前回、オオタ小型に絡んで、故・五十嵐平達先生に資料を見せていただいたことを書いたが、そう言えば、先生は自動車の「模型」にも熱心であった。 1950~60年代には随分と国産のブリキ玩具も収集されたらしい。無論、主として「資料」としての収集であるから、やがてダイキャスト製ミニチュアカーの質が向上すれば、収集対象も変わり、気に入らないディテールには手を加えたりもされたそうだ。そんな先生が、1990年代半ば頃にお気に入りだったのは、ダンバリー・ミントやフラクリン・ミント等、言わば最も良質で手の込んだ作りのダイキャスト製ミニチュアで、しばしばケンクラフトさんにお見えになったそうである。そうした収集の一方、資料として不要になった古いブリキ玩具などは、惜しげなくコレクターに譲られたと聞いた。自動車玩具の風合いとか歴史とか、そういった観点でのご興味はなく、あくまで自動車(トランスポーテーション)ジャーナリストとして、全うされた、というのが周囲の共通認識だが、自分の認識は少し違う。戦後の国内モータリゼーションの発展を見守られた先生が、自動車産業の「周辺」の趨勢を気にされなかったはずはない。ブリキの自動車たちを、懐かしく想い起こされることも、あったのではないか、と思っている。写真は「SSS」製の小さなブリキ製フロント・エンジン・インディ・ロードスターで、全長・約8cm。フリクション走行。ドライバーがネクタイを締めていることから、そのモチーフはヨーロッパの人、しかしクルマはインディ風。1950年代にはインディ勢とF1グランプリ勢が混走したレースがあり、出場車は全てインディ風にスポンサー・カラーをあしらって走ったと言うから、実車的にかたく考証するなら、そんなレース出場車の再現ということで、如何だろう。10年ほど前にサンセットさん主催のワンダーランド・マーケットで買った。


