1936年6月に開催された「多摩川スピードウェイ」での「全日本自動車競争大会」において、ダットサンのワークス・レーサー群を打ち負かした「オオタ小型」レーサーの1/43モデル。15年ほど前にその存在を知り、なんとか模型化したいと考えていたが、当時は全く資料がなかった。ネコの社員になってから、故・五十嵐平達先生の資料を見せていただける機会があり、これを元に制作を開始。厳密な寸法が不明だったが、写真でクルマの脇に座るシェパード犬の全高から、概ねのバランスをはじき出しての制作となった。
原型制作は当時リトル・ガレージに在籍していた山越昌之。数枚の写真を渡したのみで、ごく短時間で、ホイールやコクピットのディテールに至るまで原型が完成し、そのセンスと技術力に驚いたが、その直後、山越は模型の仕事から離れてしまい、原型だけが残された…。
それから約5年、五十嵐先生がお亡くなりになり、山越も帰ってこないしで、すっかり諦めていたところ、残された原型から、同じリトル・ガレージの山口淳史氏が、1台のみの完成品をひねりだしてくれた。それが写真のモデルである。結局、このモデルは、構想から約10年を経て、ようや「モデル・カーズ」の誌面を飾ったことになる。山越が帰ってきたのは、それから更に2年ほど経った、ついこの間の話である…。
ところで実車の話。私見だが、当時のダットサンレーサーと比べると、このオオタのデザインは、大変洗練されて見える。ボディ色に関しては、白黒写真しか資料がないので、なんとも言えないが、実はもっと白っぽい水色に近かったのではないかと推測している。この1/43モデル、なんとか超小型Co2エンジンを使った走行モデルにできないか、と夢想し続けている。なんどか昨日のネタ、「ミゼッティ」のレプリカを制作した鈴木雅之氏に相談を持ちかけたが、やはり幾らなんでも小さ過ぎるようである。


