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2005年06月14日

Q:「007 死ぬのは奴らだ」で使用されたロレックスは?

A:特殊カスタムが施されたスペシャル・サブマリーナです

劇中シーン.jpg
劇中でのワンシーン。手を縛られた縄を回転ノコギリで切断するという設定だった。

 1973年の封切映画「007 LIVE AND LET DIE 」(邦題=死ぬのは奴らだ)において、ロジャー・ムーア扮するジェームス・ボンドが劇中で巧みに使いこなすロレックス。これこそサブマリーナRef.5513に、映画小物用としてカスタムを施した1本だ。本作品は3代目ボンドであるロジャー・ムーアが初登場したシリーズ第8作で、毎回お楽しみの新兵器を開発するQから預かった修理の終わった腕時計を、マネー・ペニーから受け取るシーンで最初に登場する。

 実はこのサブマリーナには2つの特殊機構が搭載されているという設定になっており、ひとつは冒頭で紹介される強力な磁気を発生させる装置、そしてもうひとつは映画も後半の山場を迎えるあたりに登場する回転ノコギリ機能である。ということで、映画では2つのカスタム・サブマリーナが用意されていたことになる。

 ここで紹介するのは、そのうちの回転ノコギリ機能搭載モデルの方である。これは、2001年2月に英国クリスティーズ・オークションに出品されたものだ。

時計本体.jpg外箱.jpg
落札されたサブマリーナ(写真左)は、落札者により専用ボックス(写真右)が用意され、厳重に梱包されている。

 興味津々の時計本体の詳細をじっくりと説明しよう。このモデルは、鋸状の歯が付けられた回転ベゼル部が、ものすごい勢いで回転し、カッターとしての役目を果す。オリジナルのベゼルを加工したといわれるが、あくまでデザイン優先で、実際に切断能力があるような鋭利なものではないようだ。

 この程度の細工であれば、いくらロレックスのカスタムモデルといえども驚きはしない。が、このモデルは実際にベゼルが回転する機能を備えているのだ。その秘密を探るべく、裏蓋を空け内部を調査した。

横斜め.jpgケース横.jpg
写真左:ケースに収納された状態のフィン部分。
写真右:吸気用のパイプがロウ付けされた特殊な裏蓋。

 このモデルのためにあつらえられた特殊な裏蓋を開けると、そこにロレックス・キャリバー1520のムーブメントの姿はない。その代わりに、航空機のジェットエンジンの吸気ファンを連想させる、いくつものフィン(羽)が装備されたユニットが収納されている。驚くなかれ、ベゼルの回転機能は、裏蓋センターにロウ付けされたパイプにコンプレッサーで空気を送り、エアーの力によりこのフィンを回転させることで実現していたのだ。ちなみに、このユニットは円柱型の無垢材からの削り出しで、フィンのひとつひとつまで精密にフライス加工が施されていた。

設計図.jpg
写真上:このカスタム・サブマリーナ製作のために書かれたラフスケッチ。ベゼルの回転機能やケース側面図など細かに記されている。ちなみに、このスケッチ画は腕時計本体とは別出品だった。

 これが「007 死ぬのは奴らだ」で使用されたサブマリーナの驚くべき特殊機構であるである。さて、次回は「磁気発生装置」を搭載したもうひとつのサブマリーナにスポットを当てることにしよう。


投稿者 watchsensor : 2005年06月14日 19:47

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