2008年10月15日

いくら 2CV が農耕馬系でも──

「嘘つきめ!」

──というメイルが、友達から飛んできた。
何だとコノヤロー! と何も考えずに反射的に返信したら、
そのまた返す刀の一撃で、俺はザックリと斬殺された。

「パリ・サロン “で” 気になったクルマ3台を、
 2回に分けて紹介するんじゃなかったのか?」

……おー。そーだったそーだった。
確かに2回に分けて3台を紹介しはしたけれど、
そのうちの1台はパリ・サロンの展示車両じゃなくて、
まるで何の関係もないヒストリックカーだった。
話の中にフィアット 131 スーパー・ミラフィオーリが出てきて、
俺はそれを無意識に1台とカウントしちゃったのだろう。
われながら切なくなるほどの頭の悪さだと思う。

嘘つき呼ばわりされたままでいるのもナニなので、
ここでもう一発! とばかりに、
注目株がゴロゴロいる中から俺が選んだ1台は……。

シトロエン 2CV エルメス、である。

いや、全然ウソでもホラでもないんだってばさぁ。
ほんとに展示されてるんだから、2CV。

実は 2CV、このパリ・サロン開催中の10月7日に
めでたく60歳の誕生日を迎えたのだった。
それを祝って、説明不要なほど有名なあのエルメスと
シトロエンのコラボで生まれたのが今回の展示車なのだ。

まぁ……エルメスって、そのルーツを辿っていくと、
ナポレオン3世だとかを顧客にしてた馬具工房として
そもそもはスタートしてるわけだし、
2CV ってクルマはいわば農耕馬みたいなモノだから、
そういう意味ではピッタリかも知れない。

この “記念車” は1989年式の 2CV 6スペシャルをベースにして、
エルメスが内外装をコーディネートしたもの、
といっていいだろう。

パッと見ではちょっと華やかなブラウンにペイントされた、
キレイにレストアの施された 2CV という感じだけど、
白眉といえるのは、このインテリア。

おおよそ考えつく可能な限りの箇所に、
エルメスの得意技といえるウルトラ級のレザー処理が
あしらわれているのである。
このステアリングやドアをはじめとする内張りの革の上質なこと!
細工のていねいなこと! ただただ驚くしかないでしょ。

シートだってこのとーり。
俺が持ってるどの革製品よりも高級なナチュラル・レザーと
エルメスならではのグレイ・ベージュ色をした
コットン・キャンバスのコンビネーション。
写真で見ただけでも座り心地がよさそうに思えてくる。

もちろんリア・シートだって同じこと。
それと、グリップの部分にも注目ね。

細かい部分にも手抜かりなんかひとつもなくて、
このシフト・ノブもウインカー・レバーも、
ワイパー・レバーもバック・ミラーも、
こんなふうに見事としかいえない
繊細で美しい革細工が施されてるわけで……。

室内側のドア・ハンドルなんて、
ノーマルは……確かビニールの紐じゃなかったっけ?

ドアの内張にはこんな小物入れがあったりするのだけど、
これ、エルメス製のポーチみたいなもんでしょ? 
もしかしたら、この小物入れひとつの値段で
2CV が1台買えるんじゃないか、と……?

普通の 2CV ならやっぱりビニール製だったはずなんだけど、
この幌の部分もシートと同じグレイ・ベージュの
エルメス製コットン・キャンバスになってたりして……。

──とまぁ、細かい部分まで見れば見るほど
溜息が出ちゃうような、別の意味で超ド級の展示車両。
内装だけ見てたら 2CV だとは思えないよねぇ。
かかる手間暇とコストを考えたら
とてもじゃないけど売るに売れないわけだけど、
もちろんコイツはいうまでもなく非売品。
たとえ中古のフェラーリ1台分の対価を支払ってでも欲しい!
と思う人は、きっとたくさんいるんだろうなぁとも思う。

“小さな高級車” とは、まさしくこのこと。
こういうことを考えるだけじゃなく実行しちゃうトンチの効き方と
その出来映えのセンスの素晴らしさには、
ただただオソレイリヤノブンザエモンなのである。

さしづめイタリア版の 2CV はといえば2代目フィアット 500、
ということになるのだろうけど、
この際60歳の誕生日ウンヌンというのを横に置いとくとして、
チンクエチェントでコレをやったらどんなにカワイイだろ……?
なぁーんてことまで想像しちゃったりして。

クルマでレザーでイタリアで……ときたら、
自然に思い浮かんでくるのはやっぱりあのスケドーニなのだが、
次に現在の当主であるマウロ・スケドーニさんと会うときに、
「洒落で1台つくってみてくださいよー」なんて
臆面もなく提案しちゃいそうな自分が……ちょっと恐い。

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コメント (9)

Tipoの嶋田でーす!:

変態ブラザーズ弟殿。
素材を生かすも殺すもセンス次第。そのとーりですな。うんうん。
例えばね、もちろんアウトビアンキもそうなんだけど、
イタリアだとかフランスの小型大衆車って
素材とかがチープならチープであるなりにうまーく処理して、
何だかいい雰囲気に仕立て上げてあることが多いでしょ?
あれって「チープであることを恥じてないから」だと思うんです。
無理に誤魔化そうとすると、余計に貧乏くさく見えたりする。
最近はほんのちょっとだけよくなったとはいえ、
確かに日本車にはそういうの多かったですからねぇ……(^^;)

変態ブラザーズ弟:

結局良い素材もセンス次第ですね?
ト〇タとか日〇はセンスがビミョー過ぎますから。

アウトビアンキなんかはそこまで考えてデザインされた感がありましたし。

ランチアみたいなさりげなさは一番良いですね。

マウロおじさんに言ってみたら、工賃は取るよ?みたいなイタリアンジョークが飛びそうですね(笑)

Tipoの嶋田でーす!:

いち殿。
来たっ! 鋭いツッコミ! 待ってたんですよぉ(^o^)
おっしゃりとーり「オソレイリヤ」と来たら「キシモジン」。
ところがこの場合は「オソレイリヤ」の「ブンザエモン」なのです。
なぜなら、冒頭で俺を嘘つき呼ばわりしたヤツへの
個人的なメッセージというか復習というかオチョクリなので。
なにせ「そりゃオソレイリヤノブンザエモンだなぁ」とか、
「結局、オナジアナノツムジなわけだよ」みたいに、
全く何の疑問もなく自信満々に間違えたりするヤツなので。
知らないなら使わなきゃいいのにねぇ。わはははは。
ちなみに、遅いクルマでサーキットを走るのは楽しいでしょ?
遅いクルマでタイムをつめるのって、すっごくムズカシイのです。
タイヤの抵抗とか、露骨にタイムに跳ね返ってくるし。
だから逆にチャレンジングなんですよね。健闘を祈ります(^^)

くるきっつぁん。
さすが、なのかどうかは判りませんが、気になるでしょ、こーゆーの。
というか、他の花形級はどこでも紹介するだろうし、
普通にいろんなところで見ることができるだろうからねぇ。
なので「ねぇねぇ、コレ知ってる?」とばかりに
ついついニッチな方向にいっちゃったりする癖は確かにありますねぇ。

マリコさま。
いや、今回の場合の「嘘つき」はちっともホメ言葉なんかじゃなくて、
明らかに俺を真っ正面から罵るための言葉なのです。
俺も友達もハッキリそういう性格であり、
そういうツキアイを20年以上も続けて来ちゃってるので、
それは本当です(^o^) 
凡人なんで寺山修司さんのようにはいかないんですってばぁ。

マリコ:

お疲れ様です☆
「嘘つき」は誉め言葉だと思います(^o^)
北海道のチヨマロさんが
作家・寺山修司のことを
「嘘つき!!」
と言っていて、あれは本当です・・・

エルメスでらすげーですね☆
私もほしくなりました(^o^)
エルメスとかブランド物大好きなので、
いつかたくさん買います!
今はエルメスは1個も無いけれども☆

高級エルメス車、欲しいです(^o^)

くるきち:

日本の高級車の本革より、こっちの方がよっぽど高級というか、お洒落に見えます。
やっぱり革の文化という点ではまだまだ日本車は及ばないですなあ。
新型車やコンセプトカーより、こういうクルマが気になるあたり、さすがは嶋田さんですねえ。

いち:

こんな綺麗な2CVに乗って、逆にサーキットで走ってみたいです。

先日スマートでもてぎを走る機会があり、遅~いクルマでサーキットも楽しいなと感じました。


それと、変酋長の地元では、恐れ入谷の鬼子母神じゃないんですね。

Tipoの嶋田でーす!:

変態ブラザーズ弟殿。
アルカンタラも使い方次第で、例えばランチア辺りでは
ほとんど安っぽさみたいなのは感じられないっす。
でもね、ほんと……使い方だから……ダメなモノもあって(^^;)
2CV エルメスの革の細工の仕方はナマで見てないから
何ともいえないところもあるのだけど、写真で見る限りでは
絶句するくらいの上質さですよねぇ。
だけど、スケドーニの技術力もモノスゴイんですよ。

ヨネルトくん。
2CV は確かに見てると恐くなるくらいロールするんですけど、
乗ってるとあんまり不安感みたいなものはないんですよねぇ。
あれはホント、優れたクルマだと思います。
ちなみに“たまご”は試してみたことはないんですけど、
無茶な運転したらやっぱり割れちゃうんじゃないかなぁ……(^^;)

2CVは、1度乗ってみたい車です。
あのロールは凄いといつも思います。
ドゥーシーを知ったのがTipoのフランス車特集だったと思います。
凸凹道を60Km/hで走行しても卵が割れないんですよね!
ん~欲しいです。。

変態ブラザーズ弟:

最近の車のアルカンタラ仕様なんかは、コレを見た後だとなんとなく見劣りして安っぽく感じてしまうのは気のせいでしょうか?
それともエルメスの神通力がそう感じさせるのか?

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