粋』” ってのは、
うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、いったい何なんだ?

ふははははははは。

かかかかかかかか。

男のちょいモレ!

わははははははは。

コイツはものすごい破壊力である。
このコピーを考えたヒトは天才であるに違いない。
おかげで1日中思い出し笑いが止まらなかった。
頬骨の辺りの筋肉がちょっと痛い。

遅かれ早かれというか、俺もきっとそう遠くないうちに
“ちょいモレ” オヤジになるのだろうけど、
そのときにはコイツの助けが必要になるかも知れない。
今はアレコレとなかなかムズカシイ時代だけれど、
その日が来るまで、どうか頑張って生き残って欲しい。

ふっ……ふははははははは。

ダメだ。
とっ……止まらないっひっひっひっひっ。

2008年9月 5日

ラニョッティさん、いきなり!!

明日、土曜日。新しいティーポがちゃんと発売になる。
今月も危ないところだった。……ふぅ。

ティーポがちゃんと発売日に棚に並んでいるのは、
なにも編集スタッフが優秀だからというわけではなく、
ひとえに凸版印刷の皆さんの努力と忍耐による。
どんなに原稿をサイトーシンスケしても
必ず発売日に間に合わせてくれる、
その魔法のような仕事ぶりの信頼感は絶対的といっていい。

ごめんなさい。
もうしません。

その新しいティーポで、いきなり、予告も何もなく
ひとつの連載がはじまった。上の写真を見ていただきたい。
向かって左側の人物は……だぁーれだ?

そう、その走りを見れば
泣いてる子だって拳を振り上げて興奮する、
宇宙で一番の自動車エンターティナー、
ジャン・ラニョッティさんである。

日本でラニョッティさんの連載だなんて、
ちょっと信じられないでしょ?
俺だって、はじまった今になっても
キツネにコチョコチョとくすぐられてるような気分なのだ。

一昨年のもてぎのイベントにゲストとして来ていただいて
数日間を一緒に過ごさせていただいたときあたりから
“できたらいいなー” と漠然と考えるようになって、
その後、ラニョさんが娘のようにかわいがってる
パリ在住ライターの野口友莉さんを通じてお願いをして、
今年の2月、パリでお会いしたときに
「日本のみんなが喜んでくれるんだったら」と、
あっさりオッケをしてくださった。
写真でラニョさんの隣に立つ、今ではルノーをリタイアされた
当時のルノー・ヒストリーク&コレクシオンのボス、
シュマルツさんも「おもしろそうだね」と
ニコニコ笑いながら資料までくださったりして……。

これ、ラニョさんはもちろんだけど、
野口友莉さんとシュマルツさんの存在がなければ、
とてもじゃないけど実現できなかった企画なのだ。
時の流れというものも含めて、すべてに感謝! である。

ジャン・ラニョッティというドライバーのヒトとナリは、
あらためて説明するまでもないかも知れない。

“記録より記憶に残るドライバー”。

ルノーのワークス・ドライバーとして長年ちゃんと
結果を出してきてるというのにそう呼ばれている理由は、
もちろん無敵とすらいえる
その“魅せる”ドライビングにあったわけだけど、
ラニョさんの素晴らしさはそれだけじゃない。

ラニョさんとお会いしてお話しを聞かせてもらうたびに、
“これは独り占めしたらダメだろ” と思わされる。
一緒に過ごす時間が蓄積すればするほど、
“ヒトとして” の部分に惹かれていったりもする。
俺、もう完全にラニョさんのファンだもん。
彼の素晴らしいところを、6000マイル離れた
この日本に住むクルマ好き達に思い切り知って欲しい。
そんなふうに思ったのだ。

フランスの国民的英雄でもあるラニョさんの連載が
いったいどんなものなのか、
それをクチでいうのはちょっとムズカシイので、ぜひ!
本屋さんやコンビニエンスストアで手にとって見てみてみて。

オモシロイから。

──と、今日はマジメな話だからオチはなしね。
ふはははは。


2008年9月 4日

笑顔の効用

“笑い” だとか “笑顔” というモノが
ヒトに様々な恩恵をもたらすのは、よく知られた話ではある。

笑うことで脳が活性化したり免疫力が向上したり、
基礎体力や運動能力が強化されたりといったモロモロは、
例えば医学的にも証明されているのだという。
まぁそうした専門的なことはさておいとくにしても、
笑うことで気分がヤケにスッキリしたり
それまで以上に元気になるということなんてのは
大抵のヒトが体験しているはずだし、
目の前の誰かが笑顔でいるから自分も何となく気持ちが和んで
リラックスできる、なんてことも
日常的によくある出来事……でしょ?

“笑い” や “笑顔” は、人間が天から与えられた
最高の宝物のひとつなんだと思う。

左の写真は今年の3月、インドに12日間も放り込まれた
フェラーリの “Magic India Discovery” ツアーのとき、
チェンナイ市内のとある街角で出逢った
インドにたっくさーん! いる、神様のうちのひとりである。

これでも笑っているんだそうな。

インドの街々には、いや、家々には、といってもいいな。うん。
ともかくあちこちに、こうした神々がたくさんいる。
信仰というものが完全に日々の人々の暮らしに融け込んでいて、
街のあらゆるところにこんなふうにして神がいるのだ。
クルマのダッシュボードにだって、
ミニチュア版が並んで鎮座していたりもする。

多くは極彩色に彩られていて芸術性をも感じさせ、
あるいは素朴な中に豊かな情感を湛えていて、
中には人類をモデルにしているにしてはあまりにも異形で
不気味と紙一重に思えるような神もいるけれど、
それらを含めてほとんどの場合は無言で見惚れてしまうような、
そんな美しさだとか妖しさを放っている。

でも、ときどきコワイ。

できることなら日が落ちた後とかにバッタリどこかで
出くわしたりはしたくないような、
そんな貌をした神も確かに存在するのだ。
それこそ相手は笑ってるんだっつーに、
見ているだけでじわりと汗が出てきちゃうような──。

今日、というか、もう昨日のことである。

件の“HIGH GRAPE”で散々笑って元気だった俺は、
珍しく午前中から出社して珍しくヤル気になり、
朝もはよからキーボードをちゃかぽこと打ち鳴らしていた。

すると、4輪雑誌の編集部すべてがあるこのフロアに、
いきなり暗雲がたちこめ始めた。
まるでここのところの突然の豪雨が来る直前の空ような、
危険を予感させる雲に急激に襲われたのだ。

どこからともなく “ジョーズ” のテーマが聞こえてきた、
ような気がした。

最上階から笹本シャチョーが降りてきたのだった。

俺は長年の習性で無意識にブワッと顔を伏せ、
目につかないようモニターの陰に急いで避難した。
別に悪いことなんて何ひとつしてないのに
ケーサツを見ると条件反射的に逃げたくなる、あの心理である。

隠れながらもチラリと確認すると、
どうやらズンズンとこっちに向かって歩いてくる。

流れる BGM が “ダースベーダー” のテーマに替わった、
ような気がした。

うわっ! こっちを見てる。俺を見てる。
しかも……笑ってる!

俺はシャチョーの笑顔が苦手である。
より具体的にいうなら、そう、コワイのだ。
お化け屋敷と同じくらいにコワイ。

人間、自分のヘソの緒を埋めた場所の前を最初に通ったモノに
恐怖を感じるものだ、とは江戸時代から続く言い伝えだが、
ということは俺のそれを埋めた場所を最初に通ったのは
笑顔を浮かべたシャチョーとお化け屋敷の
仲むつまじいカップルだったのか? 
いや、お化け屋敷がすんなりと通るのはムズカシイだろうから、
お化け屋敷のオバケに扮した笑顔満面のシャチョーが
一番最初に通ってくれちゃったのか?
と、くだらないこと考えてるうちにうっかり逃げ遅れ、
俺は追い詰められるカタチになった。

「おい。お前のブログを見たけどな……」
「……」
「それに対する答えを俺のブログで書いといたから、
 よーく見ておけよ」
「するってーと、あの“HIGH GRAPE”
 シャチョーのシワザだったんすか?」
「バカヤロー。俺が用意したんだけど俺じゃねーよ。
 いいから、ちゃんと見ておくんだぞ。ぐわっはっは」

そうした解るような解らないようなセリフを吐くと、
シャチョーは明らかに勝ち誇った笑顔を浮かべたまま、
クルンと背中を向けてのっしのっしと歩み去っていった。

……ぬ? これで終わり?

ホッとしつつも肩すかしを喰らったような気分で
社長のブログにアクセスしてみると……ぐわー。これか。
とんでもねー。思いっきり名指しである。

確か70年代後半だったか、西田敏行さんが出てた TV CM の
「今やろうと思ったのに言うんだもんなぁ」
という名セリフが流行語になったのだけど、
まさしくそれに近い気分である。
しかも、こっそり再開しておいて何食わぬ顔で
人知れず普通に回しておく……という俺の計画を、
ためらいもなしに一撃でこっぱみじんにしてくれた。
あげくに「三日坊主はダメですよ」。
……「ですよ」なのである。

泣く子も黙って次の瞬間には昏倒するようなあの笑顔の意味は
ハッキリと判ったが、俺にとってこれは、
インドの神々よりもブキミであり、
逆鱗に触れて怒らせてしまったときもよりも遙かに恐ろしい。

“笑い” はヒトに和みを与えるモノではあるけれど、
ときには他人の笑顔を奪い去ることもあるのである。

そういうわけだから最後に付け加えておくが、
これはあくまでもフィクションである。

フィクションですからねー。

2008年9月 3日

ああ、高級ぶどう

昨日の昼くらいのことである。

いつものとおり眠い目を無理矢理かっぴろげながら、
スタビライザーを打ち付けたロータス・ヨーロッパのような
定まらない足さばきでヨロヨロと出社してみると、
いきなり珍しいモノが目に飛び込んできた。

高級ぶどう。

説明するまでもなく、高級なぶどうである。
ここは果物屋さんじゃなく出版社だというのに、
どういうわけなのかはさっぱり判らないが、
箱入りの高級ぶどうがガンと積まれていたのだ。
もうそんな季節になっちゃったんだなぁと思いつつ
箱の横っ面に空いてる穴から覗き込んでみると、
そいつは見事につややかな紫色をしている。
しかも、ツブの大きなことったら。

実に美味そうなのだ。

が、これは高級なぶどうであるからして、
俺のようなシモジモのモノの胃袋に収まる類ではない。
無理すれば買えないこともないだろうが、
そのために夕食のおかずを何回か1品減らすというようなことを
したくはない、とまぁそういうクラスの品なのであろう。

悔しいので、その横っ面に空いてる穴から指でも入れて、
ひとつふたつプチッとつぶしてやろうかと思ったが、
広告部の女性スタッフがジィーッとこちらを観察してるので
大人しくその場を立ち去ることにした。
日頃、自分がどんなふうな目で見られているのかということを
たっぷり実感することができる瞬間だ。
まったくもって生きにくい世の中になったもんである。

そう思いながら箱の山に背中を向けようとした瞬間、
俺は気がついちゃったのだ。

自信たっぷりに赤く刻まれた“高級ぶどう”の文字の下、
どことなく照れくさそうに、明らかに自信なさげにあしらわれた、
いたいけな印象の “HIGH GRAPE” の文字。

わはははは。

“HIGH GRAPE”。

“ハイ”な“グレープ”である。

“HIGH” にはそういう意味が全くないわけじゃないと思うが、
“高級ぶどう”だからって “HIGH GRAPE” でいいのか?

英国とバンバカやりとりしてる姉妹誌 “オートカー” の若造で、
TOEIC 950点オーバーでアメリカにも長く住んだ経験のある
馬場という元秀才パンクに訊ねてみたら、
「いや、そういう使い方はしませんねぇ……」らしい。

そばで話を聞いていたオートカーの編集長・木原は、
「もしそれが“GRAPE”じゃなくて “LEMON” だったら、
食器が洗えそうですよねぇ。ほら……ハイ・レモン」。

馬鹿め。

まぁ木原はちょっと変わったヤツなので放っておくとして、
それにしても “HIGH GRAPE” である。

“HIGH GRAPE”。
“HIGH GRAPE”。
“HIGH GRAPE”。

みんなもクチに出して繰り返してごらん。

“HIGH GRAPE”。
“HIGH GRAPE”。
“HIGH GRAPE”。

おまじないのように3回となえてごらん。

“HIGH GRAPE”。
“HIGH GRAPE”。
“HIGH GRAPE”。

なんとなく楽しい気分になってこないか?

「うちのぶどうは高級品なんだから、
 英語でもそれをちゃんと書かんばなるまい」
「そのとーりだ」
「あー、ナニか? “高い”は “HIGH” でいいのか?」
「そのとーりだ」
「んじゃ “HIGH GRAPE” だな」
「そのとーりだ」

そんなふうなどこかあたたかな会話まで頭に浮かんできて、
ほのぼのとした気分になってくる。

いやー、みんな、英語苦手なんだなぁ。俺だけじゃないんだなぁ。
よかったよかった。安心したよ。うんうん。

いや、考えてみたら安心に浸ってていいってモノでもないのだが、
そんなわけで、殺伐とした気分が続いた日々の後の、
ひさびさにほのぼの過ごせた初秋の1日だった。

ありがとう、 “HIGH GRAPE”。

2008年9月 2日

往く年来る年……?

……うむ。夏が終わった。今年も夏らしいことを
何ひとつしないうちに、綺麗さっぱりと俺の夏が終わった。

おかげさまでオーバーヒート・ミーティングが過去最大級の
盛り上がりを見せたりして、仕事の上での収穫はたくさんあった。

500アバルトにも乗れたし、アルファのミトにも
ランチアのデルタにも乗れた。

『500マガジン』の2発目の取材のために
トリノをスタート地点にしてフィレンツェ→ジェノヴァ→トリノ→
ミラノときてまたトリノに戻る3日間1600kmの強行軍で、
かつてカルロ・アバルトと親交のあった、
俺達が親しみを込めて「じーさん!」と呼んでいる
昔の自動車界を様々なカタチで支えてきた人生の大先輩達に
素晴らしい話をたっぷりと聞かせていただく時間を持つことができ、
これまであまり知られていなかった
アバルト御大の真実の姿にちょっとは近づくことができた。

けれど、いつかはゆっくり滞在したいとほんのり憧れてた
ヴァカンス・シーズンの地中海沿岸にいたというのに、
美しい海を見ることができたのはたった3分だった。

そういえば、ビア・ガーデンにもいってないし、
かき氷だって食べてない。水鉄砲で誰かをマトにした記憶もない。

この夏に俺が体験した個人的な“いかにも夏らしい”行為は、
短パンを履いたこととビーサンで歩いたことくらいである。

俺の夏は……どこにいった……?

と思う間もなく、9月に突入しちまった。もうじき1年である。
そう、この随筆を放置してしまってから……。

何ゆえこんなに放置することになってしまったのか、
理由はあったりなかったする……という
まるで “鼠先輩” のような説明の仕方しかできないのだが、
今さら「やっほー!」だとか「ごめんなさーい!」というような、
華々しい再登場をすることのできる立場ではない。
こうしてこっそり現れてボソボソと物静かに地味な語りを入れて、
いつの間にか「あれ? またやってんの?」
ってな具合になるのが理想的なんじゃないかと企んでる。

この1年近く、極めて数少ないここの読者さん達から
応援をいただきながらも応えられず、ずっと罪の意識を感じていた。
どこかで出逢った読者さんだとか仕事の関係者の皆さんに
「更新されるの待ってますからね」なんていわれると、内心、
申し訳ないやら恥ずかしいやらでいたたまれない気持ちになった。
中身のある話だとかオモシロイ話ができてきたわけでもないのに、
これはとっても幸せなことなんだと思う。

せめてものお詫びにすらならないお詫びに、
俺のデジカメに残っていた今年唯一の夏らしいカット、
トスカーナのひまわり畑の写真を贈ることにしたい。

きっとそこちらは太陽の方角なんだろう、
みんな揃って同じ方角を向いて大きく花を広げて咲き誇り、
華やかに、美しく、……「ブログ更新しろ」「ブログ更新しろ」と
クチグチに叫びつつ迫ってくるような気がするのは、
やっぱり罪の意識から来るヒガイモーソーなんだろなぁ……。