
デイトナ編集部の滝口君と一緒に、神田「ケンクラフト」さんにお邪魔した。行く道すがら、積もりに積もったコレクションの収納場所に困り果てているハナシをしていたのだが、なぜか帰りには巨大なトイカーを積んで帰ることに…。同店オーナーのTさんは、少し前にお店や倉庫の整理整頓を実施され、その結果、いろんなものが (おそらくは…)次世代に引き継がれるために、不肖ワタクシの手元に引っ越してきている。そんなワケで、写真は、くだんの巨大なトイカー。約1/8スケールの1950年代インディカーである。メーカーはREMCO。モーター+単一乾電池×4本で走るオモチャだ。戦前以降、1970年代半ば頃まで存在したアメリカの自動車模型カテゴリー「Tether Car(直訳:つながれた自動車)」の電動版(有名なCOX等、グロー・エンジン動力の方がメジャーだった)である。Uコン飛行機模型のように、ワイヤーで繋いで円周走行させて遊ぶのだが、Uコンと異なるのは、「最初は小径円周上を走行」→「徐々にワイヤーを伸ばして、大径円周へ…」と、「円」が大きくなっていくこと。そのため、ワイヤーの張力によって、前輪の舵角が自動的に変るメカニズムを備えているのが面白い。せっかく頂いたのだから、レストアして走らせてみたいと思う。いつ実行できるかが問題だが…。
ところで、インディのFRロードスターがミドシップへと進化したのは、F1よりやや遅れた1960年前半のことである。そのきっかけは、クーパー、ロータス等、ヨーロッパから遠征したミドシップ勢が圧倒的なパフォーマンスを見せつけたことによる。ある年、遠征したロータス+ジム・クラークが、トップを行くパーネリ・ジョーンズのオッフィ・ロードスターを追い上げ、あわや優勝という場面があったという。この時、パーネリのマシーンはオイル漏れを起こしていた。ブリックヤードでのオイル漏れには即刻・「黒旗」、つまり「退場」が鉄の掟だったが、結局この時、黒旗が振られることは無かった。フラッグマンの手に黒旗は握られたが、すんでのところで、それが振られることが「許されなかった」のだ。その理由は、「異国の珍妙なマシーンが、オッフィをさしおいて伝統あるインディを制することがあってはならぬ!」とか、いうものだったとか…。アメリカ的というのだろうか。結局、パーネリは優勝したが、その裏舞台での悶着を、「不正である」と非難する勇気あるアメリカ人たちもいたことを忘れてはならない。
近年、いろんなCMで使われた、CCRの「雨をみたかい?」というオールド・ヒットが、アメリカでは、準・放送禁止の扱いになっていることを最近知った。この「雨」が、ベトナムでのナパーム弾による空爆を意味するから、というのがその理由らしい。いつの時代も「流れ」に反旗を翻す連中はいる。いずれにせよ、結果はおのずと、歴史に映されていくのだ。


