2005年06月30日
Q:ロレックスの資産価値は? PART2
A:ミルガウス市場相場の右上がり現象が依然続く状態です

ポール・ニューマンに次いで、絶対的な市場価値を誇るモデルにミルガウスがある。1000ガウスの磁気に耐えるという意味で名付けられたこのモデルは、ファーストモデルであるRef.6541とセカンドモデルであるRef.1019の2タイプしか存在しない。しかも現在はオイスタークォーツにその座を譲り、生産されていないのだ。
なかでもファーストモデルであるRef.6541はイナズマ針のディテールが有名だが、何よりその希少性と、そのいずれもがディテールに微差を持つというミステリアスさで、相場は常に右肩上がりを記録している。一切、値崩れ要素がないというのもミルガウスの強みで、使ってもコレクションしても、そして資産としても狙い目のモデルなのだ。
ちなみに希少性の高いミルガウスのなかでも、もっとも入手しやすい!? と言われているセカンドモデルであるRef.1019でさえ250万円以上のプライスが付けられていることは珍しくなく、ファーストモデルであるRef.6541のなかでもっとも稀少なプラベゼル+イナズマ針モデルに至っては500万円を軽く越える値が付けられている。
※上記の相場価格はショップ、コンディションにより大きく異なる場合があります。
Ref.6541
最も稀少な回転タイプのプラスチックベゼル

ミルガウスと大ざっぱにいってしまうと、ファーストの6541と、セカンドの1019の2種類のみとなるが、実は6541だけでもかなりのバリエーションを誇っている。ファースト・ミルガウスの特徴といわれているイナズマ針を持たないものや、セコンドサークルの外に小さな夜光ドットを持つものなども確認されているが、簡単に判別できるのがベゼルだ。このモデルは3本のなかで一番稀少とされる回転プラスチックモデル。入手はもちろん、目にするだけでも困難なモデルだ。
<参考商品>
Ref.6541/自動巻/SSケース×ブレス/1960年代製
個人所有
Ref.6541
他のモデルには見られない、幅広のスムースベゼルを装備

回転ベゼルに次いで、見つけるのが困難なベゼルバリエーションがこのスムースベゼルである。他のモデルでは幅広のプロポーションが特徴で、後継モデルである1019のスムースベゼルとも異なったシェイプを持っている。ブックレットや、海外のロレックス専門誌などには記録が見られないが、このベゼルを装備したサンプルはプラスチックベゼル同様、見つけることが非常に難しい。特殊な性能と製造期間も短さゆえに生産数が少なく、記録自体が曖昧になっている。
<参考商品>
Ref.6541/自動巻/SSケース×ブレス/1960年代製
個人所有
Ref.6541
1stミルガウスらしさを凝縮した、回転ベゼル装備タイプ

微差ディテールの多いファースト・ミルガウスのなかで、最も一般的なディテールを持つのがこのモデル。時分針のドルフィンハンドや、イナズマ型のセンターセコンド秒針、そしてベゼルはアルミプレートにアルマイトが施された回転ベゼルとなっている。現代のダイバーズモデルと異なり、回転は両方向。これは時間経過を記録するミニッツレコーダーとしての機能で、同年代のターノグラフと同様の装備。ただしディテールは全く異なり、10分おきのアラビアプリントとなっている。
<参考商品>
Ref.6541/自動巻/SSケース×ブレス/1960年代製
個人所有
投稿者 watchsensor : 19:16 | コメント (0)
2005年06月21日
Q:フランク・ミュラーの人気モデル「ヴェガス」の構造ってどうなっているの?
A:実は計算され尽くされた非常にシンプルな機構なのです。

1999年に発売され、ルーレット機構という奇想天外な発想で瞬く間に世界中の注目を浴びたフランク・ミュラーのヴェガス。しかし、コレほどまでに注目されるヴェガスもその機構については意外と知られていない。そこで、恐れ多くも分解を敢行し、その驚愕のシステムを解説しよう。
<ルーレットのデバイスの仕組み>



ルーレットデバイスのプレートは技術者によってひとつひとつ丁寧にペルラージュ仕上げを施されている。ジャンパー類もビーチ材(ブナの木)のディスクを使った鏡面仕上げの面取りがされ、高級ブランドの名に恥じない仕上げだ。こういう仕上げはひとりの技術者で1日に10~20個が限界。スイスの時計工場では日本と違った時間がゆっくり流れている。


ルーレットを作動させるプッシャーを仕込んだ特殊なプッシャー付きクラウン(リューズ)ですべての操作を行う。これは巻芯と同軸上に位置する【上写真2点】。


プッシャーを押し込むと【写真左】にあるスターターが押し込まれる。押し込まれることによりスターター先のフレキシブルな爪はスターホイール下部のカナを勢いよく瞬時に一段だけ送る。ジャンパー【写真右】によってテンションをかけた状態にあるので勢いが付くのだ。



その際に長く伸びたスターホイール【写真左】の6枚の歯先の内1枚がルーレット針の固定されたローテーションディスク下に取り付けられた歯を勢いよく送って回転させるのだ【写真中&右】。ベアリングの力も加わって凄いスピードで回転し始める。



スターターにはルーレットの針を停止させるための爪【写真左&中】があり、プッシャーを手放すとローテーションディスクの歯と噛合い瞬時にストップさせる。ローテーションディスクの歯は文字盤上のルーレットの数字分けが37個であることに由来し37枚の歯が設けられている。この数を合わせることによって、ストップさせた際にルーレットの針先が行儀よく文字盤上の数字枠に納まる設計だ。
注目すべきは、送った爪がスムーズに元に戻るようにスターター上にスプリング【写真右】を利用した『逃げ』が細工してあることだ。私はこのさほど重要でないにもかかわらず、わざわざ無垢材から削り出されたスプリングのコストのかけ方に驚いた。平らなスプリングで済ませればどれだけ安く済むだろうか? この部品の作りはジュネーブシールの時計製作の厳しい規格をも満たしている。



ひと通り機構を解説してきたヴェガスのルーレットデバイス一式【写真左】は、ベースとなるムーブメントの文字盤側に2階建て構造で取り付けられている。【写真中&右】
以上が、世界を熱狂させたヴェガスのルーレット機構のシステムだ。いつもながらフランク・ミュラーが作り出す付加ファンクション時計は、10数点のパーツで複雑な技をこなす。まったくもって感心させられるものだ。
2003年秋の時点で自らの名を冠した社を退いたとされるフランク・ミュラー氏。しかし、その後もクイレジーアワーズなど、遊び心に満ち溢れた時計を発表し続けていることは、我々腕時計愛好家にとって嬉しい限りである。
投稿者 watchsensor : 17:47 | コメント (0)
2005年06月17日
Q:「007 死ぬのは奴らだ」で使用された、もうひとつのモデルとは?
A:インデックス部の色が変化する特殊機構搭載モデルです。


写真左:007「死ぬのは奴らだ」の名シーン。磁気発生装置を使い、直接触れることなく女性のワンピースのファスナーを降ろすという少々エロチックな使い道だ。
写真右:これがオークションに出品された実物モデル。インデックス部分が抜かれていることが見てわかる。
「死ぬのは奴らだ」の劇中において、ロジャー・ムーア氏演じるジェームス・ボンドが装着していたサブマリーナは1本。しかし、映画撮影用の小物としては少なくとも2本が存在していた。
それは、磁気発生装置付きと鋸状のベゼル回転装置付き(前回紹介)の2種類。機能別に使い分けられたと推測できる。磁気発生装置付きサブマリーナは、磁気発生時にダイヤルのインデックスが赤く変わるという変り種で、文字盤の各インデックス部が丸く切り抜かれ、内部に仕込まれたカラープレートのようなものによって色がチェンジしたのだろうと推測できる。
実はこの仕掛けが搭載されたサブマリーナも1998年のクリスティーズ・オークションに出品されていたのだった。
1998年のクリスティーズ・オークションに出品された、もうひとつのカスタム・サブマリーナ。このときのオークションはカタログを見て分かる通り「007」アイテムに限定されていた。
Check it!
良く見ると誤り? 劇中での操作方法
もし機会があれば映画「007 死ぬのは奴らだ」をじっくりと鑑賞してみてほしい。すると、実におもしろいことに気が付くはずだ。それは「磁界発生装置」のスイッチをオンにするシーン。
日本語字幕では「リューズを引いて」と訳してあり、英文では「By pulling out this button」となっている。しかし劇中、ボンドがリューズを引くシーンは一度も出てこない。逆に押すシーンがあったり、別のシーンではベゼルを回転させてスイッチをオンにしていたりもする。また、鋸状のベゼルをスタート(回転)させる方法も画面を見ただけでは判別できない。
ボンドファン、いや腕時計愛好家としては、このあたりの詳細も知りたいところだが、古いボンド映画共通の御愛嬌といったところだろう。
投稿者 watchsensor : 15:55 | コメント (0)
2005年06月14日
Q:「007 死ぬのは奴らだ」で使用されたロレックスは?
A:特殊カスタムが施されたスペシャル・サブマリーナです

劇中でのワンシーン。手を縛られた縄を回転ノコギリで切断するという設定だった。
1973年の封切映画「007 LIVE AND LET DIE 」(邦題=死ぬのは奴らだ)において、ロジャー・ムーア扮するジェームス・ボンドが劇中で巧みに使いこなすロレックス。これこそサブマリーナRef.5513に、映画小物用としてカスタムを施した1本だ。本作品は3代目ボンドであるロジャー・ムーアが初登場したシリーズ第8作で、毎回お楽しみの新兵器を開発するQから預かった修理の終わった腕時計を、マネー・ペニーから受け取るシーンで最初に登場する。
実はこのサブマリーナには2つの特殊機構が搭載されているという設定になっており、ひとつは冒頭で紹介される強力な磁気を発生させる装置、そしてもうひとつは映画も後半の山場を迎えるあたりに登場する回転ノコギリ機能である。ということで、映画では2つのカスタム・サブマリーナが用意されていたことになる。
ここで紹介するのは、そのうちの回転ノコギリ機能搭載モデルの方である。これは、2001年2月に英国クリスティーズ・オークションに出品されたものだ。


落札されたサブマリーナ(写真左)は、落札者により専用ボックス(写真右)が用意され、厳重に梱包されている。
興味津々の時計本体の詳細をじっくりと説明しよう。このモデルは、鋸状の歯が付けられた回転ベゼル部が、ものすごい勢いで回転し、カッターとしての役目を果す。オリジナルのベゼルを加工したといわれるが、あくまでデザイン優先で、実際に切断能力があるような鋭利なものではないようだ。
この程度の細工であれば、いくらロレックスのカスタムモデルといえども驚きはしない。が、このモデルは実際にベゼルが回転する機能を備えているのだ。その秘密を探るべく、裏蓋を空け内部を調査した。


写真左:ケースに収納された状態のフィン部分。
写真右:吸気用のパイプがロウ付けされた特殊な裏蓋。
このモデルのためにあつらえられた特殊な裏蓋を開けると、そこにロレックス・キャリバー1520のムーブメントの姿はない。その代わりに、航空機のジェットエンジンの吸気ファンを連想させる、いくつものフィン(羽)が装備されたユニットが収納されている。驚くなかれ、ベゼルの回転機能は、裏蓋センターにロウ付けされたパイプにコンプレッサーで空気を送り、エアーの力によりこのフィンを回転させることで実現していたのだ。ちなみに、このユニットは円柱型の無垢材からの削り出しで、フィンのひとつひとつまで精密にフライス加工が施されていた。

写真上:このカスタム・サブマリーナ製作のために書かれたラフスケッチ。ベゼルの回転機能やケース側面図など細かに記されている。ちなみに、このスケッチ画は腕時計本体とは別出品だった。
これが「007 死ぬのは奴らだ」で使用されたサブマリーナの驚くべき特殊機構であるである。さて、次回は「磁気発生装置」を搭載したもうひとつのサブマリーナにスポットを当てることにしよう。
投稿者 watchsensor : 19:47 | コメント (0)
2005年06月13日
Q:ロレックスの資産価値は?
A:オリジナル状態を保った稀少モデルは究極の資産になる

ロレックスは一生モノだとよくいわれるが、それはメカニカルな部分が人間の一生を遙かに超える耐久性を持つだけでなく、変わらないステイタスと、「資産」としての価値を持ち続けるという意味もある。なかでもキング・オブ・ロレックスと称されるデイトナに関しては、レギュラーモデルでさえプレミア価格で販売されるなど、その資産性がもっとも顕著に見られるモデルである。
そのデイトナのなかでも究極の資産価値を持つモデルが上記の「赤ポール」である。デイトナのポールニューマンモデルといえば、それだけで数百万円の値が付く、愛好家垂涎の逸品。さらに、真紅のダイヤルを持ったモデルともなれば、マンションが購入できるくらいの価値を持つことは珍しくないのかもしれない。
2003年6月。アンティコルムのオークションで赤いダイヤルのポール・ニューマンモデル(写真右)は、なんと約3800万というロレックスのレコードプライスを記録して話題となった。しかし、これはただ「ダイヤルが赤かった」からなし得た記録ではなかった。このデイトナはダイヤルカラーの希少性と、そのオリジナリティ(つまり本物かどうか)が認められたことに加え、ブレスやプッシャーなどのパーツが、すべて当時のオリジナルパーツだと認められたのだ。
ロレックスはモデル問わず、その人気から贋作が多く見うけられる。その傾向は現行モデルよりもアンティーク市場に多く見うけられ、市場を困惑させていることも事実である。言いかえれば、オリジナル状態であることが証明され、なおかつ現代まで生き残っているモデルには当然、資産価値が付くのである。
上記写真にある赤ポールが誕生したのは1970年頃。それからオークションに出品されるまでの約30年間、当然オーバーホールを受けたはずだ。この際にリプレイスパーツに交換される場合が多く、決してニセモノではないが、姿を変えてしまうケースがほとんど。しかし、このデイトナは、当時のパーツ、状態を維持している。だからこそ極めて貴重であり、入手にも多くの困難が伴う。しかしこうしたモデルを入手できたなら、それは一生を共にする「資産」としての価値を保ち続けてくれるのだ。

余談だが、この赤ポールのあとに、18金ケースの赤ポールもオークションに出品されたが、こちらは約1800万円で落札された。それでも超ド級の落札金額であることは言うまでもない。

