タイレル006・セベール仕様・タメオ1/43
再び1/43ハンドビルド・モデルカーの紹介に戻る。写真は1973年のエルフ・タイレル006。「モデル・カーズ」の記事掲載用のもので、ほぼイタリアのタメオ製「ワールド・チャンピオン」シリーズ・キットのストレート組みである。フィニッシュはジョー・高安。仕様はジャッキー・スチュワートではなく、彼の愛弟子チーム・メイト、「フランソワ・セベール」のマシーン。セベールと言えば、青い目のパリジャンにして富裕な宝石商の子息、かのブルジッド・バルドーと浮名を流すプレイボーイ・レーサーとして人気があった。恵まれた容姿と人なっつこい笑顔とは裏腹に「影」も感じさせる映画俳優のようなレーサーであった。
中学1~2年の頃、「F1グランプリ・栄光の男たち」というドキュメンタリー映画が公開された。1973年のグランプリ・シーンを追いかけただけの内容だが、そこには誰が見ても「野蛮」としか形容のしようがないF1サーカスの姿が捉えられていた。そんな一編の中、セベールは概ね主人公役として登場し、プライベート・ショットもふんだんに見せる。この1973年は、エマーソン・フィッティパルディ+ロニー・ピーターソンというジョイントNo.1体制で臨んだ漆黒のJPSロータスと、スチュワートとセベールからなるエルフ・ブルーのタイレルが真っ向からぶつかって席巻したシーズン。グッドイヤーのホワイト・レターが巨大なタイヤをぐるぐると彩り、無骨なインダクション・ポッドと、長く後方に突き出されたリア・ウイングの群れが見る者を威嚇する。マシーンの外観はなにやら怪物じみており、その映像は息苦しいまでにスピードの危険を感じさせた。
結局、ジャッキー・スチュワートは最終戦を待たずして王座を確定、シーズン終了と共に晴れやかに勇退することを決めていたが、最終戦アメリカGPの予選でセベールが事故死、そのストーリーは突然の悲劇で幕を閉じた。スチュワートとセベールを一時に失ったチーム・タイレルは、翌年、二人の若きレーサーを起用する。その二人のコンビが絶頂期を迎えるのは1976年。あの6輪タイレルの年である。続きは明日。(写真のモデルはモデル・カーズ21号掲載) ★画像をクリックすると大きな画像が見られます★


